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名古屋散策―リゾート開発会社の株主総会に参加して

先々週、リゾート開発大手の会社の株主総会があったので、行ってみた。名古屋は全く久しぶりだ。随分以前お話だが、ステンレス薄鋼板の技術サービスの仕事をしていた時は、2ヶ月に1度くらいは仕事の出張で訪れていたが、最近は全く訪れていない。もっとも、昨年の今頃、トヨタ産業技術記念館の見学会に参加したが、バスに缶詰めにされて行ったので、旅情一切なしの“移動”だった。今回は、自前の移動だった。

自前なので、何とか交通費はコストミニマムにしようと事前にかなり検討した。関西からの名古屋移動となると真っ先に浮かぶのが近鉄を利用してのものだ。そこで、そのルートの可能性を調査。すると大阪難波始発の特急に乗れなければ、名古屋城近くの会場に午前10時開始の総会には間に合わないことが分かった。
そこで、その目指す列車に乗車するべく座席予約を取る方法を検討した。特急券が手に入ったとしても、座席の予約ができなければ、目指す特急には乗れない。しかも神戸でそれが可能か調べてみたが、阪神電鉄はそこまでの協力体制にはなっていないようだ。ネットで予約しようとしても、何だか会費めいたものを払い込んだ上で会員にならなければ、予約できないようになっている。近鉄特急のリピータにならなければダメ、ということのようだ。
一般に高速バスの座席予約は、無料で会員になって座席予約し、その予約した番号を持ってコンビニに行って払い込み、予約座席の発券を受けることが可能だが、近鉄はそこまでのサービスは展開していないようだ。阪神電鉄の協力体制すらはっきりしていない。

そこでコストダウンの頼りになる金券ショップで相談してみることにした。そこでは、2千円チョットで近鉄特急券を売っているのだが、その切符を特急に乗る直前に駅で提示して座席を確保する方法しかないという。もし、そこで目指す座席が確保できないならば、次の特急に乗れば良いと言う。それでは総会開始時刻に間に合わない。また、旅行代理店で座席確保できるかも知れないが、“手数料を取られるはずだ”という。
私は、こうした時代遅れの近鉄の姿勢に失望せざるを得なかった。ダサいデザインの赤パンダ電車を私はタゴサク電車と呼んでいるが、その根拠をまた一つ再確認したのだ。近鉄沿線で育った私としては非常に残念だ。

そこで、近鉄をあきらめてJRの乗り継ぎで行く、と言うと分割された普通回数券を勧めてくれた。好都合だが、販売戦略にはまったか。
(神戸市内)→¥360大阪→¥470京都→\1,800岐阜→¥460名古屋の合計¥3,090。これは正規で買えばジャスト\4,000となる。新大阪から新幹線自由席利用で¥6,480。阪神→近鉄特急でも正規料金で¥4,650、金券ショップ利用でもう少し安くなるかもしれないが確実性を考えればまぁまぁ十分だ。
“当日、しんどいと思ったら新幹線の特急券を買い足せば行けるョ”というコメント付だった。こうして近鉄より高いが、確実に行けるJR乗り継ぎを選択した。

実際は6時前に出発して、大阪に6:30着。そこから新快速で米原に8:00着。米原では同じホームの隣の線路に待っている普通列車に乗込み、大垣に向かう。少々車両は汚れたままで車窓からの視界若干不良。在来線はこの辺りでは結構蛇行している。伊吹山や関ヶ原の遠景を楽しむ。大垣に8:37着で、連絡橋を渡って別のホームに待つ8:40発の新快速に乗り換えるが、かなり混んでいて立つ。9:15に名古屋に到着。切符が4枚あるので自動改札は通らず、脇にいる駅員に手渡すとキチンとチェックしOK。それほどの疲労感なし。むしろ乗り換えでその度に気分が変わったからかも知れない。一度はやってみたかった旅程だ。ヒョッとして、この調子で東京まで当日中に行ける?気儘に途中下車して、これぞのんびり一人旅の醍醐味かもしれない。
ここから地下鉄で浅間町へ伏見経由で予定通り到着9:42。10時からの御堀端のホテルでの総会に間に合う。ここまでで3時間50分弱の旅程。

