先日,TV番組「題名のない音楽会」で,吹奏楽曲の人気曲ベスト10をやっていた。結構興味津々で見ていたら,人気No.1の曲にガックリきてしまった。それが「ディスコ・キッド」
「猫も杓子もディスコ音楽」は吹奏楽界もご多分にもれない。1977年度のコンクールの課題曲に,この曲は現れた。当時,私は不真面目な吹奏楽部員でホルンを吹いていた。どうして不真面目だったかというと,ヴァイオリンも弾いていたからだ。
なぜ吹奏楽をやっていたかというと,コンクールに出たかったからである。ヴァイオリンのコンクールは所詮,孤軍奮闘だ。そんなコンクールではなく,仲間と一緒に喜んだり悲しんだりしたかったのである。
だからコンクールは重要,課題曲はもちろん重要。で,この曲が,生まれて初めて吹く「課題曲」だったのだが……かなり失望した。なぜか?
今思い起こすとわかるのだが,ディスコに行かない中高生でも,結構ディスコ音楽は知っていて,高1といえども,お気に入りの曲が既にいくつかあったのだ。私が好きだったのは,バリー・ホワイトの「愛のテーマ」「白銀のテーマ」,パーシー・フェイスの「夏の日の恋’76」etc.
これらが既に吹奏楽では演奏されていたのだから,新曲はそれと同等以上の魅力がないと,生意気な中高生には許せなかった。実際,その前年の「メイン・ストリートで」などはなかなか魅力的で,まさかそれを下回る曲が出ようとは,想像もしなかった。
この曲のどこが許せないか?
まず,テーマが再現したようで再現していない作り方が気に入らない。しかも再現部のような場所になると「You are my sunshine」によく似たふしが出てくる。しかもこのオリジナリティに欠ける旋律は2回繰り返されるのである。この形式は,良く言えばファンタジック,悪く言えばとりとめがない。
そして楽器の扱い方がわかってらっしゃらない感じなのである。さすがにこれは?というところは,後から訂正表が回ってきた。そして訂正されるほどではなかったホルン・パートは,ずっと続く高音に苦しめられた。
そうです。私は本番でもヨウ吹キキランカッタのである。負け犬の遠吠えじゃ!
同じ,ショウジ・オサム作曲の「怪獣のバラード」は名曲だと思いますよ。こちらは中学生の合唱曲として定着しているようですが・・・。
そんなこんなで,この曲は消えて行く運命かと思いきや,全く正反対に受け継がれていく現実を,未だにどう受けとめて良いかわからない。井財野としてはナウなヤングのための「ディスコ・OB」でも作るか,というとこかな…。