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雑誌“世界3月号”の記事を読んで

北京冬季五輪のスノーボード・ハーフパイプで平野歩夢氏が金メダルを獲得した。
ついにこの種目の開拓者・ショーン・ホワイトを抜いた、というかその第一人者の地位を引き継いだ。秘めたる技、奥の手を出さずに獲得した地位のようだ。
それにもかかわらず、御本人は常に冷静である。自己を客観視できている印象がある。従いこれからまだまだ、その地位を確保し続ける余地を残しているという点で将来性が大いに見込める、素晴らしいことのように感じる。
スポーツ選手にはこうした自己客観視できる冷静さが重要なのだ、と思えるようになった。否、それは私も含めて一般人にも大切なことと考える。そして、そのアプローチではできる限り科学的な手法を採用することなのだ、と考えるのだ。

だが、フト思った疑問がある。スノー・ボードやモーグルという非伝統的・革新的種目でのトップ・レベルへの躍進は結構なことだが、冬季五輪での伝統的メイン種目と言えば、アルペン・スキーで、これがメイン競技である。だが、この種目で日本は一向に芽が出てこないのはどういう訳だろう。この種目分野での日本の世界レベルのトップ・プレーヤーが出そうになることが度々あっても、その後続者が中々育ってきたはいないのは、どういうことだろう。同じスキーでもジャンプや複合などのノルディックでは世界レベルのトップ・プレーヤーは結構出て来ているのだが、アルペンではほとんど聞かない。何故なのか。不思議だ。
私自身は幼い時からスポーツ音痴で育ってきたのが、学生時代にスキーに親しんで、スキーだけは周囲の人以上に滑れて楽しめた、そういう運動神経はあり人並みにできるスポーツはあったのだとの思い入れのある種目だったので、日本のアルペン界の残念な状況を惜しく思っている。日本のアル・ペンスキーのメーカーを含めてアルペン界の奮起を期待したい。

それに、この度の五輪では、その判定に疑問符が付くものが多いという印象もある。スキー・ジャンプの着衣に対する判定は、競技前に下して出来るだけ是正させる機会を設けて参加させる対応が求められるのではないか。スノーボードの平野氏に対する判定も疑問なものがあった。しかし、彼の場合は冷静な反発心で、逆にトップを勝ち取ることができて、結果オーライとなったのだが。
まぁ、こうした大会運営に関する議論は今後の進展を見たいと思う。

コロナ禍の感染拡大は“そろそろピークが見えて来た観がある”、と言い続けているが、今回も繰り返したい。実効再生産指数が、単調減少になっている。全国で1月9日で5.9だったのが、先週末11日現在で1.03。各地も1.03前後になってきた。1を割ったら感染拡大は逆転して縮小となるハズだが、いよいよその一歩手前となった。

地域     実効再生産指数最大時期    ピーク値     先週末2月11日の値
全国      9日            5.9         1.03
東京      10日            5.26         1.01
大阪       9日            4.82         1.06
兵庫      10日            5.48         1.03
京都      11日            3.80         1.01

というようなデータを挙げたところで、日本のデータは肝心の感染者数が1万人単位で事実とは異なっているという。つまり日本のデータはタイムリーに正確ではない、ということのようだ。まるで、開発途上国のようなのが日本のデータ実態のようだ。最近はデータ改ざん事件もあり、段々何を信じて良いのか分からない事態になっている。
どうやら1次データを入力する現場では多忙で入力する手間が取れない、或いは未だFaxでデータを送る場合もあるようだがFaxを受け取った側がデータが多すぎて入力する人出がない、或いは手書きの癖字が読めない等々があって遅延し、タイムリーなデータになっていないという。
要は、カルテが電子化されていない、未だにFaxと電話で情報のやり取りをしているという一時代昔の方法に頼っていることが問題のようだ。日本のIT化の遅れという社会的弱点をさらけ出しているのだ。

