井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

ピアノの屋根③バス楽器としてのピアノ

2018-11-03 22:26:00 | ヴァイオリン
全開か半開かを問題にするのは、本来弦楽器とフルートだけのはずだが、他の管楽器の方々が時々問題にしていることがある。これは時間の無駄だから、問答無用で「全開」以外を考えないでいただきたい。

それで、なぜ弦楽器とフルートで問題になるかというと、もちろん音量のバランスがとれないからなのだが、本当は「とれる」はずだ。ピアノもフォルテも出せる「ピアノフォルテ」という楽器なのだから。

なぜバランスがとれないか、それはピアニストがソロ曲を弾くのと同じ感覚で、アンサンブル曲を弾いてしまうからだ。

アンサンブルをする前に「ピアノを鳴らせ、鳴らせ」という指導をずっと受けていたのだから、無理もない。ピアノに限らず、楽器の技術習得では、まず鳴らすことを目指すものである。

しかしアンサンブルのことを考えると、多分それまであまり考えたことのない視点を持たざるを得ない。
つまりピアノが「低音(バス)」を担当する楽器になるということだ。

協奏曲以外、他の楽器が低音を担当してピアノが中高音を担当する、という曲は「無い」。

なので、まずピアノパートの低音(左手)と他の楽器で一部分合奏してみる。これだけでも音楽の骨格が出来上がることがわかるはずだ。
次に「その骨格を崩さない」よう注意して、同じ箇所を内声(右手)を入れて弾いてもらう。

耳をよく使ってもらえば、これで大抵は理想のバランスにかなり近づく。

屋根を全開にすることは、このように音楽作りにも密接に関わりがある。