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鎌田 浩毅・著“揺れる大地を賢く生きる―京大地球科学教授の最終講義”を読んで思うこと

ロシアはウクライナ冬季攻勢で大した成果を上げられなかったようだ。バフムトが落とせなかった。どうやら、逆にロシア側の損害は甚大だったようだ。これはプーチンにとってロシア国内では大きな失態になる。だからこそ、ヤバイ!と見た習近平が訪露した。つまりプーチンはロシア国内でも立場的にヤバイ、命の危険が大きいと考えられる。そう思うべき段階ではないか。
西側は、おかまいなしにウクライナ支援を強化増強している。ヤッパリ、プーチンは核を使わないとエライコトになると考え始めているのではないか。だが、それをヤッチャー、オシメイョ!
そうなれば、今度はロシアの終わり方が問題になる。

その一方、日本では安保三文書が一人歩きし始めていると警告する歴史学者がいる。その主な内容は、“戦前期「帝国国防方針」3文書の内容から、今を照射する”にも詳しい。
日本の国会ではその安保三文書が詳しく議論されずに、高市騒動に明け暮れて終わってしまい、安保三文書の目論見通りの予算が無事通過し、成立した。そして敵基地攻撃能力のあるトマホーク400発が購入されることになる。それで良いのか。

こども家庭庁が発足したという。その名称に“家庭”が付くのは何故なのか?“家庭”の無い子供は見捨てる役所なのか?それが異次元の少子化対策なのか?アホか?止めてシマエ!

宮古島陸上自衛隊のヘリコプターが事故を起こした。第8師団司令部要員8名が行方不明になっているという。某国スパイの謀略ではないのか?

中国がアステラス製薬の幹部社員をスパイ容疑で拘束した。兎に角、中国と関わるとロクなことはない。どんな言いがかりで、中国政府に囚われるか分からない。特に、米国が中国とのデカップリングを推進し始めたので、中国とは関係を断った方がよいのではないか。
また人手不足だと言って、うかうかと中国人を雇うとスパイされて、会社の重要技術や機密が抜かれる可能性も高くなる。油断大敵。


少々古くなった話かもしれないが、4月に札幌市で開かれる主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合を前に、議長国の日本が提示した共同声明原案に欧米勢が反発しているという。二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力発電所の全廃時期に踏み込んでいないことに批判が集まっているのだという。どうしてこうなるのか。
地球温暖化自体が本当は怪しい議論だということをしっかり認識する時期に来ているように思うのだ。特に、CO2温暖化説は絶対的に正しいというのは、ほぼ宗教的信念であって、科学的思考の結果ではないということが明らかにされなければならないと思っている。信頼できる地球科学の学者が“短期的には温暖化は事実だが、長期的には実は寒冷化していると考えるのが科学的に普通だ”と言っているからだ。だから“経済的に有利な石炭火力でも使ってもCO2排出量を極小化できるのであれば良い”という許容幅を持って対応するのが、とりあえずの正解ではないかと考えるのだ。
欧州での議論は、日本をハメるためにする議論ではないかと考えているのだ。日本から自動車の世界に冠たる技術を奪うための議論ではないのか。
日本はGHG排出量を2013年をピークに減少させてきている。それにもかかわらず日本政府は化石賞をもらっても反論はしていないようだ。



ところで世界各国のGHG排出量は下図のように変化している。これを見れば、日本のGHG排出量の減少割合が他の諸国に比し低いのが分かる。だから世界に胸を張って主張できないのだろうか。
だが、中国は未だ開発途上国の顔をして、堂々と平気で排出量を増加させている。これが非難を浴びないのが不思議なのだ。世界主要国で中国だけが増加させ、世界全体のGHG排出量を伸ばしているにもかかわらず、なのだ。一体、どういうことなのか。そもそも中国のデータは怪しい。その不都合な真実を覆い隠すデータでも順調に伸びているのだから、実態はいかほどのモノと考えれば良いのか分からない。これを世界各国が非難しないのは何故?日本ばかりがまるでサンド・バッグのように叩かれるのは何故なのだろうか。





