The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
普天間移設問題
鳩山首相は 今 普天間問題で剣が峰に立っていると思われている。ご自身も 先週 そのように言っていた。
だが、どうやら そうでもなさそうだ、という記事が 先々週の週刊朝日(2010.4.9号)に掲載され 私はその内容に仰天した。いわゆる“鳩山腹案”とは これか、と思わせる内容だ。だが、この記事は 何故か一般に話題にならず、どのマスコミも続報を出していない。この記事の言う“チーム鳩山”の巧みな 偽装工作によるものなのだろうか。それとも、鈍感なマスコミが正確な情報を把握していないせいなのか。或いは この週刊朝日の記事内容そのものが ガセなのだろうか。
その記事は 松田光世という民主党に近いというフリー・ランサーによる署名記事である。フリー・ランサーの記事のため週刊朝日はその記事内容に責任は持たなくてよいつもりなのだろうか。それであれば、それだけに松田氏にとっては自身の信用にかかわる重要な記事となるだろう。
だが、この驚嘆すべき記事、プロの記者の文章にしては その文脈が乱れていて 少々難解。私の解釈で整理すると次の通りである。もし 誤解があったのなら私の読解力の問題でゴメンなさい。
(1)米国には米空軍の嘉手納基地と海兵隊の普天間基地の移転を求める。
(2)両者は統合してホワイト・ビーチに移設し、ここに3000メートルの滑走路を2本確保する。
というもので、実は、ルース大使が日本側との折衝で“真剣に検討します。”と言いながら、眉間にしわを寄せていた真相は、“仲の悪い米空軍と米海兵隊が一つの基地をうまく共同使用できるのか、「ペンタゴン内の調整」という難しい宿題” を背負うことになったからだ、という。
ところで、現在沖縄にある米海兵隊の基地機能は 次の通り。
①“緊急派遣部隊”*の根拠地(←これの移転先が焦点になる。筆者注)
②訓練基地
③本格的事態対応の前進基地(グアム本体部隊の受入)
*(筆者注)米国人や米国のグリーン・カード所持者の救出のための派遣部隊;救出対象順位として日本人は5番目?だと言う。
この条件を維持満足する提案が日本側から出されるべきだが、以下が いわゆる鳩山腹案の中核部分のようだ。
・徳之島代替案は、ホワイト・ビーチでの空軍と海兵隊の統合運用に難色を示した場合の海兵隊基地の移転先。
・辺野古“陸上案”は、キャンプ・シュワブをヘリコプター基地として残すもので、いわゆる滑走路を作るのではない。
・肝心の“緊急派遣部隊”は長崎の海上自衛隊大村航空基地とその北側の陸上自衛隊竹松駐屯地を整理再編成して受け入れる。ここに緊急派遣部隊運用に使用される問題の新型輸送ヘリコプター“オスプレイ”**を配備する。附属する陸自の訓練場も海兵隊と共同運用する。近くの佐世保は元々、緊急派遣部隊の輸送艦隊の根拠地であり運用の機動性は従来より格段に高まる。
**(筆者注)このオスプレイは下図のような最新型垂直離着陸機。現在沖縄で運用中のヘリコプターは旧式なので、米軍側は配備を急いでいる。従前のシュワブ案に2本のV字型滑走路が必要なのは、これの試験飛行で事故が多発したため、離陸と着陸で別々の滑走路を使用できるようにして、墜落しても集落にではなく、海に落ちるようにしたためと言われている。今では実戦配備して問題なく運用されているが念のためとのことらしい。
この長崎移転は 同じ朝日系の週刊誌アエラ(2010.1.18号)に朝日の軍事ジャーナリスト田岡俊次氏が 取上げていたアイデアである。私も 田岡氏の取上げた案は 最も合理的であると思っていたが、一向に 現実的には取上げられて来なかった。
アエラの記事で、田岡氏は次のように言っている。(一部の紹介。省略した部分はあるが、そのまま引用。)
沖縄の米海兵隊第3遠征軍は司令部と兵站(補給)群など8千人をグアムに移すが、歩兵の第4連隊(キャンプ・シュワブ:現在は1個大隊など約1000人に減少)とヘリ部隊である第36航空群(普天間:現在ヘリ36機、空中給油機など固定翼16機、給油機は岩国に移転予定)だけは沖縄に残す計画だ。この二つの部隊は佐世保を母港とする米海軍の空母型揚陸艦エセックス(4万650トン)など4隻の揚陸艦に乗り組む第31海兵遠征隊(歩兵1個大隊約800人、ヘリ20余機、垂直離着陸攻撃機「ハリアーⅡ」6機、装甲車20余輌)に、歩兵やヘリを差し出す親部隊で、海兵遠征隊は海外での戦乱や暴動、天災などの際、一時的に空港や港を確保して米国居留民を救出、非難させる任務を持つ。(筆者注:松田記事での“緊急派遣部隊”は 田岡記事での“海兵遠征隊”と同義であろう。)