デンマークでは既に新型コロナ・ウィルスとの完全な共存社会に移行したようだ。新型コロナ・ウィルス関連のあらゆる規制が取り払われ、社会は完全に正常化したとのこと。どうして、そのようなことが可能となったのか。それはタイムリ-で正確なデータに基づいて政策判断を行っているからだ、というのが結論のようだ。
デンマークでは、PCR検査は普通の人でも10回前後は行っている、という。日本では私のように全くPCR検査を全く受けたことがない、というのが普通なのとは全く異なる世界なのだ。だからこそ、ブースター接種も早々と決断し実施できていると考えられないだろうか。私自身も未だ受けられていない。
ο株への移行の度合いも日本では正確に掴めていないままに、症状からそのようだ、と判断しているに過ぎないのではないのか。それが正確に把握できぬままで、医療体制の安易な変更はできるはずがない。状況に応じて、迅速な対応が出来ていないから、医療崩壊に近い状態に直ちに至ってしまう、という要素もあるのではないか。
それにもかかわらず日本では、未だに“PCR検査は意味がない”という非科学的情緒的主張を繰り返す人がいるようだ。それも結構な社会的影響力を持った人々で居るということが問題なのだ。状況の実態をタイムリーに精確に把握できなければ、的確な対策は不可能なのだ。それが“敵を知り、己を知れば、百戦危うからず”の心なのだ。この古来からの真理を身に染みて知らなすぎるおバカさんが多すぎるのだ。

迅速な政策変更ができない日本に対し、各国がいよいよ愛想をつかし始めているようだ。長引く日本のコロナ鎖国政策に、世界が呆れているのだ。おバカな国?!それは思考の無原則・非科学性によるものであることを反省するべきではないか。だが、こういう声に耳を傾ける日本人が少な過ぎるのも問題ではないか。夜郎自大のままでは、“誰一人取り残さない”SDGsの時代にどんどん世界から取り残されるのだ。



さて今週は、世界 2022年3月号で読んだ記事を紹介したい。新聞広告で、見た“世界3月号”の内容に興味ある記事が多かったので、早速買って読んでみたのだった。たまには、旬な話題の識者の解説を知るのは大いに“お勉強”になると考えるからだ。先ずは、読んだ記事のリストを目次から拾い上げると次のようになる。未だ読んでいない記事も当然あるが、取り敢えず読めたものを取り上げたい。
テーマとして、大きく分けると、(1)現政権のいう“経済安保”とはいかなる実態や背景となっているのか、(2)大阪の“維新”の政治の実態はどうなっているのか、(3)台湾有事に対する日本の防衛体制をどう見るべきか、(4)その他、赤木ファイルやEUでの原発への対応となっていると見て頂きたい。

世界 2022年3月号
特集1 経済安保の裏側
①〈ルポ〉町工場 vs 公安警察─ルポ 大川原化工機事件・青木 理(ジャーナリスト)

②〈権益と省益〉官僚たちの経済安保─"自国ファースト"の陰で・富田 光(東京新聞)

③〈生活と生命を保障するもの〉なぜ資源/食料の自給を語らないのか?・柴田明夫(資源・食糧問題研究所)

特集2 維新の政治─「改革」の幻惑
④〈躍進の背景〉維新を勝たせる心理と論理・松本 創(ノンフィクションライター)

⑤〈「改革」幻想を振り払う〉大阪と市民自治─維新には何が不可能か・平松邦夫(元大阪市長)

◆注目記事
⑥〈腐った国家にメスを!〉「赤木ファイル」を読む(下)─公務員個人の責任が問われぬ不条理・金平茂紀(ジャーナリスト)

⑦〈調査報道〉台湾有事と日米共同作戦─南西諸島を再び戦禍の犠牲にするのか・石井 暁(共同通信)

⑧〈島の現実〉沖縄と基地とオミクロン・下地由実子(沖縄タイムス)

⑨〈合理的に考える〉防衛費2%の無理と無駄・文谷数重(軍事評論家)

⑩〈原発はグリーンか?〉原発とどう向き合うか?──葛藤するEUの均衡解・八田浩輔(毎日新聞)

