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“ISOを活かす―66. ISOは、PL事故対策に役立つ?”


今回は ISO9001がPL事故対策に有効な影響を及ぼすものであるか、という議論です。

【組織の問題点】
加工食品会社のA社では、PL事故に対し、ISO9001認証取していることが 有利に機能するかどうかについて議論が巻き起こっているとのことです。
品質保証の規格であるISO9001の認証取得は当然、万一のPL事故発生後の裁判にも有利になる、という意見がある一方で、それは疑問だとする意見も、あるということです。
さて、ISO9001はPL事故対策に有効であろうか、という課題です。

【磯野及泉のコメント】
著者・岩波氏は、まず次のように結論を語っています。
“PL(製造物責任)法は、製品の欠陥によって人身事故などの被害が発生した場合に、たとえ(その製品を作った)企業に過失がなくても責任を負うというものです。したがってもし製品の欠陥が原因で事故が発生した場合には、ISO9001認証を取得していても、企業の責任をまぬがれることはできません。この点で、この例の答えはノー(No)ということになります。”

事故が起きてしまった後には その製品の製造物責任はまぬがれ得ないが、その再発防止策(是正処置)のプロセスが機能するのであれば、その後の製品の不良や欠陥を少なくすることが、できるはずだ、との主旨が述べられています。

ISO9001はPDCAが基本です。PDCAはマネジメントの基本です。しかし、それは、悪く言えば “試行錯誤”の典型。つまり、やってみなければ分からない。
そういう側面を極力抑制するために、予防処置を考えて見るが、それも経験が豊富でなければ有効な処置案がでて来ません。信頼性向上のためのISO/TS16949が推奨するFMEAにしても、豊富な経験(組織の経験を含む)が その有効性を支持するのです。経験欠乏症では ろくなFMEAができません。作成経験がない場合、ろくなFMEAができないものだから、最初は一生懸命に作成してみても、それを維持・改訂しようという気が起きない、というのが一般的な状態ではないかと思います。

これは人間の認識の限界そのもののような話なので、ある程度は仕方ないことだと思います。
まぁ、そこをあきらめずに愚直に 経験を記録し、整理し、積み上げて行くことが エクセレンスへの一つの道であると思います。その段階でのFMEAの使用は 非常に有効ではないかと思います。

しかし、あらゆる経験を積まないと 完璧に近い予防処置を伴った製品開発ができないのか、経験の全く無い新製品開発は不可能なのか、と言えば、どうやら そうでもないようです。タグチ・メソッド(品質工学)の適用が それに対する回答のように思います。タグチ・メソッドは 開発実験の際に 失敗の萌芽を気付かせてくれる手法なので、試行錯誤を極限まで抑制することが可能のようです。これが、開発期間短縮の要素になると言うのです。

さは さりながら、全く無知、無経験の領域へのビジネス展開は 慎重であるべきは 当然のことでしょう。

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