さて、今回は“京大地球科学教授の最終講義”を新書本にしたのを紹介したい。これは京大名物教授・鎌田浩毅氏の最終講義である。本書の正式書名は“揺れる大地を賢く生きる―京大地球科学教授の最終講義”である。実は、その前に同教授の“知っておきたい地球科学”という本を読んでいたのだが、今回は先ず“最終講義”の紹介から入りたいと思う。何故ならば、この本には“地球温暖化は自明でない”が入っていたからだ。私はかねてより地球のCO2温暖化説は胡散臭いと思っていたので、鎌田名物教授がどのような見解を述べているのか、是非知りたいと思ったからだ。
いつものように、以下に同書の概要を記す。

[内容説明]
2011年の東日本大震災以降、日本列島は火山噴火や大地震がいつ起きてもおかしくない未曾有の変動期に入った。この荒ぶる大地で生き延びるために、私たちが心得ておくこととはなにか。京都大学で学生たちに人気を博した教授による、白熱の最終講義。

[目次]
第1章 日本は「大地変動の時代」に突入 
「海の地震」と「陸の地震」/正断層と逆断層/日本列島で地震が起きない場所はない/変動期は今後も続く

第2章 2035年±5年、南海トラフ巨大地震の激甚さ
なぜ2030から40年の発生を予測できるのか/津波は「ビッグウェーブ」ではない/根室沖巨大地震にも注意を

第3章 20の火山がスタンバイ状態
巨大地震の後には噴火が/「3・11」直後から増えたスタンバイ状態の火山/噴火の三つのモデル/富士山噴火が南海トラフ巨大地震と連動したら

第4章 富士山噴火をシミュレートする
(1)火山灰 
(2)溶岩流 
(3)噴石と火山弾 
(4)火砕流 
(5)泥流 

第5章 地球温暖化は自明でない
「異常気象」の「異常」は人間にとっての異常/地球は氷期に向かっている/温暖化は自明ではない/異常気象と偏西風/地球のバランス・システム「地球惑星システム」

第6章 減災の意識を持つ
知識は命を救う/指示待ちではなく自発的になるには/正常性バイアスを知る/「空振り」を受け入れる姿勢を持つ/個別「ハザードマップ」の重要性を知る

第7章 ポストGAFAを見据えて―必要となる思考、知識、教養
戦略的な勉強を/知識、アウトプット、教養のサイクル/好きなことより、できること/人生で出くわす「偶然」を楽しむ/スキマにこそ醍醐味が/京都大学の教育法/難しい本は書いた人が悪い/時間を4つに分ける/読書はもっとも効率のいい勉強の手段

第8章 地球46億年の命をつなぐ
「長尺の目」で見る、ということ/ユクスキュルが唱えた「環世界」/アトランティス大陸は実在した?/大噴火は文明を消滅させる/地球科学的な時間と空間を

[著者等紹介]鎌田浩毅[カマタヒロキ]
1955年東京都生まれ。京都大学名誉教授、京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授。筑波大学附属駒場中学校・高校を経て、79年東京大学理学部地学科卒業。通商産業省(現・経済産業省)主任研究官、米国内務省カスケード火山観測所上級研究員を経て、97年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。2021年から現職。日本地質学会論文賞受賞。理学博士(東京大学)。専門は火山学、地球科学、科学コミュニケーション。テレビや講演会で科学を明快に解説する「科学の伝道師」。京都大学の講義は毎年数百人を集め、学生の人気を博した。


ところで、その最終講義は実はネットで拝見することができる。ウェッブサイトの標題は“最終講義「地震・噴火・温暖化は今後どうなるか?」”である。それはこの本を読んで、そう書いてあったので知って、検索して容易に見ることができたので、ここに紹介したい。要はこの本のネタ元であるので、その紹介の方が良いのかも知れない。

教授は、この講義映像冒頭では次の4つのテーマで話すと語っていた。それは紹介した本の目次に沿っているのでウェッブサイトの講義内容を紹介すれば本の紹介となるはずだ。それに講義映像は本当にエッセンスを語っている。
(1)海の地震・陸の地震
(2)火山の噴火
(3)西日本大震災(南海トラフ地震)
(4)地球温暖化

(1)海の地震・陸の地震
今やよく知られたことであるが、太平洋側から大陸側に向かって8㎝/年の速度で海のプレートが押し寄せていて、陸のプレート上に在る日本列島の下へもぐりこんでいる。この接触部分で引きずり込まれる陸のプレートがある時点で耐え切れずに跳ね返る時に起きる地震が海溝型地震という。東日本大震災はこのタイプ。この跳ね返りが行き過ぎて、陸のプレートが伸びる。東日本大震災では5.3~5.4m東側に伸びた。また、M9の本震の後、地震は終わっておらずM8クラスの余震が、10~30年後に起きることになっている。
これに首都直下型地震が該当することも考えられる。これが陸の地震。現に、関東平野に活断層が19箇所確認されている。環状6号線と8号線の間の木造建築密集地域(木密地域)での震災は大火災の原因ともなり、死者数も膨大となり警戒を要し、耐震対策を重点的に実施しておく必要がある。

