井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

ドレミは知っているがハニホは知らないかも

2017-11-16 18:31:00 | 大学
学習指導要領は改訂されたが、ドレミは相変わらず教えないことになっている。
というと語弊があるが、正確には「移動ド唱法」の時に教えることになっている。
移動ド唱法は、どの調でも主音をドで歌うやり方。相対音感を育てるのに良いと言われている。

本当にそうなのだろうか。精度低めの絶対音感を持っている私には、全くわからない。

ただ、移動ド唱法ができると楽譜に強くなるのは確実だ。移動ドができればハ音記号を何の苦も無く読める。大学に入った時、移動ドをまともにやっておくのだった、と後悔したものだ。

それはともかく、ドレミは幼稚園児でも知っている。それは半世紀前の幼稚園児もそうだった。多分「ドレミの歌」が普及していたからだと思う。
その後もドレミファ列車とかおジャ魔女どれみとかいろいろあったはずだ。

だからもうそろそろ義務教育でドレミを教えて良いのではなかろうか。

興味深いことに、教科書には鑑賞教材としてミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」が取り上げられ、「ドレミの歌」等と書いてある。

「みなさーん、これはハニホの歌という意味なんですよ~」という授業をする先生がいるとはとても思えないのだが。

爺放談

2017-11-14 00:22:00 | 音楽

以下、架空のテレビ番組のオーディションが行われた後の、爺さんたちのおしゃべり、いや重鎮達の審査会、というフィクションである。かたや細川隆元風の四角い顔、かたや小汀利得風の細面(50代以上の方々にしか通じない例え方で申し訳ない)、どちらもオーケストラ活動に長年携わる方々で、このところ事務局で働いているが、元々は弦楽器奏者である。

オーディションを受けたのは20代の音楽家達で、専門は様々。弦楽器、管楽器、打楽器、声楽、ピアノ・・・。その中から番組に出演してもらう5,6人を選ばなければならない。

最近のフルートはみんな上手いねぇ。

ああ本当。だから差がつかないよね。

もう、これ以上やりようがないって感じだよなぁ。

だけどね、この間パユを聴いたんだけどさぁ、すごいよぉ。最後のディミヌェンドなんかスーッと消え入る超絶技巧!

ああパユは俺も聴いた。だから、やりようあるんだよな。

でも管楽器誰か入れた方がいいでしょう?

だから、このクラリネット。

えっ、あのピッチ上ずりっぱなし、リードミスしまくりのクラかい?

でも、音楽としては表情豊かで面白かったよ。ピッチが下がっているのは気持ち悪いけど、元ヴァイオリン弾きとしてはピッチ高いのは気にならないのよ。あ、あんた低弦だったね。低弦は上ずると気持ち悪いわなぁ。

ちょっと待ってよ。フルートの方が正確だったじゃない?みんな上手くて、これ以上やりようがないとか言わなかったっけ。クラリネットはリードミス7回だよ。あんまり多いからメモしてたんだ。こんなのオケじゃ危なくて使えないよ。

でもフルートはやっぱりつまんなかったから、今回採るのはクラリネットね。

審査会はまだ続く。


「天才の育て方」のはずだけど

2017-11-09 17:51:00 | 日記・エッセイ・コラム
将棋の「天才」の育て方という記事が新聞に載っていた。

詰め将棋で実験したら、プロ棋士は盤面を見ると「楔前(けつぜん)部」と「尾状(びじょう)核」という部分が活発に働いていることがわかったそうだ。

その回路が直観を生んでいるのだろう、との分析。

訓練の積み重ね以外に秘密があるのではないかと、東大の先生に取材したら、物事の上達には、

①具体的な目標を立てる
②集中して取り組む
③結果を基に訓練内容を見直す
④できるようになったら新たな目標を立てる

という四つを繰り返すのが効果的、という返事だった。

何のことはない。PDCAサイクルのことだ。Plan計画 Do行動 Check評価 Action改善である。
ちょっと前だが、すべてのプロジェクトにPDCAサイクルを取り入れるように文科省あたりから言われて、私は辟易した言葉だ。