◇世界の潮
⑪◇「台湾有事」報道の虚と実・本田善彦


(1)“経済安保”の実態については①②③の記事から読む。
①は結論からいうと、“経済安保”とは直接的にあまり関係はない。“経済安保”に絡んだ公安警察の普通の市民への抑圧してくる現実を赤裸々に報告してくれている。まるでヤクザが善良なる一般市民にインネンを付けて、絡んでくるかのような実態なのだ。問題の核心は取り調べでの“人質司法”。“自白”しなければいつまでも拘束される。この悪しき日本司法の“伝統”が続く限り“冤罪”はなくならない。これを読んでいると、コウアンとは一体何者?、何のための組織?と言いたくなる。
日本のコウアンはオウム真理教団を阻止できなかった。しかも、それに絡めてしまって“警察庁長官暗殺事件”を迷宮入りさせてしまった。それが日本の真の治安維持に与えた悪影響は大きいのではないか。その反省はあるのだろうか。
全般に“人権意識”の低い社会では、無限定な公安警察の活動は極めて危険と言わざるを得ない。おのずと“人権意識”の低い社会でのSDGs活動が“ゴッコ化”する滑稽さにも意識が向かってしまう。オチャラケてはいられないのだ。

②記事は、“経済安保”とはいうものの内容は“日の丸半導体”復活への政府筋の動向、思惑を紹介したもの。日本の半導体が凋落したのは、日本企業経営陣のビビり、オヨヨ姿勢が原因だったのではないのか。企業経済人の果敢で積極的投資と革新の精神が決定的に欠落していたのが原因ではなかったか。そういう反省なしに、“日の丸半導体”復活はありえないのではないか。そういう反省なしに、世界のIT化の動きにキャッチアップすることはできない、と考えるがどうだろうか。
それよりも、“経済安保”というならば食糧・エネルギーの自給体制を構築することが根本ではないのかと、思う。そう思いながら③にとりかかった。

③ではまず、世界の農産物インフレ(アグフレーション)に言及。蝗害(サバクトビバッタ)、干ばつ等の供給サイドの問題や中国をはじめとする途上国経済の発展から需要が増大していることの問題によるものだという。不足するから価格が上がる、そういうことだ。原油、金、銅、鉄鉱石、石炭、砂糖、コーヒー、綿花・・・ほぼあらゆる一次産品の価格が上がっている。
需要面では中国の爆買いも問題のようだ。日本は買い負けている。“2011~20年に中国勢が押さえた世界の農業・林業・鉱業用地は648万ヘクタール。北海道の4分の3の規模で、英国勢(156万ヘクタール)、米国勢(86万ヘクタール)、日本勢(42万ヘクタール)をはるかに凌ぐ(日経新聞2021年7月11日)。”農産物の輸入量は減少基調にあるという。“(問題の)本質は日本が「買う力」を失いつつあること”だという。
だが、では具体的に何をどうするべきか、についての言及はここではなかった。

次に(2)大阪の“維新”の政治の実態についてで、④⑤である。

④では、大阪の報道機関が維新の会にすり寄っている事実を紹介している。つまり在阪テレビ局などが積極的に大阪の地域行政についてPRするかのようにバラエティ番組でも取り上げてすり寄っているという。そういえば、その傾向が強いとは感じてはいたが、ここで報じられた実態は相当に酷い。特に、“大阪府と読売新聞大阪本社の「包括的連携協定」”があるというのだ。そんな事実があったなどとは全く知らなかった。なるほど読売テレビの大阪府をPRする姿勢が強いとは実感はしていたが、実態がそこまで進展していたとは知らなかった。報道は知らぬ間に歪められている可能性は高いのだ。この極端な姿勢に、さすがの読売OBも反対行動を起こしているとのことである。
毎日放送MBSも吉本芸人を使って“大阪維新”にすり寄ったバラエティ番組を制作し放映していたという。MBSは特に在阪テレビ局で最低の視聴率なので必死の“挽回策”であろうと指摘している。
このようにして、あたかも大阪府知事はコロナ禍で頑張っているかのように報道され、そのような印象が持たれてはいるが、実態は異なるのが事実だ。
7日間の新規死者数(人口100万人あたり)2022/02/11現在で、大阪府は17.5、全国平均で7.4で大阪はダントツ。これでも吉村知事は頑張っていると見てよいのか。大阪市内に84億円を投じて整備した「大阪コロナ大規模医療・療養センター」は有効活用できていないようだ。これは行政の不作為以外のなにものでもない。完全な失策だが、これに批判する声はかき消されているのか。
だが、メディアの影響力はそれほどでもないとの分析もあるようだ。“維新に敗れた側は長年固定化した‘身内’の支持者や団体に向けて、彼らの聞きたい主張や「正しさ」を語りかけるばかりで、政治的志向や関心を強く持たない無党派や若年層を置き去りにし、遠ざけてしまっているのではないか”という検証が必要だとのことだ。
何より大きいのは、“維新誕生後の10年で大阪の街並みが目に見えて変わって来た”ことだという。梅田のグランフロント、天王寺公園のてんしば、大阪城公園の整備・美化等々ではないか、という意見もあるようだ。それが維新への強固な支持の根源ではないかと記事では暗示している。