(2)火山の噴火
一万年前以降に噴火した火山を活火山とすると日本には111個の活火山がある。この内、20個の火山が東日本大震災の後に影響を受けた。つまり噴火スタンバイ状態になっていると考えられる。その内に富士山が入っている。噴火すると火山灰が偏西風に載って首都圏・東京にも降る。江戸時代には5㎝積もった。火山灰はガラスの破片と同じ。喉や気管に入るとダメージが大きい。積もると風で舞い上がるし、水と混ざると固まってしまうので下水道が詰まってしまう。かなり厄介。地震より復旧に手間取る可能性が大きい。しかも、50年ごとに噴火していれば大噴火にならないが、その後300年も休止しているので大噴火となる可能性が大きい。

(3)西日本大震災(南海トラフ地震)
1944,1946年に昭和南海地震、昭和東南海地震起きたが、その前に内陸地震が増加し、その後には漸減していった。今度も1995年の阪神大震災から内陸地震が漸増している。だから今後南海トラフ地震が予想されるのだが、精確には2035±5年の時期に起きると予測されている。これは高知の漁港・室津港の隆起の江戸時代からのデータがあり、1707年に地震があって1.8m隆起。その後1854年にも地震があって1.2m、1946年1.15mそれぞれ隆起。このデータから推測されている。
西日本各地で震度7となり、広域で産業経済の盛んな場所にダメージが大きい。
しかも30m級の津波が、高知、静岡に、20m超えが和歌山に来る予測となっている。それに地震発生から2~3分以内に来襲するので、それまでに避難する必要がある。
220兆円の被害となると計算されている。東日本大震災で20兆円なので約10倍超。220兆円は日本の税収の3倍。
死者32万人。東日本大震災で2万人なので16倍となる。

(4)その他・雑談(本の第6章~第8章に相当?)
和歌山で女性サーファーにインタビューしたところ、サーフィンが得意だから津波に乗ってみたいと言ったが、30~40㎝の津波で亡くなっているので、津波は泥流のようなもので大変危険なのだ、という自覚を持って欲しい。専門家ももっと一般社会にPRするべきだと思っている。
阪神大震災の時、関西人は皆地元では地震は無く関東や東海での話だと思っていた。だが、実は中央構造線をベースに活断層の近畿トライアングルが厳然と存在するのが、学界では常識だったので一般人との認識のズレを痛感し、そのギャップを埋めたいと思っている。鎌倉仏教での辻説法、つまり肉声での語りかけout-reachが大事だとも思っている。
ライフライン(水、電気等)は一週間停止すると考えるべきで、一人ひとりの自覚・知識が大事なので本気で取り組まねばならない。
京大は東大のような8割の学生が落ちこぼれないように教育する。京大は東大のようにしないで、100人の内1人が教授について来れるのであれば、それを大事に育てる。99人には単位を与えはするのだが。
10年、5年、5年法という考え方。10年でnobodyからsomebodyになる。もう5年で世界的になる。さらに5年でonly-oneになる。後は、スキマ法でそれを維持する。

(5)ゲストとの掛け合い漫才
プレジデント編集長・小倉健一氏(新刊書評担当)、NHKディレクター・佐野広記氏(鎌田研究室に所属)との短い対談があり、鎌田教授とのかかわりあいの話が中心。(当然だがこの部分は、本には無い)

(6)Q&A
学食のメニューやファッションの話など森羅万象話題は飛ぶ。(当然だがこの部分も、本には無い)
京都は見る所が多い。特にお勧めは蓮華寺。

ウェッブサイトOCWに載ったタイムテーブルは下図の通り。



だが添付資料PDFによる予定では2時間の講演(14:00~16:00)が実際には1時間37分の映像になっている。つまり、いつの間にか、注目していた“地球温暖化”のテーマが抜け落ちている。映像では鎌田教授は情熱大陸のビデオ
を見るとなっているがその時間と、“地球温暖化”の部分が23分ではなかったかと考えたが、この部分本ではあっさり、“時間の関係で、地球温暖化の問題については語ることができませんでした。”とあった。

