The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
“エネルギーマネジメントシステム導入セミナー”を聴講
前回同様に6月初めに開催された講習会を紹介する。京都商工会議所主催の“エネルギーマネジメントシステム導入セミナー”である。セミナーの呼称に“エネルギー・マネジメント・システム”という私には外せない言葉があり、そのために聴講・参加した。内容は以下の通りだった。
主 催:(社)京都産業エコ・エネルギー推進機構
場 所:キャンパスプラザ京都 第2講義室(4階)(京都駅から徒歩5分)
1.産業界向けエネルギーマネジメントシステムの現状
富士電機㈱ 産業インフラ事業本部スマートファクトリー技術部・上野 学 氏
2.導入事例
①メッキ工場 における導入事例 ・株式会社キョークロ
“電気・ガス・水道の使用状況を見える化”・寺田 理 氏
②機械部品工場 における導入事例・太陽機械工業株式会社
“製造ライン・主要機器の消費電力を見える化、運用を改善” ・城崎 研二 氏
③桃陽病院 における導入事例・株式会社大阪ガスファシリティーズ・三輪 修司 氏
“BEMSデータを活用した省エネ・節電対策を実施”
3.支援制度の説明 …京フェムス補助金、BEMS補助金 等(←HPによれば募集終了の由)
*フェムスはFEMS:Factory Energy Management Systemであり、BEMSはBuilding Energy Management Systemの略である。
さて、以下にこれらの内容概要を紹介したい。
1.産業界向けエネルギーマネジメントシステムの現状(富士電機の提供するシステム紹介)
-日常的、継続的に改善を進めるための基盤作りを目標→改善進展に対応するシステム
-エネルギー計測:3~20点の計測ポイントの設置(約10万円/点)
-100万~400万円で全体システム構築
-エネルギー分析管理:資源の誤/乱用、マテハン、製品/搬送/工程計画/機器動作の不良、過剰エネルギー損耗、
-クラウド利用(ID/パスワードでデータ検証:6年分を保存)
-見える化/見せる化:エクセル利用で自由にアレンジ
-デマンド監視と切迫時の遠隔制御
-観測データと気象データの相関性分析→需要予測と最適管理(需要ピークの平準化)
2.導入事例
①メッキ工場 における導入事例 “電気・ガス・水道の使用状況を見える化”
-京都市がNHKに事例を紹介して知られるようになった。
-社員数47名/ISO14001認証取得済。
-電力:5千万円弱/下水:2千万円弱(2014年実績)→見える化だけではコスト・ダウンできない。
-公的機関の省エネ診断で計測・分析→改善点が見えた(しかし定期的に受診不可)
-省エネ投資に対する回収(費用対効果)予測が困難
-改善の余地の見えるシステムを要求→“もっとSave”ITモニタリング装置導入(大阪ガスグループの簡易BEMS)
(支援:(一社)京都産業エコ・エネルギー推進機構、診断機関:㈱クリエイティブテクノソリューション)
-電気乾燥炉のガス化が大/コンプレッサーのインバータ化・2工場連結配管
-今後もデータ分析レベルの向上/品質関連情報(乾燥炉の温度分布等)の収集・活用を指向
②機械部品工場 における導入事例“製造ライン・主要機器の消費電力を見える化、運用を改善”
-太陽機械工業㈱の亀岡工場へのFEMS導入
-主製品:車載エンジン・トランスミッションのコンポーネント及び部品(ギヤ)等
-コンプレッサーの台数制御/インバータ化/エア漏れの削減→電力量減少だが値上で料金の下げ幅少
-ラインの一部を夜間操業化→デマンド値の低減
-設備・ライン毎にエネルギー使用量の把握→エネルギー最適使用に制御改善(エネルギーマネジメントシステム)
③京都市桃陽病院 における導入事例“BEMSデータを活用した省エネ・節電対策を実施”
-未成年者の慢性病患者対象の病院(外来は要予約)/入院しながら通学も可
-鉄筋コンクリート造/延床4,751平米/100床
-受電設備/ガス吸収冷温水機/高温・低温蓄熱機(以上1階機械室)/太陽熱集熱機(4階)
-“もっとSave”の導入
-終日運転の必要な機器とそうでないものを峻別→必要時のファン・外調機手動→電力・ガス削減
-図書室空調機のBEMS自動制御→節電積上げでデマンド値低減
-電灯系のこまめ管理/夜間のエネルギー使用の見直し
-使用エネルギーの削減効果1,380千円/年
中小企業一般へのハード面での管理システムの導入による省エネ推進がテーマであり、ここでは“エネルギーマネジメントシステム”はハードのコンピュータ・システムについてのことである。ソフト面でISO 50001等の導入により管理のPDCAを強化して改善を進めるマネジメントについてではない。いささか残念な印象だが、中小企業ではハード面での改善さえできれば、省エネの実効は上がると見てのことだろうか。
確かに、環境マネジメント・システムの管理の仕組を導入しても“カミ、ゴミ、デンキ”の削減にスローガン的に対応するのが大半というのが実態である。削減のための具体策もなく科学的、分析的に対応できないのでは旧態依然、経営者のKKD経営*の延長上にあるためではないかという気がする。こういう傾向を見ると、環境経営の実効を上げるにはハード面での改善は、ソフトの仕組改善よりむしろ手っ取り早いのだろう。また、省エネのためにはこうした計測・監視システムの導入は必須(最低限細かな計測とデータ保存)であり、中小企業では~5百万円程度の投資が必要のようだが、費用対効果の推定が困難なため躊躇する経営者は多いのだろう。これに京都府が補助金で支援するのは有意義なことである。