そもそも、揚陸艦は佐世保にいて、海兵隊は800キロも離れた沖縄、という現状が理想的配備ではない。・・・(派遣先が暴動や天災でソウルや上海、天津、青島、東京となれば)まず沖縄に寄って兵員、装甲車、ヘリなどを乗せ、反転北上して目的地に向かわざるをえず、往復に2日を空費する。佐世保付近にヘリ部隊、歩兵部隊を集中し、すぐに兵員を乗せて出港、沖合でヘリを着艦させて目的地に直行できるようになるなら米軍は大歓迎だろう。
田岡記事と松田記事との違いは、移設部隊用兵舎を “かつて韓国からの密航者を入れた法務省の大村収容所”としていたのを、松田記事では“ハウステンボスの空き室”としている点だが、2ヶ月でえらく待遇が上がったような印象だ。
いや、ホワイト・ビーチや シュワブ陸上案の内実を 田岡記事は全く触れてはいなかった。もっとも、田岡記事の出た1月には 両案は話題になっていなかったのだが。
だが、その田岡氏自身も 松田氏の記事が出た後も その話題を何ら取上げることなく無視し続けている。そればかりではなく、“このまま行くと、鳩山政権は立ち行かない。”と 一般のマスコミと同様のコメントをし続けている。これはどういうことなのだろうか。
もし、松田記事が真実であるならば、“昨年11月に鳩山首相がオバマ大統領に「トラスト・ミー」と言って約束”したことが、着実に実行されることになり、鳩山氏の指導力は 見直され、内閣支持率は反転するはずだ。だが、巷間言われるように、様々な障害が起きているのも事実だ。私もホワイトビーチ案は美しい海(ちゅらうみ)の自然破壊に通じるのでいささか賛成しかねるのだが、隠密裏にやるべき外交問題を衆人環視の中で 時間を限って処理するのは困難極まりないプロジェクトだというのは理解できる。
このところ 週刊誌記事の紹介ばかりで、恐縮だが 成り行きが興味深いので 一般に言われていない報道を紹介させてもらった。
だが、どうやら そうでもなさそうだ、という記事が 先々週の週刊朝日(2010.4.9号)に掲載され 私はその内容に仰天した。いわゆる“鳩山腹案”とは これか、と思わせる内容だ。だが、この記事は 何故か一般に話題にならず、どのマスコミも続報を出していない。この記事の言う“チーム鳩山”の巧みな 偽装工作によるものなのだろうか。それとも、鈍感なマスコミが正確な情報を把握していないせいなのか。或いは この週刊朝日の記事内容そのものが ガセなのだろうか。
その記事は 松田光世という民主党に近いというフリー・ランサーによる署名記事である。フリー・ランサーの記事のため週刊朝日はその記事内容に責任は持たなくてよいつもりなのだろうか。それであれば、それだけに松田氏にとっては自身の信用にかかわる重要な記事となるだろう。
だが、この驚嘆すべき記事、プロの記者の文章にしては その文脈が乱れていて 少々難解。私の解釈で整理すると次の通りである。もし 誤解があったのなら私の読解力の問題でゴメンなさい。
(1)米国には米空軍の嘉手納基地と海兵隊の普天間基地の移転を求める。
(2)両者は統合してホワイト・ビーチに移設し、ここに3000メートルの滑走路を2本確保する。
というもので、実は、ルース大使が日本側との折衝で“真剣に検討します。”と言いながら、眉間にしわを寄せていた真相は、“仲の悪い米空軍と米海兵隊が一つの基地をうまく共同使用できるのか、「ペンタゴン内の調整」という難しい宿題” を背負うことになったからだ、という。
ところで、現在沖縄にある米海兵隊の基地機能は 次の通り。
①“緊急派遣部隊”*の根拠地(←これの移転先が焦点になる。筆者注)
②訓練基地
③本格的事態対応の前進基地(グアム本体部隊の受入)
*(筆者注)米国人や米国のグリーン・カード所持者の救出のための派遣部隊;救出対象順位として日本人は5番目?だと言う。
この条件を維持満足する提案が日本側から出されるべきだが、以下が いわゆる鳩山腹案の中核部分のようだ。
・徳之島代替案は、ホワイト・ビーチでの空軍と海兵隊の統合運用に難色を示した場合の海兵隊基地の移転先。