⑤は元大阪市長の平松氏の投稿である。内容的には異口同音の域を出ない印象だった。
突き刺さった言葉は、“街中にあふれる(維新の)ポスターには「成長を止めるな!」という文字が躍る。だが、現実に大阪は「成長」しているのか。何をもって成長というのか。大阪で暮らしている市民の中で、その「成長」を実感している人がどれだけいるのだろうか。”であった。正に、事実や客観数字で示さない“誇大広告”ではないかというのであり、その通りと言わざるを得ないのだ。

次に、(3)台湾有事に対する日本の防衛体制をどう見るのかに対する記事⑦⑧⑨⑪である。この内⑧は専ら日米地位協定とコロナ禍対応であるので、異色ではある。

⑦は当然のことながら、台湾有事にまつわる最近の日米関係についての近況が語られている。バイデン政権以降の新たな日米共同作戦計画では、南西諸島に平時に新たな米軍基地の建設は行わずに、台湾有事の際に初動段階で自衛隊の支援を受けながら、根拠地を設け部隊を投入するという。相手から固定的攻撃目標とされないようにするための工作であろう。それだけに、具体的に何処が対象となるのか不明のままとなっている。恐らく、具体的には2,3の島が候補になっており、それを想定して訓練は実施されることになるのだろう。
問題は“台湾有事で重要影響事態が認定されたら、自衛隊は米軍の後方支援を最優先する。南西諸島の住民を避難させる余裕はまったくない”と自衛隊高級幹部が語っていることだ。国民=住民を守ることを簡単にあきらめるな、と言いたい。単純思考で二者択一を言うのは簡単だ。それでは満州で住民を置き去りにして、早々に逃げ出した旧軍の発想と全く同じになる。戦後の“自衛”隊の本来業務を放棄したことになるのではないか。現在、それが出来ないのであれば、装備を含めて考え直すのも自衛隊本来の重要な仕事ではないのか。

⑨には、私には結構驚愕の事実が語られている。冒頭で、自民党が防衛費を対GDP比2%以上へ増額すると公約したが、これを“机上の空論である”と切って捨てている。理由は“実施が不可能”で、防衛費をGDP比2%とするには、“それ以外の予算を一律25%削減しなければならない”或いは“増税で5兆円を賄う”必要がある。またこの程度の増額では、“中国に対する軍事的劣勢は除去されない・・・・海空軍戦力で見れば日中の戦力格差は2倍を超えている”からだ。また防衛費をGDP比で評価するのは無意味だとも言い、それは米国がそれぐらいは負担しろと言い易い指標だったということが真相という。しかも現状の1%程度でも、次のような浪費や不効率があるというのだ。
1)陸上戦力の未整理2)国産航空機開発の冗費3)国際緊張改善の忌避
陸自の配置や組織が現代化しておらず暗に対中国戦には対応していないという指摘には驚いた。なるほど先ごろNHKで北海道の陸自が有事を想定して九州に移動する訓練をやったようだが、その時民間の輸送力に頼らなければならず、移動完了に2,3日かかったような事実を放映していた。これでは戦(いくさ)にすらならない。
四国には陸自部隊の配備が必要なのか。災害時対応ならば、機動的対応が可能なように装備を検討するべきであろう。
対中政策も“強硬対応”は改めるべきである、という。しかし、強硬になる限界の線引きを具体的にどこに設定するのかは大いに問題があろう。だが、日本には防衛費を無際限に膨張させる余裕のないのも事実なのだ。巧みな外交努力が欠けているのも事実だと認めざるをえない。ロシアや北、韓国まで含めて、軍事的国家戦略として多方面作戦は避けるのは歴史的・普遍的常道である。まして日本の現状の国力ではそれは到底無理、という強い自覚が必要だ。そのための日米同盟ではないのか。

