第594話 いい風

2013年06月12日 06時19分56秒 | Weblog

ここ最近、風が気持ちいい。
外回りで強い紫外線に照らされながら下向きに歩いていると、
その汗をやさしくぬぐうように風が励ましてくれる。
頬に風を受ける時、自然に顔が上向きになり、ほほ笑んでしまう。
いい風が吹いている。

演劇をしていた頃のことである。
役者さんに出演依頼する。何の力もない無名劇団・非力主宰である。
いつも最初の答えは、ノー。そこで、諦めきれないのが私。
頃あいと言葉を慎重に選びながら、何度もチャレンジ。
ついにOKの返事をいただいた時、これまでの苦労が一気に報われる心地よさを味わう。
いい風、吹いてる! 
微笑む私にお相手の方が、
「一生懸命だから、手を差し伸べたくなる。一生懸命していれば、助けてくれる人が現れる。」

なるほど、いい風を呼ぶためには自分が熱くなければならない、のだと。
人を動かすのは、やはり人。
熱意が通じた瞬間に吹く風の快感は格別だ。

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