さて、目的の株主総会。総会に行くと、結構その会社の様子が分かるものだ。
川崎重工の株主総会には、ほぼ毎年出かけるが、最近は会社側に結構余裕が感じられる。よく考えてみれば、重工業界トップの三菱重工は米国で原発訴訟を受けているし、旅客機MRJの開発は延期続き、客船建造も事故続きの不調で、元気がない。一方2番手と思われる川重は失敗もなく業績は快調、だからだろうか。かつて重工業の中心だった造船業は、大幅に合理化されて業界の様相は大きく変化している。川重も国内での造船は継続しているが、主力は中国に重点投資、育成中のようだ。IHIは造船部門をJFE系の会社に譲渡している。そのJFE系の会社はジャパン・マリン・ユナイテッドとなり、結果的に大手4社が合併し日本最大の造船会社となった。
製薬業では武田薬品工業の株主総会に行くことが多いが、ここでの業績報告は分かり難い。米国会計基準を持ち出して説明するのだが、結局理解不能で、なんだか株主の目くらましをしているのではないかと疑る程だ。そういう会社の不鮮明なカルチャーが、外人経営者を起用しても逃げられてしまう結果となっているのではないかと思わざるを得ない。アステラスも大阪発祥の企業だが、今本社は東京なので総会は、東京で開催している。しかし、出来るだけ発祥地の大阪で株主説明会を開くようにしているようだ。こちらの業績説明は、社長が重役を引き連れずにやって来て一人で明快にやる。事業の選択と集中も適切で、社会貢献にも目が行き届いているように思える。証券会社のIRセミナーでも、冒頭にそのIRのための社長の挨拶映像を逐一作っているようで、それが流される。このままではヒョッとして、製薬業界の盟主が入れ替わるのではないかと私は見ている。

話を戻そう。大手リゾート開発の社長はどういう人であろうか。星野リゾートの星野佳路氏や小山薫堂氏のようなイメージで、どのような内容をどのような話し方でするのであろうか、少しはモノの見方を拡げることが出来るかもしれない、と期待して参加する気になったのだ。
恒例で社長が司会というか、議長をするのだが、業績説明はパワーポイントで女性の録音アナウンス。その後の質疑応答は、もっぱら会員株主によるサービス内容に対する苦情のようなものがほとんど。会社の方向性など経営に関する質疑は全くない、内輪の会議の印象だった。ところで、その社長の対応をみていると、腰の低い商売人、といった風情の話し方で、星野氏や小山氏のイメージとは程遠い。こんな調子でリゾート会社の運営が為されているのだろうか。それとも私の感じ方に底の浅さがあるのだろうか。もう少し、この会社のウォッチャーとして株は持っておいて、来年も総会参加を考えるべきだろうか。この会社がトップとなった要因や優位性を何処に見出すのか、若干悩ましいところである。こうして、ある種の現実を知って期待外れ感と落胆の中、ホテルの会場を後にした。

当初は近くの名古屋城を見ようと思っていたが、事前に調べてみると未だ御屋敷の再現工事中なので、中に入ってもつまらないだろうと、大手門の前までは一応行って見て引き返して来た。
丁度、昼食の時間だが、事前の食べログ調査では浅間町界隈には、名古屋名物きしめんの飲食店はなさそうだ。味噌カツもつまらない。この付近の食べログ地図で高得点の店があって、そこのオムレツが人気で地元テレビでも紹介があったようなので、そこに行って見ることにした。
それは“いち寅”という町の食堂のイメージ。12時直前で未だ御客は少なかった。食べログでは早目にオーダーしないと売り切れることがあると書かれていたので、多少の焦りがあったが大丈夫だった。
玉子は肉厚で今流行のフワトロ。デミグラスもコクがある。ライスも、普通はチキンライスでケチャップ使用だがそんな安易さはなく満足できるものだった。さすがに人気メニューではある。



