第266話 いのちのおはなし

2009年12月25日 06時01分18秒 | 子育て・「おママごと」

息子は2歳5ヶ月だが、ここ最近ずっと3時すぎに目が覚めて泣く。
原因は怖い夢。きくと、
「パパにアンパンチされた」と言って号泣している。
「パパ、Kにそんなことしないよ。パパの部屋で寝てるよ」
「怖い。電気つけて」
ホットミルクを作って気持ちを落ち着かせ、二度目の寝かしつけ。
吐きそうに眠い。今日はそんな私を支える「いのちのおはなし」

息子が新生児仮死で生まれて・・・
母子同室の為に選んだ個室で独り、なすすべもなくいた。
することがというより、できることがないので、院内にある図書室に向かった。
産後はみんな忙しいのか、幾度訪ねても図書室には誰もいなかった。
私はそこで、日野原重明先生の「いのちのおはなし」(講談社) と出会う。
この絵本は、小学4年生に日野原先生が行った「いのち」についての授業を再現したもの。

日野原先生は、チョークで黒板左はしに0と書き、
そこから右に向かってどんどん どんどん 線をのばしていきます。
長い線の終点に100と書き、
0のすこし右に10を、100の少し手前に95と記します。
95は先生の年齢、10は授業を受ける4年2組の生徒たちの年齢です。
先生は生徒に問います。
「いのちってなんでしょう?
 生きているとは、どういうことだと思いますか?
 いのちはどこにあると思いますか?」
日野原先生はお医者さん。聴診器を取り出し、みんなで友達の心臓の音をききます。
「子供の心臓は大人より速く打ち、生まれたときは1分間に130回くらい、
 10歳で90回くらい。
 心臓は起きているときも眠っているときも、休みなく動いていますから、
 年をとると打つ音はにぶくなり、すこしゆっくりで、低い音になってきます」
今度は子供たちが順番に先生の心臓の音をきいてみます。「ほんとだ・・・」
先生はいのちを保つのに大切な体の器官の話をし、見解を述べます。
「いのちは、きみたちのもっている時間だといえますよ。
 心臓は大切ですが、いのちそのものではありません。
 時間をつかうということは、いのちをつかうことです。
 これから生きていく時間。それが、きみたちのいのちなんですよ。」

あとがきにこうあります。
 人が生きていくうえで、もうひとつ大事なことがあります。それは「こころ」です。
 おたがいに手をさしのべあって、いっしょに生きていくこと。
 心を育てるとは、そういうことです。
 自分以外のことのために、自分の時間をつかおうとすることです。

息子が保育器から出てきて・・・
生活の中にゆっくりとかのんびりとか、おちおちがなくなった。
眠れない。自分の時間が持てない。
夜泣きに夜掻き。睡眠不足にフラフラになりながら、
頭に浮かぶのは、緑の黒板にひかれた白い線。
長い一生のうちのほんの少しの間、
この子のためにだけ生きる時間があってもいいではないか。
息子を抱けなかったあの病室で出会った「いのちのおはなし」が不眠不休の育児を支えてくれた。
あの時、私の覚悟になった「いのちのおはなし」

※「いのちのおはなし」日野原重明・文 村上康成・絵 講談社です。
  4つ目と5つ目の段落は絵本からの抜粋文。
つまり、私の文章以外のいいこと書いてあるなぁというところがすべて引用部分です。
 「私の好きな本」の紹介でした。


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