*KKD経営:経験と勘と度胸による経営
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主 催:(社)京都産業エコ・エネルギー推進機構
場 所:キャンパスプラザ京都 第2講義室(4階)(京都駅から徒歩5分)
1.産業界向けエネルギーマネジメントシステムの現状
富士電機㈱ 産業インフラ事業本部スマートファクトリー技術部・上野 学 氏
2.導入事例
①メッキ工場 における導入事例 ・株式会社キョークロ
“電気・ガス・水道の使用状況を見える化”・寺田 理 氏
②機械部品工場 における導入事例・太陽機械工業株式会社
“製造ライン・主要機器の消費電力を見える化、運用を改善” ・城崎 研二 氏
③桃陽病院 における導入事例・株式会社大阪ガスファシリティーズ・三輪 修司 氏
“BEMSデータを活用した省エネ・節電対策を実施”
3.支援制度の説明 …京フェムス補助金、BEMS補助金 等(←HPによれば募集終了の由)
*フェムスはFEMS:Factory Energy Management Systemであり、BEMSはBuilding Energy Management Systemの略である。
さて、以下にこれらの内容概要を紹介したい。
1.産業界向けエネルギーマネジメントシステムの現状(富士電機の提供するシステム紹介)
-日常的、継続的に改善を進めるための基盤作りを目標→改善進展に対応するシステム
-エネルギー計測:3~20点の計測ポイントの設置(約10万円/点)
-100万~400万円で全体システム構築
-エネルギー分析管理:資源の誤/乱用、マテハン、製品/搬送/工程計画/機器動作の不良、過剰エネルギー損耗、
-クラウド利用(ID/パスワードでデータ検証:6年分を保存)
-見える化/見せる化:エクセル利用で自由にアレンジ
-デマンド監視と切迫時の遠隔制御
-観測データと気象データの相関性分析→需要予測と最適管理(需要ピークの平準化)
2.導入事例
①メッキ工場 における導入事例 “電気・ガス・水道の使用状況を見える化”
-京都市がNHKに事例を紹介して知られるようになった。
-社員数47名/ISO14001認証取得済。
-電力:5千万円弱/下水:2千万円弱(2014年実績)→見える化だけではコスト・ダウンできない。
-公的機関の省エネ診断で計測・分析→改善点が見えた(しかし定期的に受診不可)
-省エネ投資に対する回収(費用対効果)予測が困難
-改善の余地の見えるシステムを要求→“もっとSave”ITモニタリング装置導入(大阪ガスグループの簡易BEMS)
(支援:(一社)京都産業エコ・エネルギー推進機構、診断機関:㈱クリエイティブテクノソリューション)
-電気乾燥炉のガス化が大/コンプレッサーのインバータ化・2工場連結配管
-今後もデータ分析レベルの向上/品質関連情報(乾燥炉の温度分布等)の収集・活用を指向
②機械部品工場 における導入事例“製造ライン・主要機器の消費電力を見える化、運用を改善”
-太陽機械工業㈱の亀岡工場へのFEMS導入
-主製品:車載エンジン・トランスミッションのコンポーネント及び部品(ギヤ)等
-コンプレッサーの台数制御/インバータ化/エア漏れの削減→電力量減少だが値上で料金の下げ幅少
-ラインの一部を夜間操業化→デマンド値の低減
-設備・ライン毎にエネルギー使用量の把握→エネルギー最適使用に制御改善(エネルギーマネジメントシステム)
③京都市桃陽病院 における導入事例“BEMSデータを活用した省エネ・節電対策を実施”
-未成年者の慢性病患者対象の病院(外来は要予約)/入院しながら通学も可
-鉄筋コンクリート造/延床4,751平米/100床
-受電設備/ガス吸収冷温水機/高温・低温蓄熱機(以上1階機械室)/太陽熱集熱機(4階)
-“もっとSave”の導入
-終日運転の必要な機器とそうでないものを峻別→必要時のファン・外調機手動→電力・ガス削減
-図書室空調機のBEMS自動制御→節電積上げでデマンド値低減
-電灯系のこまめ管理/夜間のエネルギー使用の見直し
-使用エネルギーの削減効果1,380千円/年
中小企業一般へのハード面での管理システムの導入による省エネ推進がテーマであり、ここでは“エネルギーマネジメントシステム”はハードのコンピュータ・システムについてのことである。ソフト面でISO 50001等の導入により管理のPDCAを強化して改善を進めるマネジメントについてではない。いささか残念な印象だが、中小企業ではハード面での改善さえできれば、省エネの実効は上がると見てのことだろうか。
確かに、環境マネジメント・システムの管理の仕組を導入しても“カミ、ゴミ、デンキ”の削減にスローガン的に対応するのが大半というのが実態である。削減のための具体策もなく科学的、分析的に対応できないのでは旧態依然、経営者のKKD経営*の延長上にあるためではないかという気がする。こういう傾向を見ると、環境経営の実効を上げるにはハード面での改善は、ソフトの仕組改善よりむしろ手っ取り早いのだろう。また、省エネのためにはこうした計測・監視システムの導入は必須(最低限細かな計測とデータ保存)であり、中小企業では~5百万円程度の投資が必要のようだが、費用対効果の推定が困難なため躊躇する経営者は多いのだろう。これに京都府が補助金で支援するのは有意義なことである。
*KKD経営:経験と勘と度胸による経営
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