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目標値の設定

久々のヘッポコな お話です。以前提供した話題より 少しましな事例です。
ISO9001は8年前、ISO14001は遅れて2年前に認証取得している会社でのことです。
ISO14001は認証取得とは言え、甘々、大甘での取得でした。つまり、何とか遵法状況を確保したところという状態。
認証取得以降の環境改善活動は 典型的な“紙,ゴミ,電気”の改善。“改善” と言っても“具体的方策”なしで、出たとこ勝負で 毎月ヒヤヒヤの連続でした。

そこで、新年度になって 具体的な改善の方策を計画的に実施するということにしました。
製造業のこの会社では 電気は生産に欠かせず、生産性の改善や不良率の低減で 使用電力の省エネルギー化は容易と見られました。そこで、ISO事務局は 新年度の“事業計画”に沿って 電力原単位の削減を 製造部門に要望し、月毎の目標値を設定するように依頼しました。しかも 製品毎に標準原単位を設定し、製品の構成差によって見かけの目標を変えるという高級な管理方法をとることにしました。これによって、製品毎の電力原単位に関する問題点を的確に把握しようとしたのです。

ところが、製造部門から目標値は一向に出て来ません。4月が終わり、5月の環境会議で実績は報告されたのですが 目標値を設定していないので、適切な実績なのか 評価不能でした。
いよいよ2ヶ月目も終わってしまったのですが、とうとう目標値は提出されませんでした。普通ならば 3月の終わりに既に設定されているべき目標値ですので、いわば、3ヶ月遅れの仕事です。ついに全社課長報告会で、ISO事務局の課長は問題視している旨説明し、社長からも“関係者バックアップしろ!”とのコメントがありました。
しかし、その後も何の動きもありません。これ以上待っても仕方ないので、事務局の課長は 電力管理を環境改善活動の管理対象から 外すことにしました。その会社の製造部門にとって電力の管理は重要ですが 仕方有りません。電力原単位の改善活動自体はないことにして、環境目標のポスターにも記載しないことにしました。

そして製造部門長にもその旨報告しました。すると、その部門長
“エッ!? 目標値が無いことって、そんなに重大な問題だったの?! そんなら・・・・・”
と、数日後 ようやくその部下の課長から目標値の提出されて来ました。あの社長のコメント、指示とは受け取らなかったのでしょうか。それに、マネジメントの基本であるPDCAについて、この製造部長はどのように考えているのでしょう。目標値なしで どのように管理、改善を目指すつもりだったのでしょうか。

それにしても 年度末に仕上げたはずの“事業計画” なるものは 何をどの程度計画していたのでしょう。生産量だけの目標設定だったのでしょうか。生産量を決めれば それに沿って不良率や原単位も目標を定め、予定の生産コストを見積もるのが当然のことだと思ったのですが・・・。
この会社の 予算に対する実績の管理は 結局 どんぶり勘定だったのです。これでは 赤字になっていても何が原因か不明のまま。毎月の予算・実績検討会では、社長以下幹部連中寄り集まって、その日1日中ああでもない、こうでもないと埒の明かない小田原評定、時間ばかり費やしていたのです。無意味なことに一生懸命、それで仕事をした気になっていたのならとんでもないことです。

“目標値”が 掛け声の単なるスローガンであってはならないのです。どんぶり勘定ではなく、製造コストの各要素つまり、歩留、生産性、原単位、不良率を予測推定し、そのコスト全体を予測可能ならしめる数値目標であってこそ 意味があります。(ISO9001;5.4.1品質目標:達成度が判定可能)
その予測には技術的裏付けが必要です。技術的改善テーマ活動の進展に応じてコスト・ダウン・スケジュールが実現されて行くべきです。(ISO14001;4.3.3目的,目標及び実施計画:実施できる場合には測定可能)
また、そうすれば、赤字になった場合その原因となっている要素の特定が即可能となり、その結果、直ちに是正活動が可能となるのです。これが、会社のスピード感のある経営に大きく寄与するのです。

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