整理をしていたら出てきた赤ちゃん人形
懐かしい。
手のひらサイズの起き上がりこぼし
ビー玉二つ分くらいのサイズ
この人形
私の、私たち家族の恩人である。
少しだけ、昔話を聞いてほしい。
上の娘が産まれた時、体重が少なくて
新生児集中治療室(NICU)にはいることになった。
極小未熟児と呼ばれる状態で、10を超える合併症を伝えられ、いつ命の危険を迎えてもおかしくないと、手術や輸血の同意を3枚くらい書いたのを覚えている。
その後、7週間半、周産期集中治療室にて羊水環流で寝たきりだった、衰弱して座ることもできない妻に変わり、娘の両脚脛骨欠損などを伝えられ。
いまだ不安定な状態の妻に、準備不足のままで、それが伝わり。
妻や妻の両親がパニックに陥って。
私一人で流れに逆らうと、妻との関係が絶望的になりそうな空気で、娘に会いに行けなくなり。
NICUの看護師さんに、こっそり「写るんです」を預けて、写真をたくさん撮ってもらいたい旨を伝えた。
その時
ある看護師さんがくれたのが、この人形である。
渡された時、なんと言われたかは忘れてしまったけれど。小さな命が生きようとしていると言うことを、私に絶えず教えてくれた。
その後に、様々な苦難に陥るたびに、この人形には救われた。
でも、なんだか恥ずかしくて、誰にも言えなかった。
この人形をそっとしまい込んだのは、いつだったか。下の娘が産まれた時だったような覚えがある。
長い間私を支えてくれた、小さな小さな英雄。それが、この赤ちゃん人形なのである。