第813話 幼心と秋の空(後編)

2014年11月13日 20時30分31秒 | 子育て・「おママごと」

学童に迎えにいくと、「今日、カマキリつかまえてん」と嬉しそうに言う。

珍しく「今日の出来事」を話してくれる息子の手に見たこともない箱が。

ふたに無数の穴が開いている。 ヤな予感・・・「見て」 (現物)

「え~、飼えないよ~。逃がそう」 

怒ったわけでも深刻に言ったわけでもなく、笑いも交えて何気なく言ったのだが、

振り向くと、息子が下を向き、ポロポロ涙を流しているではないか。 へ?

「僕な、何回も、何回も、捕まえようとしたけど、捕まらんくて、やっと捕まえられたのに・・・」

そっか・・・そんな幾度もチャレンジの末の捕獲だったとは・・・

「ごめん。ママ、知らなかったから・・・飼おう」 息子、泣き止む。

 

「で、カマキリって何食べるの?」

「バッタとか、コウロギとか」

それは、本当の餌だよね・・・カブトムシのゼリーみたいな餌があるのでは?

パパに「帰りにカマキリの餌を買ってきて」メールを送ると、

「カマキリは生きたものしか食べない肉食だ」と返ってくる。

「え~、やっぱり飼えないよ。逃がそう」 再び、息子が泣く。

家で飼うことで、亡くなってしまうことを説く。 「明日、学校で 逃がそう」 

 

学童に迎えに行った時、息子が言う。

「僕な、カマキリに『頑張って生きや』って言って逃がしてん。 右目から涙がポタッて流れた」

そっかぁ・・・晴れたり、曇ったり、幼心と秋の空。


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