参考:伸展ストップバンパーの接着方法
(オットボック本社より)
伸展ストップバンパーの機能は快適性を向上させるものであり、膝継手自体の安全性とは異なるため、ユー ザー様や製作所様での修理が可能です。
1) 上図に示すように上関節部の凹部にシリコーン接着剤(617H46)を充填する。
2) 下図に示すように、親指でバンパーを押し込みます。
➔非常に重要: 617H46の硬化時間/硬化時間:24時間 少なくとも、3時間は膝継手の使用を中止
することをお勧めします。また、24 時間は強い衝撃がかかる動作はお控えください。
オットボックジャパン様への要望について
昨日アップした、3R106の報告書に対するお礼と、求められた報告に対する意見について、少し遅くなったが返信することにした。
以下がその内容。
長い目で見て、オットボックさまが筆頭になり、業界を牽引するようなサービスの向上に舵を切っていただけることを期待します。
以下、送付した文書
義肢装具士様
オットボックジャパン様
本日お電話を頂き、改めて、レポートを読み直しました。
非常にわかりやすく、最大限の誠実な対応だと感じます。
心から、ありがとうございます。
年末にいろいろあり、お礼が遅くなりました。
改めて、感謝の気持ちを伝えさせていただきます。
さて。
本件で感じたことを義肢装具士様に聞かれましたので。
少し書かせていただきます。
参考になれば幸いです。
私たちユーザーには、いろいろ知らないことがあります。
とくに、義足を使い始めて間もない頃はそうですし、忙しい生活の中で、そんな暇がない場合もたくさんあります。
そんななかで、今回感じたことは、
メーカーさんにはおかれましては、
義足の支給制度によるメンテナンス期限や部品ごとの正確な保証期間、部品ごとにどの部分が調整可能な箇所でどの部分が触っては行けない箇所なのか。
どこがよく壊れる箇所で、どこが普通なら壊れない箇所なのか。
トラブルがあったとき、どんな場合が致命的で、どんな場合がそうでないのか。
これらの情報が、当たり前にメーカーから、全てのユーザーに、部品支給の都度、紙資料で与えられるとありがたいなと感じます。
また、義肢装具士さんには、
患者の状態にかかる義肢ごとの調整のコツ、患者の義肢の組み合わせによるメリットとリスクの説明、緊急時に患者自身で行っていい義肢の調整範囲とそれをした場合のリスクなど。
他にも、患者の義肢ごとの保証期間、サイズや型番の整理と、義肢を使用し始めてからのそれらの経過表みたいなものやそれを元にした義肢のメンテナンス計画、義肢の修理計画なんかもあるといい。
これらの情報が、義肢装具士の経験や義肢製作所の会社によらず、当たり前に全てのユーザーに紙資料で、義肢の修理の都度、与えられるとありがたいかな。
部品の故障に関しては
メーカーさんには、緊急時の予備の確保をお願いしたい。
また、メンテナンス依頼があった際、その依頼について、個別のトラブル報告がなかったとしても、全てのユーザーに対して、直接なんらかの方法で、聞き取りを積極的におこない、状況を把握することにより、義肢の使われ方やトラブルを早期に発見し、商品の改善に繋げていく姿勢が問われているのではないかなと。
ユーザー向けのお客様窓口もないですし、ユーザーとしてはメーカーに話をしたくてもできないのが現実。
義肢装具士さんや義肢製作所が千差万別である以上、メーカーも努力していかないと、ユーザー目線での商品開発は不可能かなと感じます。
ターンテーブルを娘のように使うことによる日本におけるメリットは非常に多いとも感じていて、
それを選択肢にいれた、日本文化に即した商品開発なども、きちんと聞き取れば、あるいは要望も出てくるように思います。
なんというか、ユーザーは受け身の人が多く、多くを望みません。メーカーや義肢装具士さんに恩義を感じていて、多少のトラブルは我慢する人が多いですし、他の義肢装具士さんと比較する機会も、メーカー同士を比較する機会もない。ましてや、自治体によりかなりな不公平があるなかでは、それ以前の問題も発生しています。
