話題のスギ花粉症舌下免疫療法。
スギ花粉症の時期に眠くなる薬を飲まなくてもよくなるかもしれない、という夢のような治療法ですが、有効な薬には副作用がつきものです。
安易に導入しないよう、効果とともに副作用・注意事項も報道される傾向がありますね。
わかりやすい記事を見つけたので引用します;
■ 花粉症 飲み薬で体質改善 舌下免疫療法、保険適用へ
(2014年3月4日:中日新聞)
スギ花粉エキスを少量ずつ口に含み、アレルギー反応が出ない体質への改善を目指す-。そんな花粉症の新しい治療薬が厚生労働省に承認され、六月以降に特定の医療機関で保険適用による処方が始まる。ただ、最低二年間は毎日、服用を続ける必要があるほか、服用法を誤れば症状を悪化させる恐れも。患者自身が治療内容を理解し、開始時期などを慎重に判断することが大事だ。
東京都内の大学病院で働く女性看護師(47)は約二十年前から、スギ花粉症でくしゃみや鼻詰まり、湿疹などに悩まされてきた。内服薬や点鼻薬はほとんど効かず、反対に副作用の眠気に襲われて困ったという。
八年前、少量の花粉エキスを舌の下に入れる「舌下免疫療法」の治験に参加。二度目の花粉シーズンから、症状が明らかに改善した。当時の治験のやり方に従い、三年目以降も花粉シーズン中だけは服用を続けたところ、現在は飛散量が多い日にくしゃみが数回出る程度で、鼻水はほとんど出なくなったという。
「普通の生活が送れるようになった。副作用の眠気もない」と喜ぶ。
これまでの花粉症治療薬の多くは、症状をもたらすヒスタミンなどの作用を一時的に抑えるといった対症療法だ。
一方、免疫療法は患者の体を少しずつ花粉に慣らし、アレルギー反応が起こりにくい体質にするため、完治の可能性もある。臨床研究では、患者の七~八割が症状が全く出なくなるか、大幅に改善した。
ただし、注意も必要だ。長年、舌下免疫療法を研究してきた日本医科大耳鼻咽喉科の大久保公裕教授は「この治療は病院ではなく、患者さん自身が自宅で行うのが特徴。そばアレルギーの人が、そば粉を持ち帰るのと同じで、『間違えてたくさん飲んでしまった』では済まない」と話す。
◇
治療は十二歳以上を対象に、スギ花粉が飛散していない時期に開始。毎日、舌の下に花粉エキスを垂らし、二分間そのまま保持した後、飲み込む。その後、五分間はうがい、飲食をせず、最低二時間は激しい運動や入浴、アルコール摂取を避ける。血流が良くなると、重いアレルギー反応が出る恐れがあるからだ。
当初は唇の腫れ、耳のかゆみなどの副作用が出ることがある。国内の臨床試験ではアナフィラキシーショックなどの重いアレルギー症状は報告されていないが、注意は必要だ。
治療に要する期間は最低二年。途中で一週間でも飲み忘れがあれば、治療が振り出しに戻る可能性がある。「中途半端にやれば、かえって症状が悪化する」と大久保さん。長期の海外出張などが多い人は、開始時期の見極めが大事だ。
このほか、原因物質に関係なく、さまざまな刺激で症状が出る鼻過敏症や、通年性のアレルギー性鼻炎の人には、スギ花粉症の舌下免疫療法は向かない。チェックリスト=表=などが判断の参考になる。
鼻アレルギー診療ガイドラインの作成委員で、総合南東北病院アレルギー・頭頚部(とうけいぶ)センターの今野昭義所長は「これまでの花粉症治療には、満足していない患者さんが多かった。舌下免疫療法は症状の大幅な改善と、持続的な効果が期待できる」と評価する。
その上で、「リスクが少ない治療法だが、アレルギー反応には個人差がある。治療を始めて体がおかしいと感じたら、早めに医療機関を受診してほしい」と話している。
舌下免疫療法を受けられる医療機関は、治療薬を製造する鳥居薬品がインターネットなどで検索できるシステムを準備している。
さて、この薬は医師なら誰でも処方できるわけではありません。
「処方資格」というハードルがいくつも設定されています。
まず、指定された講習を受けなければなりません(私の受講記)。すると製薬会社に登録されるのですが、その後にネット上の講義と試験を受け合格する必要があります。さらに申請時には、有事の際に救急医療を受け入れてくれる病院との契約が前提となっています。
石橋を叩いて渡る、というスタンスが垣間見えます。
使用を希望する患者さんにも、それだけリスクのある治療法と認識していただきたいと思います。
