井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

調弦のエチケット

2017-11-06 08:30:00 | ヴァイオリン
本番前のチューニング、これはクラシック音楽系独特の慣習かもしれない。何せ、拍手を受けてお辞儀をした後、堂々とやる場合もあるのだから。

チューニングも管楽器と弦楽器ではかなり状況が違う。管楽器は発音体は一つだし、気温が異常に高かったり低かったりしなければ、数秒間の確認だけで済む。

弦楽器は、弦が4本あり、照明に当たったりすると瞬時で狂うので、そうはいかない…
というのはガット弦を張っている場合である。

ナイロン弦に始まった合成繊維系の弦はほとんど狂わず、音色もかなり改善されたおかげで、数十年前から9割以上の人が使うようになった。

なので、舞台袖で調弦を済ませておけば、舞台上でガーガーやる必要はないはずなのだ。

それなのに実際はどうだろう。

また、傾向として、ヨーロッパ人はチューニングから音楽が始まっていると考える人が多い。一方、アメリカ人はチューニングはあくまでもチューニングと思っている感じがする。

どちらかを否定することはできないが、チューニングをひっそりと会場の空気になじませるようにやって、という現場に遭遇すると、それだけで少し感動してしまうはず。

くるっと真後ろを向いてしまうのも私は気に入らない。聴衆に背中を見せて良いのは指揮者だけと昔から言われているはずだ。

ついでにピアノ伴奏者にお願いがある。これもベテランなら当然のこととしてやっていることだが、お辞儀が済んだらすぐにA音を出してほしい。
椅子の高さやら楽譜を置いたりする前にである。
まれに椅子が座れる場所に置いてない場合もある。その時は座らないで良いから立ったままで弾いてほしいと思う。

A音を出した後に調弦するのだから、ピアノ伴奏者には十分時間がある。その時に椅子やら楽譜などは準備できる。

最近はチューナーという便利な機械がある。本番前は「あがって」耳が正常に働かないこともあるから、舞台袖でどうぞチューナーを使って、調弦をしていただきたい。その後、安心してステージに出て、お辞儀の後はフワフワっと儀式的な調弦をして、演奏をする。そう願いたいものだ。