・辺野古“陸上案”は、キャンプ・シュワブをヘリコプター基地として残すもので、いわゆる滑走路を作るのではない。
・肝心の“緊急派遣部隊”は長崎の海上自衛隊大村航空基地とその北側の陸上自衛隊竹松駐屯地を整理再編成して受け入れる。ここに緊急派遣部隊運用に使用される問題の新型輸送ヘリコプター“オスプレイ”**を配備する。附属する陸自の訓練場も海兵隊と共同運用する。近くの佐世保は元々、緊急派遣部隊の輸送艦隊の根拠地であり運用の機動性は従来より格段に高まる。
**(筆者注)このオスプレイは下図のような最新型垂直離着陸機。現在沖縄で運用中のヘリコプターは旧式なので、米軍側は配備を急いでいる。従前のシュワブ案に2本のV字型滑走路が必要なのは、これの試験飛行で事故が多発したため、離陸と着陸で別々の滑走路を使用できるようにして、墜落しても集落にではなく、海に落ちるようにしたためと言われている。今では実戦配備して問題なく運用されているが念のためとのことらしい。
この長崎移転は 同じ朝日系の週刊誌アエラ(2010.1.18号)に朝日の軍事ジャーナリスト田岡俊次氏が 取上げていたアイデアである。私も 田岡氏の取上げた案は 最も合理的であると思っていたが、一向に 現実的には取上げられて来なかった。
アエラの記事で、田岡氏は次のように言っている。(一部の紹介。省略した部分はあるが、そのまま引用。)
沖縄の米海兵隊第3遠征軍は司令部と兵站(補給)群など8千人をグアムに移すが、歩兵の第4連隊(キャンプ・シュワブ:現在は1個大隊など約1000人に減少)とヘリ部隊である第36航空群(普天間:現在ヘリ36機、空中給油機など固定翼16機、給油機は岩国に移転予定)だけは沖縄に残す計画だ。この二つの部隊は佐世保を母港とする米海軍の空母型揚陸艦エセックス(4万650トン)など4隻の揚陸艦に乗り組む第31海兵遠征隊(歩兵1個大隊約800人、ヘリ20余機、垂直離着陸攻撃機「ハリアーⅡ」6機、装甲車20余輌)に、歩兵やヘリを差し出す親部隊で、海兵遠征隊は海外での戦乱や暴動、天災などの際、一時的に空港や港を確保して米国居留民を救出、非難させる任務を持つ。(筆者注:松田記事での“緊急派遣部隊”は 田岡記事での“海兵遠征隊”と同義であろう。)
そもそも、揚陸艦は佐世保にいて、海兵隊は800キロも離れた沖縄、という現状が理想的配備ではない。・・・(派遣先が暴動や天災でソウルや上海、天津、青島、東京となれば)まず沖縄に寄って兵員、装甲車、ヘリなどを乗せ、反転北上して目的地に向かわざるをえず、往復に2日を空費する。佐世保付近にヘリ部隊、歩兵部隊を集中し、すぐに兵員を乗せて出港、沖合でヘリを着艦させて目的地に直行できるようになるなら米軍は大歓迎だろう。
田岡記事と松田記事との違いは、移設部隊用兵舎を “かつて韓国からの密航者を入れた法務省の大村収容所”としていたのを、松田記事では“ハウステンボスの空き室”としている点だが、2ヶ月でえらく待遇が上がったような印象だ。
いや、ホワイト・ビーチや シュワブ陸上案の内実を 田岡記事は全く触れてはいなかった。もっとも、田岡記事の出た1月には 両案は話題になっていなかったのだが。
だが、その田岡氏自身も 松田氏の記事が出た後も その話題を何ら取上げることなく無視し続けている。そればかりではなく、“このまま行くと、鳩山政権は立ち行かない。”と 一般のマスコミと同様のコメントをし続けている。これはどういうことなのだろうか。
もし、松田記事が真実であるならば、“昨年11月に鳩山首相がオバマ大統領に「トラスト・ミー」と言って約束”したことが、着実に実行されることになり、鳩山氏の指導力は 見直され、内閣支持率は反転するはずだ。だが、巷間言われるように、様々な障害が起きているのも事実だ。私もホワイトビーチ案は美しい海(ちゅらうみ)の自然破壊に通じるのでいささか賛成しかねるのだが、隠密裏にやるべき外交問題を衆人環視の中で 時間を限って処理するのは困難極まりないプロジェクトだというのは理解できる。
このところ 週刊誌記事の紹介ばかりで、恐縮だが 成り行きが興味深いので 一般に言われていない報道を紹介させてもらった。
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