その後は、折角の久しぶりの名古屋なので、やっぱり何か見ておこう、しかし、帰りの旅費はさらにコストダウンを狙っているので名古屋14:41発の近鉄電車としていて、いろいろ見る時間はない。そこで、昨年のトヨタ産業技術記念館の近くの施設として話題だった“ノリタケの森”に行ってみることにした。
浅間町から地下鉄で、亀島に向かう。丁度、来た時と逆向きになり、名駅を通り過ぎて一つ目の駅になる。
来た時は、遅刻しないか気懸りで気にならなかったが、地下鉄駅や車両のどこか薄汚さが気になる。まるで、40~50年前の大阪の印象だ。そういえば、下町の佇まいも その頃の大阪を思い起こすような気がした。名駅付近など中心地区のビルは大阪より遥かに進んだ奇抜デザインのビルが多いが、そうでない所との市街地間格差が大きいように感じた。
一旦気になりだすと、相互乗り入れしている名鉄の赤い車両も結構黒ずんでいて印象が悪い。以前からこの名鉄の赤い色もいかがなものかとは思っていたのだが・・・。そういう点で近鉄の車両デザインと変わりないような気さえする。

さて実は、お城の堀や“ノリタケの森”もカメラで写真を確かに撮ったのだが、そのまま置いておいたのをイザこの投稿に使おうとしても、いつの間にか蒸発してしまっていた。理由不明。先週確かめた時はあったように思うのだが残念。“いち寅”のオムレツは撮影時、カメラを取出すのが面倒でスマホで撮っておいたのが残っていたのだった。なので、ここからは写真がない。もし、イメージしたいということであれば、ホームページでも御参照願いたい。

もっとも“ノリタケの森”での肝心のミュージアム陶器製造過程は撮影禁止なのでホームページ等御参照の写真で十分でないだろうか・・・。
いわゆるイーストゲートから進入したが、いかにも施設配置が悪い。施設の全体観が無い状態でひとまず、手近な建物に入ってガッカリ。何故ならば、ノリタケとは直接関係のないアーティスト作品の展示会だった。一体どうなっているのか。レンガ工場の壁の遺構の中を、わからないまま内部へ進むが、どうも違う?と迷いながら、少し逆方向に歩いて煙突広場へ。建物群を左に見ながら、その中へ再度進入。ノリタケ製品のショップを右手に見るも、14:41名古屋発の列車に乗るつもりだったのでウィンドショッピングする気もなく、中には入らず。
ようやくミュージアムがあり、中に入る。ここは一般の人は有料。内部の画像とアナウンスでの説明は、統一感や脈絡のない印象で消化不良のまま1,2階を出る。3階はこれまでの見事なノリタケ製品の展示だった。
一番最初に見たかったウェルカム・センターの建物が一番奥にある。もうほぼメイン・ディッシュも食べ終わった後に出て来たアペタイトといった感があって少し食傷感さえあり。しかし、創業者のブランドや信用を大事に考えていたのが、改めて全体として良く理解できたような気がした。明治初期の企業家達は、多少の誇張はあるのかも知れないがいずれも自らの信用を重視したというのは、それまでの日本文化の何に起因するのか、気になるところだ。またノリタケは創業時は職人組合のような組織だったようだ。それも起業にあたって、現代でも株式会社にこだわらず、様々な組織形態が考えられるので、その中の適切な形態で企画することが重要だという教訓を残しているように思った。またノリタケは結構多くの“渋い”現代優良企業のルーツであったことも知るところとなった。

“ノリタケの森”を出たのは2時過ぎだったように思うが、JR東海道線の高架を目指して一直線の道路を徒歩で行く。その後ガード下を抜けて、高架沿いに名駅の西側に出て、地下街エスカで名古屋土産を買おうと思ったが、いつも名古屋での土産には困ってしまう。以前名古屋出張で買ったことのある富山の鱒寿司の店を捜したが、その店は見当たらず。だが豊橋の竹輪があったので買った。それから三重・桑名の細長い餡餅は知らなかったが気になって買った。帰宅後、食べた結果は、いずれも外レではなかった。
急ぎ足で近鉄名古屋駅に向かう。ここから神戸まで帰る。そのために例の金券ショップで近鉄株主優待券(近鉄全線対象)を\1,600で買っていた。これを使って伊勢中川までは14:41発の急行で一気に行けたが、大阪線に入ると中川駅では勿論、要所の駅で特急待ちとなり、その特急も目前に停車して追い越されるようになっていて時間だけがどんどん過ぎる。いかにも有料特急に乗るよういざなう営業政策だ。
結局、朝の往路に比べて大幅なコストダウンにはなったが、大阪難波まで3時間15分かかり、神戸の自宅に着いたのは午後7時を過ぎていた。往路交通費総額は2千円強だったが、結構疲れた。

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