第225話 最初の贈り物

2009年08月14日 15時13分23秒 | 子育て・「おママごと」

妊娠がわかってからというもの暇さえあれば、私は生まれてくる子供の名前を考えていた。
未だかつてこれほどまでに漢字に注目したことがあるだろうかと思うほど、
音読み、訓読み、意味、画数に至るまで勤勉に。

音の響きがよく、毛筆で書いた時、苗字から名前にかけて流れる美しさがあって、
親の期待をいっしんに込めすぎて子供にプレッシャーにならないような、
できれば呼びかけるとき気恥ずかしくならなくて、
そして、何より誰もが読み間違えのない名前を・・・と自身が掲げた理想により、
私は命名の迷路に迷っていった。
それでも一筋の光を頼りに進んでいくと、これは?と思うものに出会えるもので、
見つけた名前を心の中でころころ転がしながらどきどき主人の帰宅を待った。

私が自慢げに、そして期待に胸をふくらませてその名を告げると主人は
「職場に同じ名前の方がいるからだめだよ」
(どこまで気を遣うねん)
またある時は、「小学校時代、同じクラスにいたが奴は性格が良くなかった。ダメだ」
(そんなの知るかぁー)
挙句の果てには
「この一字を使うと、俺(主人の友人)からとったと奴がつけあがるからダメだ」
(もう、いい加減にして)
主人と私のこだわりどころの違いにいくつもの名前が候補圏外となり、消えていった。

次第に手がかりになればと手にした姓名判断(書物)にはまっていく。
ニュースを見ながら、夫婦共々右手を動かしている。おのおの画数を調べているのだ。
ひく。 あぁ やっぱり こりゃ 画数が悪いわ・・・
じゃあ、あの人はこの人はと当初の名前を考えるという目的から、
この著者が当たっているか否かを確かめる作業にすりかわっていることに気づかず、
夫婦もろとも姓名判断の深みにはまっていく。
ちなみに私自身、姓名判断で決まったクチである。
新しい主人の苗字で検索したら、どうやら私は旧姓時代の持ち運をなくしてしまったらしい。
(もう、私の人生どうしてくれるのよ。
あなたが私の名前に変わってくれればよかったじゃない。女って悲しい・・・)
こうなると、もう出口なし。

暗中模索、赤ちゃんの名づけ講座なるものに参加した。
「みなさんね、自分の好きな名前と姓名判断、色々な視点を全てごちゃごちゃにするから、決まるわけがない」
先生は当たり前に偉大だった・・・
自分の好みにあわせると占いからは遠ざかる。
占いにあわせると自分の好きから遠くなる。・・・ですよね。この学びを主人に告げると、
「私たちもこんなに姓名判断にはまったのだから、
生まれてくる子もいずれ調べるだろう。そのとき、やはり大凶運だと悲しむに違いない。
我々の好きに、やはり姓名判断も考慮して決めよう」
このほどほど案。このときは妙に納得したが、今、綴ると妙に笑える。なんか面白い(笑)
やはり人間、知ってしまうと知らなかったことにはできないもの。
思い入れだけで決めようと考えている方がいれば、
最後まで占いの本は手にされないことを祈るばかりである。

主人も私も頑固者である。
生まれてくる子は男の子らしい。
お互い最終ひとつまで絞ったが、ここから双方譲り合わないのである。
主人の提示した名前は、音的にも可笑しくなく姓名判断でも最高運をマークする画数であったが、
私が納得できない理由はこの漢字が2つ揃うと男前でなければならないからだ。
それは我々の息子にはかわいそうだと判断。だが、夫婦2人、多数決ともいかない。
では、生まれてから我が子の顔を見たうえで、決めようと持ち越し。
結果、私の考えた名で出生届が受理された。
絶世の男前でなかったから(笑)でもあるが、
今回出産という大仕事を成し遂げたママをねぎらってパパが候補を退けてくれたのである。( 感謝・・・)

人と人との和を大切に、大地にしっかりと根をおろし、すっくと立って生きていく・・・
そんな子に育って欲しいからママはあなたをKと名づけました。
(パパの許可がおりれば、息子の名前を公開できるんですけど・・・
でもこの由来でバレちゃうかも)
パパとママから あなたへ最初の贈り物、気にいってくれるかしら? 

コメント (2)
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