つまり、東大の先生は一般論を述べたに過ぎず、ケツゼン部とビジョウカクの回路を作る方法が書いてある訳でもなく、天才の作り方は書いてない、という記事だった。残念。

調弦のエチケット

2017-11-06 08:30:00 | ヴァイオリン
本番前のチューニング、これはクラシック音楽系独特の慣習かもしれない。何せ、拍手を受けてお辞儀をした後、堂々とやる場合もあるのだから。

チューニングも管楽器と弦楽器ではかなり状況が違う。管楽器は発音体は一つだし、気温が異常に高かったり低かったりしなければ、数秒間の確認だけで済む。

弦楽器は、弦が4本あり、照明に当たったりすると瞬時で狂うので、そうはいかない…
というのはガット弦を張っている場合である。

ナイロン弦に始まった合成繊維系の弦はほとんど狂わず、音色もかなり改善されたおかげで、数十年前から9割以上の人が使うようになった。

なので、舞台袖で調弦を済ませておけば、舞台上でガーガーやる必要はないはずなのだ。

それなのに実際はどうだろう。

また、傾向として、ヨーロッパ人はチューニングから音楽が始まっていると考える人が多い。一方、アメリカ人はチューニングはあくまでもチューニングと思っている感じがする。

どちらかを否定することはできないが、チューニングをひっそりと会場の空気になじませるようにやって、という現場に遭遇すると、それだけで少し感動してしまうはず。

くるっと真後ろを向いてしまうのも私は気に入らない。聴衆に背中を見せて良いのは指揮者だけと昔から言われているはずだ。

ついでにピアノ伴奏者にお願いがある。これもベテランなら当然のこととしてやっていることだが、お辞儀が済んだらすぐにA音を出してほしい。
椅子の高さやら楽譜を置いたりする前にである。
まれに椅子が座れる場所に置いてない場合もある。その時は座らないで良いから立ったままで弾いてほしいと思う。

A音を出した後に調弦するのだから、ピアノ伴奏者には十分時間がある。その時に椅子やら楽譜などは準備できる。

最近はチューナーという便利な機械がある。本番前は「あがって」耳が正常に働かないこともあるから、舞台袖でどうぞチューナーを使って、調弦をしていただきたい。その後、安心してステージに出て、お辞儀の後はフワフワっと儀式的な調弦をして、演奏をする。そう願いたいものだ。

ひのまる

2017-11-04 10:59:29 | 大学
学習指導要領というものが改訂されて、多分教科書会社は改訂作業に目下大わらわだと思う。

その学習指導要領の中に共通教材というものがある。小学校の歌唱教材だと1学年につき4曲ずつある。

そういうことを教える授業の中、とりあえず数曲歌ってみようと教科書をあけたら「ひのまる」という歌があったのだ。

ヴァイオリンの教材で、その昔「日の丸変奏曲」というのを見たことはあったものの、歌ったことは小学校の授業以来一度もない。

ちなみにこの曲を知っているか学生に尋ねたら9割は知らなかった。さもありなん。

しかし、日本人としてのアイデンティティ確立のために歌え、というようなことになっている。

それも一理あるので、みんなで歌ってみた。

「白地に赤く 日の丸染めて
ああ美しい 日本の旗は」

歌詞はこれで良い。
しかし旋律のなんと平凡なこと!
ちっとも美しく感じない。

「ああ」はバロックの昔から6度上げることになっている。「川の流れのように」も「大都会」もちゃんとそうなっている。「昴」に至っては8度上げている。そうやって感動を伝えるレトリックが発達してきたのである。

試しに、昴の旋律に「ああ美しい 日本の旗たちよ」を乗せて歌ってみると良い。じーんとくること受けあいである。

そのくらいのことをやってくれないと、感動的な音楽の授業はできない、少なくとも現行の「ひのまる」では、と思った。

そろそろ文部省唱歌を作りなおそうと文部科学省は思ってくれないだろうか。