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松下電器は“尊敬できる会社”か

これまで、幾度か松下電器というか 松下幸之助氏の理念経営について 取り上げてきました。
環境対応についても その生真面目な活動について取り上げたことがあります。
実に “尊敬できる会社”の典型のようです。
この会社 最近 経営状態がⅤ字回復してきたとの報道があり、その種明かしに中村邦夫会長の経営手法が 明らかにされ、また一つ 経営学教科書の ネタになるようなエピソードが 語られ 人々を魅了しています。

しかし、日の当たる面だけに注目して 良いのでしょうか。
最近は 労働者派遣法の網の目をかいくぐるようなやりかたに行政が とうとう指導に入ったとの報道が有ります。
松下電器は他にも、尼崎に起死回生の プラズマテレビ工場を 尼崎に建設にまつわる話があったように思います。これには 兵庫県は 補助金を相当出したようですが、地元の雇用がこの工場のお蔭で増えたということは無かったようです。この件、県議会で 問題になったことがあったように記憶しているのです。
このような 負の側面は 日本の報道では、何故か 表に出てきません。これらの 活動が 松下の経営業績に どれほどの影響を与えているのか 定かではありませんが、日の当たる側面だけで 企業全体を評価することは 危険のような気がします。
良い面だけを見て そこから学ぶことは意義あることとは 思いますが、その良い面が 負の側面の支えがあって可能だったとすれば問題だと思うのです。

非常に 古い話で恐縮ですが かつて大阪には“松下商法”という言葉があったそうです。
私が 若い時に 非常に真面目で実直な 税理士の方から聞いた エゲツナイ伝説です。
たとえば、松下電器の仕事をしている中小企業があり、非常に優秀な企業なので 松下が注目したとします。松下側からは もっと仕事をして欲しい。そのために企業規模を大きくして欲しいという要望をするのですが、言われた側は資金が無い。そこで 松下から資金融通してくれる。ところが、ある時突然 松下側からの仕事が途絶え、会社が廻らなくなる。すると 松下が“救済”に乗り出し “めでたく”優秀な中小企業は松下に吸収される。こうした吸収を重ねて松下は大きくなったのだ、ということです。“これが マツシタのやり方や。多くの人間が泣かされた。大阪の人間はミンナ知ってる話や。”

このエピソードは “マネシタ電器”という揶揄する言葉とともに有名だったようです。 “神様”幸之助氏が こういったことにどこまで関わったのかは 私は知りません。
とにかく、私は 心から 松下電器を尊敬することはなく 今も 心の片隅に 警戒心を持って見ています。
こういうエゲツナイ商法が 松下の中にDNAとして 今も姿を変えて脈々と 受け継がれていないとは 言い切れないのではないかと 思うのですが いかがでしょうか。

こういう報道に接すると最近のファン・ヒータ・トラブル対応についても、結局のところ目先の“損得勘定”で 動いているだけではないのか、という冷ややかな思いもあります。

それとも、企業も 生身なのでしょうか。立派な会社でも、少し 油断すると直ぐに腐ってしまうものでしょうか。
立派な経営理念も 直ぐに踏みにじられるものなのでしょうか。
そうだとすれば、経営者の慢心、油断すべからずです。


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