先日、お皿を欠いてしまいました。
漆を使って「金繕い」という技法で修繕します。
このブログを始める頃に一度ご紹介したことがあったと思います。
昨日に引き続き、漆です。
漆は優秀な接着剤です。
ただ私は肌が弱いため
本物の漆だとかぶれてしまいます。
山で漆の葉に触れただけで
次の日に怖ろしく顔がかぶれてしまった経験があります。
漆はちょっと変わっていて湿度が無ければ乾燥しません。
そのため室(むろ)に入れます。
室のなかで温度が25度前後、湿度が80%以上保たれていないと
漆は固まらないのです。
一般のお家では室なんて無理なので
お稽古ではこの漆を使っていました。
室に入れなくても3日ほどで固まります。
赤漆、黒漆、透き漆があります。
今回は透き漆を使ってみます。
時間が経って色がすっかり琥珀色になってしまいました。
欠けの部分に漆を塗ります。
一気に塗ってしまうのではなく
少し塗っては乾燥させ塗っては乾燥。
層を作りながら欠けを埋めていきます。
数日かかります。
最後に塗った漆の上から銀泥をのせます。
こういうのを銀を蒔く(まく)と言います。
完成です。
洋食器だけど銀を使ったので問題なさそうです。
修繕したものをお客様にお出しするのは失礼ではなく
金銀の繕いのあるものは逆で、
最高のおもてなしになるのです。
金繕いのあるものは時代によっては高値で取引されます。
特に時代が古いもので銀で蒔かれたものは高値です。
昔は金よりも銀の方が高価とされていました。
金や銀で欠けを修繕するなんて
昔は、お金持ちしかできなかったですしね。
京都の業者さんで小さな欠けをお願いすると
2万円ほどするらしいです。
室に入れて何日もかかりますからね。
日本の伝統工芸を代々受け継ぎ、守る職人さんの技術は
大切に受け継がれていくといいですね。