⑧は既に言ったように、日米地位協定とコロナ禍対応の実態と矛盾というよりも、目に余る日本政府の卑屈さの問題であろう。これをもって、日本は合衆国の51番目の州未満の属領でしかない、と見做されてしまう可能性もある。我が首相は植民地総督なのではあるまいか。これで世界から尊敬を集められるはずがない。恥ずべきことだ。

⑦~⑨を通して、結局のところ、日本の防衛体制の強み、弱み、機会、脅威つまりSWOT分析に基づいてのコスト・ミニマムの最適な防衛体制はどうなのかの議論がなされなければならないが、ある方向性を持った定見を知りたいと思う。問題は海自の戦う力ではないかと思う。特に潜水艦の運用が決め手だと思うのだが、どうなのだろう。

その他の⑥はTBS記者の投稿である。ここではテレビでは話せないことを語ったのだろうか。
内容は“公務員無問責の原則”に対する日本司法のこれも後進性を突いたものだ。どうして日本の司法は後進的なのだろう。矜持をなくしたかのような検察首脳、その検察にすり寄るような判決を下す裁判官・・・・権力に疎まれると限りなく絶望に追いやられる可能性が高いこの国。この国の正義は何処にあるのか。
国際化の時代に大きく取り残されている。人権意識が低い世相のなせる業だろうか。人権意識が低いので逆にノーテンキなSDGsが花盛りなのではないかと、勘繰りたくなる。
この記事の最後に、赤木俊夫さんにラインで「いつかお線香をあげに伺わせてください」と連絡してきた人物が居ると明かしている。主語が巧みに隠されているのだが、前後の文脈から安倍昭恵氏としか読み取れない。この人物、どういう神経の持ち主だろうか。

最後に⑩である。その冒頭、“2022年元日、欧州連合(EU)の欧州委員会は、原子力と天然ガスを気候変動対策に貢献するエネルギーと認める方向で検討を始めたと発表した。”から始めている。そして、“EUにはエネルギーや交通などの経済活動ごとに、環境面で持続可能とみなせるかを仕分ける「EUタクソノミー」と呼ばれる法的枠組みがある。定義が曖昧だった「グリーン」や「持続可能」という概念に当局が明確な基準を設ける主要経済圏での初めての試み”である、と説明している。
そのタクソノミーで“原子力発電は高レベル放射性廃棄物を安全に処分するための用地や資金の確保に道筋を付け、環境に「著しい害を与えない」という基準を満たす限り、グリーン投資の対象に加えるとした”という。さらに、“天然ガス火力発電は2030年末までに認可されたものを対象とし、発電1キロワット時あたりのCO2排出量の上限を270グラムと定めた”とのこと。“タクソノミーとは本来、生物学の領域で「分類」を指すことばである”由。
“2020年7月に発効したEUタクソノミー規則は、持続可能な経済活動の分類のプロセスを定めた法律だ。経済活動が環境的に持続可能と分類されるには、①気候変動の緩和②気候変動の適応③水と海洋資源の持続可能な利用④循環型経済への移行⑤大気・水質・土壌の汚染対策⑥生物多様性―という6つの目標の内少なくとも一つを満たす必要があると定めた。他の目標を「著しく阻害しない」ことも必要条件で、例えば気候変動の適応に寄与しても生物多様性を損なうリスクのある計画は不適格となる。”
これからEU内部の諸国間で“原子力と天然ガス”の議論が活発になろうが、結論がどう落ち着くのか見ものではある。その結果、こうしたルールがEUから出て来て、それが国際的デファクト・スタンダードになるのであろう。またしてもやられたのである。いずれ日本もこれに何らかの形で拘束されるのだ。このまま国際的に日本は引きずり回される受け身のままであろう。自ら、ルールを作れないために発明したハイブリッド車がデファクト・スタンダードになれないのだ。とは言うものの、事実は世界でEVより数倍売れているとも仄聞する。
また、EUではこうした合理的原則に基づいて、相矛盾する経済性と持続可能性の両立という隘路を探り当てて社会の持続可能性を引き出そうとしているのだ。日本のように情緒的に単に生き延びようとはしてはいないことを学ぶべきなのであろう。

全体に、見出しと内容にズレが殆どの記事に見られる印象だ。しかし、そうでもしなければ買ってくれる人が少なくなってしまうことは分かる。致し方あるまい。しかし、私には“お勉強”になったテーマが多かったのは事実だ。

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