橋梁診断士 試験
解答案の文書例 参考
設問の橋は、○○な地方に位置し、建設後⬜︎年程度経過している○○橋である。
A部の変状は、環境や条件などから見れば○○や○○も考えられるが、写真等の状況から△△の可能性が高いものと推察される。
△△の進行により、………となったものと考えられる。劣化が進行した要因としては、………が考えられる。
B部の変状は、環境や条件などから見れば○○や○○も考えられるが、写真等の状況から△△の可能性が高いものと推察される。
△△の進行により、…となったものと考えられる。劣化要因としては、…が考えられる。
<キーワード>
<ASR>
亀甲状のひび割れや、白い析出物が見られる。
内部コンクリートが膨張し、隅角部の鉄筋が破断したもの
大きな膨張に至ったのは、破断部位が膨張に必要な水分の供給がされやすい環境にあったため
<中性化>
40年以上供用しており、鋼材方向にひび割れ、剝落が生じていることを考慮すると中性化が疑われる。また、剥落箇所の写真から白い析出物が見られ、アルカリシリカ反応が起きている可能性も否定できないため、確認が必要である。健全でない中性化深さは、通常環境では10mm、塩害環境では10〜25mmである。
<疲労>
舗装面に噴出した泥土状の物質は、舗装から浸透した凍結防止剤を含んだ水分が、橋面防水工が施工されていないために、床版のひび割れに入り込んでコンクリートを中性化したことにより起きた床版の泥土化によるものと思われる。
<塩害、凍害>
桁の継ぎ目から、冬季に路面に巻かれた凍結防止剤が橋脚部に流れ込んだことに起因する塩害と、流れ込んだ水分に起因する長期間にわたっての凍結融解反応の繰り返しによる凍害の複合劣化と考えられる。腐食発生限界塩化物イオン濃度は一般には1.2kg/m3、普通ポルトランドセメントw/c=0.55の場合には1.74kg/m3である。
<火害>
表面のみがピンク色に変色していることから、300度から600度の熱にさらされたことがわかるが、コンクリートの再使用可能温度は300度、鋼材の再使用可能温度は500度で、いずれも超えている。また、500度を超えると中性化の進行が促進されるため、注意が必要である。
<塩害>pc
橋面防水工が施工されていないため、浸透水がシース内部に侵入し、凍結防止剤の侵入により、塩化物イオン濃度が増加したことによるpc鋼材の致命的な腐食が考えられる。
また、あわせてシースに空洞があることも想定されるため、本来充填されているはずのセメントクラウドについても充填不足である可能性が高い。
<健全>
完成から30年経過しているにも関わらず、ひび割れなどが顕在化していないことから、乾燥収縮や温度ひび割れ等の短期間に発生する劣化要因は考えにくい。さらには、施工当初の施工管理が良好であり弱点となるような局部的な劣化が少なく、またコンクリートの被りも十分に取れていることが想定できる。しかし、中長期的に見ると、中性化については可能性が考えられることから、確認可能な調査を行なっていく。
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これらの変状の原因を特定するために、詳細調査を実施して変状の原因をより明確に把握し、補修補強が必要な範囲を特定する。
<COの時は、……>
調査する項目としては、共通の項目である打音、ひずみゲージ、外観詳細調査などをはじめ、表面硬度、圧縮強度試験や静弾性係数試験、鉄筋の配置やかぶり、腐食状況の調査、(………)などが想定できる。
(塩化物イオン濃度分布、中性化試験、コアの気泡分布試験、ASR反応性試験)
<鋼のときは、………>
調査する項目としては、共通の項目である打音、ひずみゲージ、外観詳細調査などをはじめ、亀裂分布、幅及び深さ、板厚、付着塩分量分布、鋼材の腐食状況、曲げ剛性や大型車通行時の変位量などが想定できる。
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この橋を今後50年間供用していくための補修補強対策について、検討を行うに際しては、構造物の耐久性のほか、構造安定性も把握しておく必要がある。
A部の変状は、現時点で○○が⬜︎であることを考慮すると、加速期〜劣化期に相当する。詳細調査結果も考慮する必要はあるが、対荷重性能が衰えている可能性が高いため、応急対策として、借受材の設置や交通規制などを行った上で、補強対策が必要であると考えられる。
塩分の侵入状況(中性化の進行状況)を確認した上で、規定を超えた進行が検出された箇所については、劣化しているコンクリートを除去し、鋼材を塗装するなどして不動態皮膜を回復させてから断面修復を行う。その際は必ず、再照査を行い、構造安定性を確認すること。
B部の変状は、現時点で○○が⬜︎であることを考慮すると、進展期〜加速期に相当する。詳細調査結果も考慮する必要はあるが、大きな変状がみられないことから、経過観察として点検頻度を増やして様子を見る方法が検討できる。ただし、下部工においては、上部工に比べて被りが厚いために、ひび割れやさび汁といった損傷現象が顕在化しにくく、内部で進行している可能性があるため、とくに南、西面や水がかりが多くなる箇所などについては、注意して点検を行うことが大切である。
残存膨張量や中性化残りが大きい場合には、劣化がこの後進行する可能性が高いことから、予防保全としてひび割れ注入工、表面含浸材塗布工法などを検討するとともに、箇所によっては再劣化しにくい工法(鋼繊維巻き立て工法など)を選定するとよい。
鋼構造に生じている損傷については、
ひび割れには探傷試験(超音波、磁粉等)により先端を特定してストップホール工法を行うとともに、
錆については、板厚や強度を確認した上で、塗替え工として、基本としては1種ケレン並びに2R以上の面取り加工 & RC-1系塗装を行なっていくとよい。
工法の選定は今後50年間のライフサイクルコストを踏まえて行い、再劣化を許容して補修補強を繰り返していくか、脱塩工法や電気化学的防食方法を行って、再劣化を出来る限り防いでいくかなどを比較しておこなう。
NEXCO各社が導入している高規格床版防水工や、専用接着剤と鋼繊維補強コンクリートによるコンクリート継目の一体化施工をはじめ、はつり作業におけるウォータージェット工法など、新技術も大いに取り入れるべきである。
なお、補修補強を行う場合には、補修後にも正確な状況把握が可能となるよう、またメンテナンスや点検がしやすくなるように設計、施工することを前提とし、間接的な点検方法等についてもセットで費用比較において提示すべきである。
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今後50年間、橋梁を安全安心に供用していくために、当初竣工時に適切な管理資料を台帳とともに整備しておくだけでなく、点検結果、補修補強履歴を保管しておくことが必須である。
また、定期的な法定点検頻度に囚われることなく、個々の橋梁の劣化速度を踏まえたメンテナンスサイクルの設定による点検やモニタリングの継続を行なっていく必要性を認識することが、長寿命化を達成するためには必要であろう。