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神戸海洋博物館“カワサキワールド”見学



先日、川重工㈱元幹部の方の ご好意で招待いただき、その方のご案内で 初めて神戸海洋博物館に行ってきました。
海に 空に 陸に 活躍する 様々な乗り物を 集めた “カワサキワールド”でした。
少年時代の 気分を久しぶりに味わいました。
案内していただいた方は 川重で船舶機器の 設計を担当されていた高級技術者。

そう言えば 日本の造船業が 世界最高を極めていた時に 私は学生時代を迎えました。そして 壮大な20万トンタンカーの進水式に立ち会ってみたいと思っていたものです。人々の輿望を担って シズシズと進水する様は なんともいえない厳かで 感動的な風景です。
ところが、私が いざ工学部3年生になり、就職活動を開始する矢先の夏に ニクソン声明、ドル・ショックと 造船会社は 不況へ突入して行きました。その後、日本の造船界は ごく最近まで 良い話はなかったように記憶しています。
何だか残念というか、それよりも 逆に 造船会社へ就職できなくて仕合せだったのか 複雑な気分で居たものです。

この“カワサキワールド”で、あらためて 進水式の作業を 臨場感ある映像で見、危険に思える準備作業、船が暴走しないように投錨する手ハズなどに 感心していました。

会場に入ると 先ず ボトル・シップの展示がありました。ご案内の元設計技術者、“ボトルの底を開けて入れたに違いない”と 真剣に言い張っておられるのには 少々 呆れてしまいました。

その後は 社史説明の展示。創業者・川崎正蔵は 薩摩出身。1878年 東京築地にて造船所開設、創業。1886年神戸に造船所を開設。
川崎の社章は “川”の字が 遠くから見て“丸に十の字”の薩摩紋に見えるようにデザインしたもの とは 若い時に聞いた話です。
川重では 未だに鹿児島出身の社員が 多いとのこと。

1911年、国産第一号の“岡蒸気”を製造。なるほど それで 川重は今も 世界屈指の鉄道車両メーカーなのか。

戦前は 重工業はいずれも兵器産業。
潜水艇を日本で始めて 作った由。
戦艦・榛名を建造。金剛型の3番艦。基準排水量:26,330 トン1913年12月14日進水。この当時の新鋭艦のために神戸造船所のガントリー・クレーンが 増強された由。1915年4月19日竣工。
三菱は海軍の零戦。川崎は 陸軍の三式戦闘機“飛燕”。土井武雄氏の設計で1941年生産開始。ドイツの戦闘機メッサーシュミットと同じ水冷エンジンのスマートなヨーロッパ風の機体。但し、当時の日本ではエンジンの製造技術や整備技術が 乏しかったので 当初は活躍しなかったらしい。しかし 零戦と違い“飛燕はグラマンより速いし、上昇性能もすぐれていた。”(碇義朗 著“戦闘機「飛燕」技術開発の戦い”)
この飛行機に関しては 小さな模型の展示だけでした。
空母は 瑞鶴、基準排水量:25,675トンの正規空母。(84機搭載可)1941年9月25日に就役。これも模型のみ。



オートバイは実物展示。まるで販売店のように陳列。カワサキは大型オートバイが得意であり、世界的に有名。戦後、枝分かれして別会社になった川崎製鉄(現・JFEスチール㈱)が 海外で“カワサキ・ブランド”を 調査したところ 皆が“オートバイ”と答えたので、川鉄の重役一同 ガッカリしたという話を聞いたことがあります。
ほとんど 乗用車と変わらないオートバイの価格に 実用一点張りでコストパフォーマンス重視の私には あまり興が湧かない世界でした。

神戸空港離発着のシミュレータがありました。誰かが上手に操縦していました。

新幹線0系の実物車両、運転台に入れます。HOゲージ模型のレイアウト有り。模型車体の中に照明が輝いていました。今 流行の 模型先頭車両にカメラを積んで モニターに映し出し、列車運転の本物感を体感することまではしていないのが残念でした。

ヘリコプター・バートルの実物展示。以前、ヘリコプターのオーナーから “飛行機よりヘリコプターの方が安全だ”という話を聞いたことがありますが 本当でしょうか。

“川重のロボットは 歩かないので 子供たちには人気がありません。ユニメートは 油圧で動くので敏捷ではないのですが、作られた当初は 花形でした。重工屋は 直ぐに油圧で動かすことを考えるので 時代遅れになってしまった。” と 案内の方は 言っておられました。

気楽に 行った“カワサキワールド”でしたが 昔のことをいろいろ思い出したりして、久しぶりに楽しかったです。
貴重な時間を割いて 案内していただいた川重元技術者の方には そのご好意に感謝の気持ちで一杯です。


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