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加谷・高橋・熊野・須田・著“日銀利上げの衝撃”を読んで

前々回、このブログで“河村小百合・著『日本銀行―我が国に迫る危機』(講談社現代新書)”を取り上げた。それでは、その“我が国に迫る危機”がこれからどうなると思われるのか知りたくなる。そこで書店で渉猟して見つけたのがこの本“日銀利上げの衝撃”だった。これは4人の共著である。それも近しい立場ではなく、それぞれ別の見方・別の立場と言って良く、それぞれ個性がにじみ出ている。むしろ、その方が様々な意見が分かって好都合と、飛びついた次第である。 デフレ脱却は未だ未完であり、金融緩和は継続の要あり、金融政策と同時に財政出動が必要あり、がここの著者の一致した見解であった。しかし、従前と同じ財政政策であれば乗数効果がない政策になるとの鋭い指摘は加谷氏だけだった。 また“賃金が上がらない問題”の提起や“コスト削減と価格据え置きがデフレの要因”であると言い、企業経営者が設備投資や研究開発を行うための借り入れを行わず、500兆円に上る内部留保の積み上げに躍起になっているのが問題だというのも一致した見解ではなかったか。 要は日本の経営者の資本主義的マインド、つまり進取の気性の喪失や冒険心の欠如が原因なのだ。であれば、このマインドを変更させる施策が必要なのであり、それは金融政策でも単なる財政出動でも解消できる問題ではないのだ。 日本人社会に資本主義や自由主義は果たして不向きなのだろうか・・・そう考えると絶望的な気分になるのだが。 . . . 本文を読む
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