畑の片隅に植えられた ヤマホタルブクロが満開になりました。私は この毒々し
い赤色は好きになれないのです。おばあちゃんも「これの白がほしい」と常々言っ
ていたところ、今年畑に白が咲きました。「植えたか記憶に無い」なんて無責任な
ことをおばあちゃんはいうけど、これは新宮に住む姉に苗をもらったものだと私は
思う。姉は白色ばかりが咲いている所を知っているなんて言っていたから、引き抜
いてきて適当に植えていったんでしょう。我が家ではただ『ホタルブクロ』と呼ん
でいるのだけど、正式名は『ヤマホタルブクロ』だと本に載っていました。本家本
元の『ホタルブクロ』は花の根元のガク片のそばに 反り返ったガク片が付いてい
るそうで、写真では我が家のには付いていないようです。
うん、白色の方が清々しい。昔の人はこの花の中に実際ホタルを入れたのかは
定かではないけど ちょうどホタルが飛ぶこの時期に咲くから暗闇が支配する時代
だとまんざらありえないことでもない・・・
我が家にもホタル伝説がありまして・・・。私のすぐ上の姉は 20数年前に
亡くなりまして、嫁ぎ先のお通夜から両親達が帰る時に ホタルが一匹父親にとま
って振り払っても飛んでいかず 父親の手の中に入れられ生まれ育った実家に連れ
帰ってきました。家について手の中から飛び立ったホタルは家の上空から山へと消
えた・・そうです。それから毎年 5月末の姉の命日の頃にはホタルが一匹飛ぶの
です。家の周りには水を張ったたんぼはありません。近くの川から来るのかわかり
ませんが、家の庭や屋根の上を飛んだりするのです。両親はじめ私も一年に一度
ホタルが家の周りで飛ぶのをみると「あ、帰ってきたんや」と安堵というか懐かし
さがこみ上げてくるわけです。残念ながら誰が目撃者になるかはわからない・・
姉が遺した娘は東京で暮らしていますが、命日におばあちゃんに電話をよこして
「きょうはちゃーちゃん、(仏壇に)帰ってきてるかも」と言ったそうで、その前日
家の屋根から山にむかって飛んでいたんだけどね。彼女は2歳くらいだったから
母親を「ちゃーちゃん」としか当時呼べず、成人した今でも母親の話をするときは
「ちゃーちゃん」です(笑)。遺された者は その時までの記憶しかないし 記憶
というものはどんなに頑張っても薄れてしまう・・・、姉はあっちからこっちを見
ているのかなぁ・・・。
6月そうそう しめっぽくなりましたな・・・・