上行型はクレッシェンドと,信じて疑わなかった30代前半のある演奏会のリハーサルにて。
「上行型がクレッシェンドというのはワーグナーの悪影響です。それまでは上行型はデクレッシェンドでした!」
とおっしゃったオーボエ奏者Kさんがいらっしゃった。
その方は,私が小学生の時から何となく存じ上げていて,初めてオーボエを吹かせてもらったのも,その方のオーボエだったかもしれない。何となくではあるが,私にとって絶対的な存在である。現在はオランダでピリオド楽器奏者として活躍されているらしい。
そのような方が力説され,演奏した曲はマルチェルロのオーボエ協奏曲。冒頭のリトルネロ(テーマ)に上行する音階が含まれている。これをデクレッシェンドで演奏する。これが見事にサマになるのである。
さあ,どっちだ?上行型はクレッシェンドかデクレッシェンドか?
それ以後,注意しているのだが,ワーグナーが強弱法に改革を起こしたという話は寡聞にして聞かない。だから,本当かなぁ,という気持ちもないではない。
正直言って,どちらだ,という答えは出せない。出さなくても良いのかもしれない。どちらも試してみて,納得のいく方法をとれば良いのだと思う。
という訳で,上行型はクレッシェンド,と決めつけると,問題が生じることもある。柔軟に対応していただきたい。法律ではないので。
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