筒美京平、小林亜星に続いて、すぎやまこういち氏が亡くなった。
ついに一つの時代が終わりを告げた感が強い。
すぎやまこういちさんはお会いして一緒に仕事をしたこともあるだけに、そのショックもそれなりに大きいが、それよりも偉大な業績を遺されていることを讃え、幸せな時間を過ごさせてもらったことを感謝したいと思う。
私個人の思い出は「ビッグGM」と《オーディオ交響曲》だけど、ここではもっと一般的な《君の誕生日》、いや違う、《学生街の喫茶店》の話をしたい。
我々の世代にとっては、ドラクエよりずっと大事な歌だったと思うからだ。
クラスメートに金子という男がいて、一緒に「文芸クラブ」というのに入った。小学校の正課クラブの一つである。
私自身は、そこで何をやってたか少しも思い出さないのだが、その金子は「学生街の喫茶店」という小説を書こうとしていた。
「学生街に一軒の喫茶店があった。」
と書き出すのだが、その後が続かない。そのうち時間がきて、クラブの時間は終わる。
次の週、また原稿用紙に書き始める。
「学生街に一軒の喫茶店があった。」
その後どうしようか、と彼は毎時間悩んでいた。
要するに、基本が間違っているのである。何か書きたいことがあって書くのではなく、「学生街の喫茶店」というカッコいい言葉があるから、それを使ってとりあえず書いてみた結果がこうなった訳だ。
ことほど左様に、「学生街の喫茶店」は小学生高学年男子の心をとらえていた。
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