色々書きましたが、
今回のことで、きちんと申し出れば、やはりきちんとした対応をしていただけるんだなと、感じました。
ただ、
娘自身が、義足を一生履いていく中で
強く申し出なくても、当たり前に、さまざまな情報を得ることができ、当たり前に今回のような対応が自然となされるようになると、親としては安心して老いて死ねるなと。
そうしたことを感じました。
長文失礼いたしました。
ドイツの本社で対応いただいた方々にも、どうかよろしくお伝えください。
どうか、今後とも、娘のことを何卒よろしくお願いします
昨年にも書いたが、オットボックの膝継手、3R106という部品が、繰り返し同じ箇所に問題が起きた件について
「一度、きちんと調べてほしい」旨、義肢装具士さんにお願いをした。
以下は、そのおかげさま。
オットボックドイツ本社から調査後に届いた報告書の写しである。
そもそもこうした調査は、ユーザーが希望しなくても、メーカー側から能動的に行われるべきかなと思うところはあるけれど。
この報告書に書いてある、メーカーの姿勢は尊敬に値するなと私は思う。
ご協力いただいた義肢装具士さま、メーカーの担当者さまに感謝したい。
以下、報告書(一部個人情報を削除)
3R106 不具合に関するご報告(写)
日頃より、弊社膝継手 3R106 をご使用いただき、誠にありがとうございます。
はじめに、製品の改善要求をいただいていたにもかかわらず、ドイツ本社への報告に至っておりませんでしたことを深くお詫び申し上げます。これは、弊社では修理のご依頼と認識し、国内の修理サービス部門にて修理・検査を実施するに留まっていたことが原因です。お客様のご意向に沿うことができず、ご不安、そしてご不快 な思いをおかけし、誠に申し訳ございませんでした。
修理依頼を承った際に、綿密に使用者様のご意向を確認する配慮があれば防げたことと思います。今後、このようなことがないよう、担当製作所の皆様とのコミュニケーションに一層の力を入れて参ります。
今回お預かりした 3R106 はドイツ本社に送付すると共に、修理部門、研究開発部門、製品責任者であるプ ロダクトマネージャーの三者に過去に繰り返し発生している故障の報告を行い、対応について回答を求めまし た。
その結果を、次頁にて報告いたします。
なお、いただいた動画とお話を参考に推測する部分も多く、実際のご使用状況に不相応な記述もあるかと存 じます。しかしながら、曖昧な翻訳による誤解が無きよう、本社からの回答を率直に日本語にしています。どうか、ご理解いただけますようお願い申し上げます。
今後も、ドイツ本社または弊社にて改善可能な点がないか検討し、ご報告いたします。 引き続きご迷惑をおかけいたしますが、今後とも、弊社製品、およびサービスに対するご指導ご鞭撻をいただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
オットーボック・ジャパン株式会社 義肢事業部
3R106修理実績(割愛)
ドイツ本社からの回答:修理部門(MASC)/研究開発(R&D)/製品責任者(PM)
該当の膝継手をお預かりした時点では、軸ボルトの緩み、または緩んだ形跡を確認することはできませんでした。伸展ストップバンパーに関しても、緩み、外れの恐れはない状況です。検査によって、機能には問題が認められませんでした。
3R106 の軸ボルトは≥13Nm での締め付けが規定されており、お預かりした 3R106 の締め付けトルクは左側 が 14Nm、右側が 14Nm を僅かに超える値で、問題ない範囲です。 よって、お客様の訴えを製品から確認することはできず、基本的に、製品の品質には問題がないと判断して います。 しかしながら、提供いただいた画像、動画から、訴えの症状の原因と疑われる点がありますので、お伝えします。
