全個体電池の研究群が活発化している。
トヨタ自動車が2027年ごろの実用化を目指すと言い出した。
燃料電池開発競争に遅れをとる日本が巻き返す、千載一遇のチャンスだ。
日本政府が枠組みを作り、産官学共同で日本三代メーカーの叡智や日本の研究者を束ねるように主導しないと、後から追い上げる中国、韓国に追い抜かれる懸念があるようだ。
東京工業大学菅野特命教授はこう話している。
「やはり現場では、(企業で)開発・製造する人と、基礎研究をする人が一緒に何かやろうとすると、ものすごくあつれきが生まれやすい。見方が全然違いますから。ただ、あつれきがあって初めてお互いの言い分が分かるのも事実で、この点はやってみないと分からないです。そこから産学がさらに連携を深める仕組みが必要だと思います」
「基礎研究の立場からすると、電池がどのように開発・製造されているかよく知らない。逆に、企業側は材料の組み合わせの最適化を追求しているのですが、基礎となるサイエンスを深く理解できていない。本当に困った時にだけ基礎研究側に問いかけているので、お互い理解をもう一段深めながら協業する必要があります。予算や秘密保持の問題で個別の共同研究をさらに大きな枠組みにするのは難しいので、国が主導して仕組みをつくるべきではないでしょうか」
「継続してこの分野の基礎研究が重要だという旗を立てて、長期的に資金を投入していくのが必須です。日本はいったん製品化されると基礎研究が終わりがちです。リチウムイオン電池の反省を生かし、同じことを繰り返してはいけない。数年後に全固体電池の製品が出ても、それは始まりにすぎないのです。そこから大きく人材も研究資金も投入すれば、効率良く次のステップにいけるでしょう」
国土交通省、しっかりしてほしい。