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特許とタグチメソッド

最近 タグチメソッド品質工学)で有名な田口玄一博士の周辺の方から聞いた話です。

何と 田口博士がタグチメソッドについて語れなくなるかもしれない、とのこと。・・・そんなバカな!
MTシステム*についてのことらしいのですが、他所から特許が申請されているとのことです。多分 分野限定だとは思うのですが・・・。MTシステムは現在先端的研究がなされていて、その適用について品質工学会に発表する前に競って特許申請しているとのこと。その一部の不心得者が 分を越えた システムの根幹に関わる部分あるいは広範囲のクレームを出したのに違いありません。
問題の特許は 何やら 田口博士の論文をその特許で引用しているらしいのですが、間違っている部分もそのまま使っているらしいのです。これ以上の詳しい話は伺えませんでしたが、こんな酷いことで、工業所有権という知的財産だと言えるのでしょうか。

*マハラノビス・タグチ・システム:インド人マハラノビスの考案したマハラノビスの距離を品質工学の体系に取り入れたパターン認識の方法。

こういった知的財産や ソフト、映画、文学 などなど どれも ある種過去の遺産を受け継いでいる部分が 少なからず あります。それは人類共有財産ですよね。そんな風に知的財産は 使われるべきですよね。良いものを、特許で囲い込んで 一部の独占に任せてはいけない。
田口博士は そのようにお考えのはずです。そのおつもりでこれまで いろいろとメソッドというか 今やMTシステムの発展・進化に尽力されておられます。正に オープンマインド。それが 最近は博士の口が重くなられた、とか。

戦後の鉄鋼産業が 追いつき追い越せで 驚異的発展を遂げました。これは 鉄鋼メーカーが一つの会社のように相互にオープンであったからだ、と言われています。オープンマインドで切磋琢磨し、世界の頂点に立った。

ところが残念なことに、最近は ウィンドウズに見られるように隠して 利益をあげ 大成功した事例があります。それに対してトロンは オープンマインドでしたが 国益に阻まれました。
オープンなトロンやリナックスに頑張れと叫びたいが 私もウィンドウズに慣れ親しんでしまった・・・・・・・・・

詳しいことは 知りませんが 聞くところによると DNAの知見までも特許になるとのこと。これで良いのでしょうか。
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« リスク研究学会 柔軟な発想と議論 »
 
コメント
 
 
 
特許について一言 (discus05)
2005-11-23 13:50:59
お邪魔します。

 アメリカでは、特許について世界の趨勢とは異なり、先発明主義を採っていますが、世界的には、先出願主義ということで他者よりも先に出願された特許が権利になることになります。



 田口先生の考え方、あるいは、マハラノビス・タグチ・システムということで多次元情報からパターンを認識する分野への幅広い応用技術について、マハラノビス・タグチ・システムの考え方をベースにしていたとしても、そこに発明的要素が加えられれば、これは権利化されて当然だと思います。但し、オリジナルが強く主張されれば、アメリカでは、権利にはなりにくい面があるかも知れません。発明そのものが、公知の技術に基づいて新規なる発明性の積み上げがあることを主張しますが、当該分野の技術者が容易に発想できる内容であれば、権利にはなりません。たとえ公告になって権利化されても、公知の技術から余り進歩性がないと実証できるに足る証拠があれば、無効審判で権利をつぶすこともできますので。



 バイオビジネスの分野でもゲノム解析とかプロテオーム解析でもビジネスとして莫大な研究開発投資がされている場合には、ビジネスとしては、その成果は、知財権として保護されるべきだろうと思います。これが技術の進歩を支えていると思います。



 有名なペニシリンの発見者のフレミング博士は、人道的な見地から製造特許を申請せず、製造技術を広く公開したために世界の製薬会社がこぞって製品化し、これにより多数の命が救われたという歴史もあります。



 



 
 
 
特許の意味 (磯野及泉)
2005-11-24 09:57:45
discus05様には、いつも貴重なコメント頂戴しており、ありがとうございます。



今回の田口博士をめぐるトラブルについて 具体的で詳細な内容を 存じている訳ではありませんので、具体的な問題の焦点が何なのかはよく分かりませんが、手法を独創された博士ご自身が頭を悩ましておられる、というのは現実のようです。

恐らくこれまでの経緯から見て博士は 応用特許には それこそ鷹揚に構えておられたはず。それが うけたまわった話では“下手をすると今後先生がタグチメソッドを語れなくなるかもしれない”、“先生の論文の丸写し(間違った部分もそのままに)がクレーム請求されている”などから かなりの根幹部分にわたってのクレームではなかったのか、と想像されます。

もし そういった事柄(いわば公知の事実やDNAのような自然のfact)まで 無批判に特許として認められるなら それで“道理”が立つのか。それが 社会の発展に役立つのかという 概括的な疑問を呈したまでです。



特許の精神は一体何なのか について もう一度 考え直すべきではないか、と思ったのです。



それに 開発に膨大な資金を投じさえすれば 特許として承認すべきだ、という議論も “道理”から見ていかがなものか、と存じます。

最近の 裁判では“道理”を議論せずに 社会的損失 つまり経済的得失で判断するような傾向が 気になります。

米国型社会の悪い部分も 徐々に浸透しつつある世の中というボンヤリした私の印象です。
 
 
 
特許は人類を幸福にしているか (プロパテント反対論者)
2016-03-25 21:40:42
 特許には各企業の開発に対するインセンティブを与える効果と、人々に浸透させるにはマイナス効果が働きます。また素材メーカーで自分の利益を特定部品に絞って書かないと、特許が成立しないとも聞きます。素材の革新は広い分野にまたがるはずですが具体的実施例に乏しいとなる。しかし、変に部品名とか書かないといけなくなると、もっと広い用途に使える中心概念に対する救済処置が見えない。特許はOpen mindの概念と対峙する、ひょっとすると人類の科学技術を促進しようとしてできたものが、それを阻害しているケースも多くみられます。
 
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