仕方ないので、“地球温暖化”部分の紹介は本によるものとする。
観測データ上は地球の温暖化は事実として進んでいる。しかし鎌田教授は“何十万年という時間軸でみれば、実は現在の地球は氷期に向かっています”と指摘する。“日本の平安時代*は、現在より温暖な時期でした。ただ14世紀からはずっと、寒冷化が続いています。”“将来にわたって、今の勢いで地球温暖化が進むかどうかは必ずしも自明ではない”、“たとえば大規模な火山活動が始まると、地球の平均気温を数℃下げる現象がたびたび起きて”いるので、温暖化は必ずしも当然の成り行きとはならない。これまでの温暖化は“「長尺の目」で見ると、いずれ地球という大自然が吸収してくれる程度のもの”だという。
二酸化炭素の増大も海が吸収するバッファシステムの機能が働く可能性があり、“このような現象の精査を踏まえた”科学的知見でないとダメだとの指摘だ。

*筆者注:縄文時代も現在より温暖化していて、海岸線も上昇しており関東平野は縄文海進https://ja.wikipedia.org/wiki/縄文海進 が顕著であった。

また異常気象は主に偏西風の蛇行によるものが多く、蛇行が長期(半年程度)に及ぶと甚だしくなる。さらには、赤道付近の貿易風(東から西に吹く定常的な風)が強いと、海面表層の温暖海水が太平洋西部に偏在化し、東岸に低温の深層水が表層に上昇してラニーニャ現象となり、貿易風が弱まるとエルニーニョ現象となる。

それから、本の方では、“富士山噴火をシミュレートする”では富士山噴火が起きればどうなるかを結構具体的に詳細に語っているので、気になる方は読んだ方がよいだろう。

要するに、鎌田教授にとっては“地球温暖化”は、“西日本大震災(南海トラフ地震)”より重用ではない、ということを示している。“地球温暖化”よりも、十数年後に確実に訪れ、やってくれば220兆円或いはそれをはるかに上回る1410兆円とも試算される損害を出す“西日本大震災(南海トラフ地震)”の方が現在の日本にとっての確実な国家的危機であると言っているのだ。

しかも鎌田教授によれば、CO2による温暖化説はもっと精査する必要があり、現在の温暖化程度は過去にも何度かあったことであり、それは地球が吸収可能なレベルに未だ留まっている段階だという。
しかし“石油は炭化水素を主成分とする液状の資源であり、原子力のもとは何十億年も前にできたウランだ。石油やウランが蓄えられた時間のおよそ1万倍速い時間で、人類はそれらを使い尽くそうとしている。”だからこそ、“地球のストック(資源)を大量消費する「ストック型文明」から「フロー型文明」”への変更は必要で“地熱・太陽光・風力などによる発電はすべてストックに頼らないフローによるエネルギ―活用”への変更は(持続可能な社会のためには)重要なのだという。

一方、開発途上国にとっては電力の普及は喫緊の課題であり、中には原発にまで頼ろうとする動きもある。日本はそれよりも安価で安全な石炭火力によって、それもCO2排出を極限までに抑制したものにして或いは排出したCO2は捕捉して地中に貯める技術を開発して開発途上国に供給しようとしているのだ。それに欧州は強力に反対している訳である。何だか、開発途上国を置き去りにしようとしているかのような動きではないか。それが“誰も取り残さない”というSDGsの活動に適うと言えるのだろうか。こう考えると欧州の論理は身勝手なものではないか。
しかも欧州はガソリンを極限まで節約するHVではなく、EVでなければダメだと言っている。(最近、エンジン車の販売を認める動きになっているが。)本当にEVでなければならないのか。マツダはかつてWell to Wheelでのガソリン節約が課題だと言っていたし、トヨタも火力発電主流の日本ではEV化は意味がない、と言っていたが、欧州各国の強引さに市場を失うことを恐れて、いずれもEV化に力点を置いて来ている。それは、CO2による温暖化説はもっと精査する必要がある段階で、本来必要なことなのだろうか、と私は見ている。
本来はHV車が最もまともな対応だと思っているのだが、欧州の対応は日本のHV技術潰しではないのか、ひいては日本の自動車産業潰しではないのかと、勘ぐる次第である。

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