The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
“ISOを活かす―57. 文書のスリム化によって、業務効率を向上させる”
今回は 文書のスリム化をめぐる課題です。
【組織の問題点】
3年前にISO9001の認証取得した会社で、その3年間で、審査や内部監査の都度、文書が増え、これに対応するためのマンパワーの増強を行ないましたが、文書の最新版の管理が 相当に負担になっているという事例です。
【磯野及泉のコメント】
文書のスリム化は 実は 非常に解消困難な問題です。常に その気になって文書のメンテナンスや見直しを 実施することが大切です。
私は、まず 文書の種類を限定し、それをルール化することが 大切だと考えます。このルールの下に無い文書や記録は 公式の書類としては認めないことにして整理すること。それによって ルール下にない山猫文書というか海賊版というか そういう闇の文書を一掃し、禁止することです。例えば 文書類を下図のように分類し、それ以外を排除することが スリム化の第一歩と考えます。
これは、著者・岩波氏の言うように 帳票の整理統合だけではありません。
また 本書での著者の指摘しているスリム化の手数は限界があるような印象です。
また著者の言うように“ISO9001用文書”などという書類を設けていて 本当に使っているルール・ブックと区別し、二重帳簿にしているのは論外です。
ISO9001の普及が ピークとなっていた頃、私が初めて第二者監査を実施した会社が この二重帳簿をやっていました。私は とても驚いたのですが、先方のISO9001担当者、得意げに“こうすることで、認証が容易に取れました。このやり方は 認証機関の推奨するコンサルタントから 教わった方法なので、何なら 具体的にお教えしますヨ”と言っていました。この台詞にも ビックリしたので 数日後 その認証機関に電話してしまいました。その認証機関は 日本のISOマネジメントの総本山のような所でしたが、電話に出た相手の方も驚いておられたので安心したような次第でした。
二重帳簿は その内にどれが本当のルールなのか分からなくなり、混乱の素となります。これはISOマネジメントの趣旨ではありません。
その後 その会社との取引は 他の事情もあって 幸いにも無くなってしまいました。世の中 様々なことがあるものです。
著者の指摘のように、品質マニュアルと その下位文書の間に内容の重複を避けるためには、以前に提案しました“薄いマニュアル”が 有効であると思います。そして、品質マニュアルには必要最小限のことのみを記載する。当然、外部への持ち出しも前提として内容を吟味する。特に 社外秘以上の機密事項は記載しない。・・・などに留意して 薄い品質マニュアルを作成することも スリム化の手段であると思われます。
記録や帳票類の様式化を工夫することにより、記入時に空欄を埋める作業によって自動的に定められた手順を踏めるようにする。これも 手順を定める文書の省略につながる手段だと思います。
それから、前回指摘しました“ハード面での手順の合理化”です。
機械化を進展させ、手作業そのものの省略により 手順書自体も省略することができます。
ITシステム化により、自動的に正当な手順を踏襲できるようにすることも方法です。例えば、受発注作業のシステム化により、受注検討や 発注仕様のチェックなどの手順書を 無くすことが可能です。
さらには、ITを使った文書管理及び整理。記録の電子化 等々 があるでしょう。特に 文書の作成・審査・承認のITシステム化は 非常に有効に思います。
また 現場作業の手順書は 多岐に渡る製品に対応ために 端末により必要箇所を検索し、手順を追って次々とページをめくるように表示が変化するように工夫されているのが 一般的のようです。
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