ユーザー様が座っている写真(IMG_0418)では、脚を横向きに傾けて床に座るために、チューブアダプタ ーと足部の間にローテーションアダプター(ターンテーブル)が取り付けられています。 ターンテーブルは、膝継手の上部への取り付けが原則であり、この状態での使用では、3R106 に想定される範囲を超えた深い座り込みと膝の屈曲が起こり、前方の軸ボルトに大きな負荷がかかります。 この負荷は、軸ボルトのボンディングを緩める原因にもなります。 (*補足*英語文にはありませんが、前方の軸ボルトが緩むことを起因として全体のバランスが崩れ、他のボルトの緩みに繋がることを、口頭にて追加説明がありました。) 具体的には、ターンテーブルが正しい位置にない場合、ユーザー様は踵の上に座ることとなり、この状態では技術的に最大屈曲角の 170°を超えた状況が生まれて負荷が軸にかかります。 このような深い座り込みとターンテーブルの組み合わせは、お控えいただけますようお願いいたします。
ユーザー様が階段を下りている動画では、左足が段の端近辺に置かれ、そのままスライドして落ちることで、全荷重が義足側にかかっていることが分かります。したがって、伸展ストップバンパーに繰り返し大 きな負荷がかかります。結果として、バンパーの交換頻度が多くなると考えられます。 (両側義足の方の場合、このような階段歩行になることは承知しております。残念ながら、機械式膝継手の機能上、あらゆる負荷に耐え続けることはできません。片側義足のユーザー様に比べて、両側義足のユーザー様にご不便をおかけすることは、大変心苦しく思いますが、頻繁にバンパーを交換いただ くことが、現状の対処法となります。
全体的に動画を拝見し、ユーザー様の歩容は大変すばらしいと感じます。義肢製作所様はじめ、今までユーザー様の苦情の原因を確認できなかったことは、この歩行状況からも理解できます。
なお、状況を詳細に確認するためには、ユーザー様による修復を行わず、機能を損失した状態で製品をオットーボックに送付いただく必要があります。弊社では、ユーザー様自身が軸ボルトを締め直し、接着することを禁止しております。したがって、機能が失われた際には、代替品への交換を行い、故障状態を保全した上で弊社サービス部門に送る必要があります。症状を判断するために、どうかご協力をお願いいたします。 (*補足*急な故障に際して、その場に代わりの義足があるわけでなく、自己での修理を余儀なくされ る場面があることは重々承知しております。しかしながら、特に状況の判断、改善を求められる場合においては、保全した状況での送付が重要になります。)
また、過去にお預かりした修理依頼品については、製品の問題が疑われるクレーム案件としてではなく修理案件としてお預かりしていたため、過去データからの解析を行うことはできませんでした。
今後の対応について
軸ボルト(トルクスネジ)に関しては、現状の製品品質に問題がないと判断され、改良の予定等はございませ ん。全ての要望にお応えすることは、現在の 3R106 の構造では不可能と考えます。 修理が必要となった際の対応に関して、まずは担当製作所様にご連絡いただき、お渡している 2 本を修理代替品としてお使いください。また、これまでもして頂いていることですが、引き継ぎ定期点検をお願いいたします。なお、伸展ストップバンパー(4Z81=4X12)の予備も担当製作所様に確認のうえ、適宜お渡しいたしま す。
伸展ストップバンパーに関しては、脱落を防ぐ製品改善をオットーボック・ジャパンから求め、製品責任者から は、改良が可能か、製品改良議題として取り上げるとの約束を得ました。
国内、また世界的にも伸展ストップバンパーの脱落に関するクレームは非常に少なく、本社まで正確な情報が伝わっていない状況にありました。これは、伸展ストップバンパーが外れた際は、現状ユーザー様や製作所 の担当者の方々が個々に取り付けを行っているためであり、本社が深刻に捉えたのはユーザー様のご意見があっ たからに他なりません。 元々バンパーは柔らかいパーツであり、破損する際にはバンパー自体が硬くなったり、割れたりしていることが 多く、穴部分を改善しても脱落を防ぐことはできないかもしれません。しかし、それらの状況も含めて改善策がないか検討して参ります。