スギ花粉症の時期に眠くなる薬を飲まなくてもよくなるかもしれない、という夢のような治療法ですが、有効な薬には副作用がつきものです。
安易に導入しないよう、効果とともに副作用・注意事項も報道される傾向がありますね。
わかりやすい記事を見つけたので引用します;
■ 花粉症 飲み薬で体質改善 舌下免疫療法、保険適用へ
(2014年3月4日:中日新聞)
スギ花粉エキスを少量ずつ口に含み、アレルギー反応が出ない体質への改善を目指す-。そんな花粉症の新しい治療薬が厚生労働省に承認され、六月以降に特定の医療機関で保険適用による処方が始まる。ただ、最低二年間は毎日、服用を続ける必要があるほか、服用法を誤れば症状を悪化させる恐れも。患者自身が治療内容を理解し、開始時期などを慎重に判断することが大事だ。
東京都内の大学病院で働く女性看護師(47)は約二十年前から、スギ花粉症でくしゃみや鼻詰まり、湿疹などに悩まされてきた。内服薬や点鼻薬はほとんど効かず、反対に副作用の眠気に襲われて困ったという。
八年前、少量の花粉エキスを舌の下に入れる「舌下免疫療法」の治験に参加。二度目の花粉シーズンから、症状が明らかに改善した。当時の治験のやり方に従い、三年目以降も花粉シーズン中だけは服用を続けたところ、現在は飛散量が多い日にくしゃみが数回出る程度で、鼻水はほとんど出なくなったという。
「普通の生活が送れるようになった。副作用の眠気もない」と喜ぶ。
これまでの花粉症治療薬の多くは、症状をもたらすヒスタミンなどの作用を一時的に抑えるといった対症療法だ。
一方、免疫療法は患者の体を少しずつ花粉に慣らし、アレルギー反応が起こりにくい体質にするため、完治の可能性もある。臨床研究では、患者の七~八割が症状が全く出なくなるか、大幅に改善した。
ただし、注意も必要だ。長年、舌下免疫療法を研究してきた日本医科大耳鼻咽喉科の大久保公裕教授は「この治療は病院ではなく、患者さん自身が自宅で行うのが特徴。そばアレルギーの人が、そば粉を持ち帰るのと同じで、『間違えてたくさん飲んでしまった』では済まない」と話す。
◇
治療は十二歳以上を対象に、スギ花粉が飛散していない時期に開始。毎日、舌の下に花粉エキスを垂らし、二分間そのまま保持した後、飲み込む。その後、五分間はうがい、飲食をせず、最低二時間は激しい運動や入浴、アルコール摂取を避ける。血流が良くなると、重いアレルギー反応が出る恐れがあるからだ。
当初は唇の腫れ、耳のかゆみなどの副作用が出ることがある。国内の臨床試験ではアナフィラキシーショックなどの重いアレルギー症状は報告されていないが、注意は必要だ。
治療に要する期間は最低二年。途中で一週間でも飲み忘れがあれば、治療が振り出しに戻る可能性がある。「中途半端にやれば、かえって症状が悪化する」と大久保さん。長期の海外出張などが多い人は、開始時期の見極めが大事だ。
このほか、原因物質に関係なく、さまざまな刺激で症状が出る鼻過敏症や、通年性のアレルギー性鼻炎の人には、スギ花粉症の舌下免疫療法は向かない。チェックリスト=表=などが判断の参考になる。
鼻アレルギー診療ガイドラインの作成委員で、総合南東北病院アレルギー・頭頚部(とうけいぶ)センターの今野昭義所長は「これまでの花粉症治療には、満足していない患者さんが多かった。舌下免疫療法は症状の大幅な改善と、持続的な効果が期待できる」と評価する。
その上で、「リスクが少ない治療法だが、アレルギー反応には個人差がある。治療を始めて体がおかしいと感じたら、早めに医療機関を受診してほしい」と話している。
舌下免疫療法を受けられる医療機関は、治療薬を製造する鳥居薬品がインターネットなどで検索できるシステムを準備している。
さて、この薬は医師なら誰でも処方できるわけではありません。
「処方資格」というハードルがいくつも設定されています。
まず、指定された講習を受けなければなりません(私の受講記)。すると製薬会社に登録されるのですが、その後にネット上の講義と試験を受け合格する必要があります。さらに申請時には、有事の際に救急医療を受け入れてくれる病院との契約が前提となっています。
石橋を叩いて渡る、というスタンスが垣間見えます。
使用を希望する患者さんにも、それだけリスクのある治療法と認識していただきたいと思います。