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ここ柳川は、「どんこ舟」の川下りで知られています。
そして、詩人・歌人として有名な「北原白秋」がこよなく愛したふるさとでもあります。
私もすっかりこの街が好きになり、今回は旧柳川藩主立花家の屋敷で江戸時代に藩主立花家の別邸だった
「御花(おはな)」に宿をとりました。
その昔「花畠」という地名であった事から、柳川の人々から御花と呼ばれるようになったといわれていて、
お屋敷地全域が「立花氏庭園」として国指定名勝となっているということです。
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朝の五時前、まだ多くの人が眠りについている頃、大自然はほとんどめざめていました。
客室の4階バルコニーからの見事な光景に、まさに命が洗われる静かな時が流れていきました。
緑豊かな庭園のあちこちからは、鳥たちのさえずりが響きわたり
天空には時折シロサギ、アオサギが優雅に羽ばたいています。
庭園を囲む水路に浮かんだ舟が、緑の合間から顔をのぞかせ
昼間乗ったどんこ舟の、ここちよさがよみがえります。
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両岸に民家の立ち並ぶ水路をゆったり滑るようにすすみ、
ふきぬける風のここちよさや、美しいねむの木やショウウブ、あじさいなど多くの植物も見ごろでした。
この静けさを破るように、水路に沿った散歩道を歩くひとの小石を踏みしめる音が、
サクサクと規則正しくこだましてきました。
そろそろ、世間も目覚めはじめたようです。
こんなにゆったりとした時の中で、たっぷりと五感をいやすことができたことに感謝して
これを活力にまた明日から頑張ろうと思います。
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