『ツバメ号の伝書バト』の一番の読みどころは、日照りが続いて水がなく、キャンプ地をタイソン農場の果樹園にせざるをえなかった子どもたちが水脈うらないをしてキャンプ地の新たな水源を探そうとするところです。
ディックが見たという水脈うらないの方法は、ハシバミのふたまたの枝の先を両手で持ち、枝がねじれるところに水がわきでるというものです。
ナンシイ、ジョン、スーザン、ペギイ、ディック、ドロシア、ロジャがやってみて、だれも枝がねじれなかったのに、ティティがやると枝がねじれたのです。
でも、ティティは驚いて、からだをふるわしてすすり泣きながら、森の中にかけこんでしまいます。
ティティは水脈うらないをすることを恐れます。
この辺のティティの微妙な心理描写がとても上手で、ランサムは本当に子ども心の分かる人だなーと感心してしまいます。
ここを読んで、何も感じなかったら、ランサムを読む資格がないと確信して言えます。
でも、ティティは、みんなの期待とティティを見守る優しさに触れ、水脈うらないをする決心をします。
そして、ついにティティは水源を見つけます。
「あの苦しい心のたたかいは、はたしてやっただけの価値があったろうか?あの百万の百万倍たたかったとしても、それだけのことはあったのだ。今になってみると、ティティはじぶんがどうしてこわかったのかわからなかった。」
ティティに傷つきやすい繊細さがあるから、水脈うらないもうまくいったのでしょう。