The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
“ISOを活かす―35. 製造仕様書を設計のアウトプットとして、品質トラブルを防止する”
今回は 設計プロセスの問題です。
【組織の問題点】
携帯電話メーカーA社では、ISO認証取得後、品質トラブルは減少してきたのですが、最近は製造開始後に発見される設計起因の品質問題が目立ち始めてきました。原因は設計部の作成した設計図や製品仕様書と、製造部で作成した製造仕様書、プロセス仕様書、検査基準書との間で食い違いが発生したためです。
このような設計部と製造部の間に生じた食い違いを、どのように回避できるかという課題です。
【磯野及泉のコメント】
コメントするには 情報不足で 非常に辛い事例です。
“設計部の作成した設計図や製品仕様書と、製造部で作成した製造仕様書、プロセス仕様書、検査基準書との間で食い違い”は 具体的にどのようなことを指しているのでしょうか。
受け渡しする情報が 何か欠落しているため生じるトラブルではないでしょうか。ならば、“何故 その情報欠落が生じるのか”の原因を追究することが 第一のように思います。恐らく 厳しく “なぜなぜ解析” を実施するべき問題でしょう。
受け渡しする情報の欠落問題であるとすれば プロセス・アプローチで分析してみることも重要です。プロセス間のインターフェースの分析に重点を置くべきです。
そうでなければ、いかに “製造部と設計部が 共同で設計検証を行う”ようにしても、その検証の段階で ようやく誤りを発見していたのでは、品質トラブルを未然に防げるかも知れませんが、開発プロセスでの“手直し”となってしまいます。そして それまで作成した“製造仕様書、プロセス仕様書、検査基準書”が 無駄になってしまいます。こうなると業務負荷のロスばかりではなく、貴重な時間の無駄、開発納期遅れとなってしまいます。開発プロセスでの 納期遅れは 今や致命的です。
この点を ISO9001では どう見るべきなのでしょうか。これは 効率の問題なので ISO9001の範囲外かも知れません。
著者・岩波氏の指摘通り、“「設計・開発のアウトプット」=「製造のインプット」” であることは 間違いないのですが、それを前提として さらに “開発プロセスでの無駄” をなくすことを視野に入れて さらに踏み込んだシステムの改善を行うべきでしょう。そうでなければ、A社の設計・開発の生産性は 改善できませんし、それができなければA社の経営者は不満足な気分になるでしょう。
まさに ISOマネジメントの守破離の精神が 必要です。そういう意味で ISO9001は “間違いなくビジネスを履行するための仕組のありかた”を示していますが、それは最低限のものであり、ミニマム規格と言われる由縁です。ここでは、さらにエクセレントな卓越モデルを目指して、慎重な原因分析と対策の熟慮断行が必要でしょう。
コメント ( 0 ) | Trackback ( )
« 高崎観音と上... | びわ湖環境ビ... » |
コメント |
コメントはありません。 |
コメントを投稿する |