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“心がスーッとなるブッダの呼吸法”を読んで


ある朝の新聞の2~3面下の新刊書の宣伝に出ていて、表題から 非常に気になるだった。文庫本ということで、気軽に買えるなぁとの思いで 幸いにも梅田に出る予定のある日だったので、ジュンク堂大阪本店で買った。
ブッダつまりシャカは呼吸法の名人だった、座禅は呼吸を整える手法でもある、とは東京・雪谷の粋人の ご指摘であったので、なるほど そんなものか、と思っていたが、そのままの表題の本だったので 異様なまでに興味をそそられたのだった。
買ってみて、想像通りの活字の大きさに 何となく損をしたような、だが他に課題として読まねばならない本があるので 気楽に短時間で読了できそうだ、というような複雑な思いが錯綜する状態だった。

この本の“まえがき”にまた、しびれる台詞。“(呼吸法の)効用は東洋では古くから知られ、・・・・中でもブッダ(釈尊)の呼吸法は、それらの集大成ともいえると思います。” “「息」は「生き」ることそのものです。それは、呼吸しなくては生きられないという意味だけではなく、よりよい生には呼吸が本質的に大事だということです。だから、呼吸を整えれば、生きていくのに最も大事な心と体の健康が手に入るのです。”とある。

基本は できるだけゆっくり呼吸すること。特に 呼気を吐き出す時間を長くするのが良く、吸気は短くて良いが、1回40秒程度までは何とか すぐにできるようになるが それを越えるのが大変だという。“息は、お腹の下の方にある丹田に集まるように”する腹式呼吸が基本。
ゆっくり呼吸することは、医学的にはどうやら、体内で発生するCO2を排出する速度を遅らせる効果があり、CO2をできるだけ体内に留まらせることで、血液の循環を良くする効果がある、ということのようだ。これに関連したようなことは、炭酸温泉の効果をテレビの健康番組でも言っていたので、なるほど、と思った次第であった。
CO2には もっと効能があるようだ。“セロトニンが脳細胞の中にあって血中の二酸化炭素が増えると、セロトニンが脳内に放出され、精神の安定をもたらします。”と言っている。このセロトニンは動物性タンパク質に含まれているトリプトファンというアミノ酸から合成され、光を浴びたり、運動したり、明るく考えると体内で合成されるという。

呼吸法に関連して、様々な手法が述べられている。例えば 座っている時に 単に座るのではなく、他人に知られずにやる 法界定印の方法を紹介している。この印も心が落ち着く効能があるのだろうか。
それから、仏教では妄想を嫌うのだが、“心を別のことに向けるのが一番”だと、道元禅師の次の言葉を引用。“座禅をする時には心を左の掌に置くべし”これは“頭を空っぽにするには、意識を頭から出して、掌の上に置くようにしなさいということです。”と言う。これは、呼吸法を実践している時に どうしても妄想が湧いてくるので、それを防止するための方法としている。
数息観と言って吐く時に息を数えるのも方法だとのこと。そして“「念を継がない」つまり、何かを思い出してもそれを発展させない”ことがコツであるとしている。無に成りきり、一定時間を この呼吸法で過ごすためには線香を使う方法もある。

まぁ、この本を読んで、記憶に残ったことは上記のようなところだが、それを元に、自分に出来そうなことをできるだけ実践して行けば この本を読んだ価値はあるのだろう、と思うのであった。
他にも 様々な方法が 書かれているので読んでみて損はない本だと思うが あれこれ書かれ過ぎていて、どうするのがベストなのか 分からないところが問題のように感じた。同氏の他書をもっと読むべきなのだろうか。

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