現在任意接種という設定のロタウイルスワクチンが、来年秋に定期接種化することが決まりました。
乳幼児が罹ると嘔吐下痢の末に脱水になって入院することもあるウイルスです。
ただ、朝日新聞の記事の中に「2種類のうち、どちらか一つのワクチンを接種することを原則、転居など事情がある場合は、2種類を組み合わせて接種してもよい」という文章を見つけて驚きました。
現在使用できるロタウイルスワクチンは、ロタリックス®とロタテック®の2種類。
この二つは「互換性がない」として、同じワクチンで接種を完了することが求められています。
しかし、記事では混在してもよいという書き方。
■ ロタワクチン、0歳児に無料で定期接種 来年10月から
(2019年9月26日:朝日新聞)
乳幼児の重い胃腸炎の原因になるロタウイルスのワクチンについて、厚生労働省の部会は26日、来年10月から原則無料で受けられる定期接種とする方針を決めた。対象は2020年8月以降に生まれた0歳児で、計2~3回接種する。
定期接種の対象となるワクチンは、「ロタリックス」と「ロタテック」の2種類で、いずれも飲むタイプ。2種類のうち、どちらか一つのワクチンを接種することを原則とした。転居など事情がある場合は、2種類を組み合わせて接種してもよいとした。
それぞれの接種対象と方法は、ロタリックスは生後6~24週に4週間以上の間隔をあけて2回、ロタテックは生後6~32週に4週間以上の間隔をあけて3回接種する。ほかの予防接種の開始時期や副反応のリスクを踏まえ、初回の接種はいずれも生後2カ月~14週を推奨するとした。
ロタウイルスは感染力が強く、5歳までにほぼ全ての子が感染する。患者の便に触った手などから口に入り、下痢や嘔吐(おうと)、腹痛などを起こす。抗ウイルス薬はない。通常1~2週間で自然に治るが、免疫がない子どもは重症化しやすい。(土肥修一)
次に、医療関係者限定のHPから一部を抜粋します。
上記と同じく、ワクチン接種開始後、転居などにより他の自治体で接種継続することになった場合、その自治体が別の種類のワクチンしか用意していなかったら・・・という疑問に対する答えの部分。
「定期接種では、原則としてどちらか1種類の製剤で接種を完了することとしている。ただし、自治体によってはどちらか1種類の製剤だけを備蓄している可能性もあるため、初回接種後に、別製剤のみを備蓄している自治体に転居した場合など、同一製剤で接種を完了できなくなった場合は例外となる。ワクチンの互換性に関して安全性と有効性が確立されていない組み合わせもある。事務局は「基本的には自治体にご判断いただきたい」としつつも、どちらの製剤を接種したか不明だった場合などを含め、再度整理するとした。」
こちらも2種類のワクチンが混在することを否定していません。
そしてなんと、責任は現場に丸投げ!?
1年後に開始するまでに、ぜひ現場が納得して接種できるよう整理していただきたいと思います。
■ ロタウイルスワクチンの定期接種化、来年10月に開始
第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
(2019/9/27:日経メディカル)
・・・・・
ロタウイルスワクチンの定期接種化については、ワクチンの科学的な評価としては「定期接種化が妥当」とされていたが、費用対効果が「良好ではない」とされ、製造メーカー2社にワクチン価格の引き下げについて打診していた(関連記事:ロタウイルスワクチンの定期接種化は費用が課題)。これは9月13日に開催された第33回の同部会において、非公開で話合われた結果、一定の価格低減には応じるとの旨の回答があったため、2020年10月1日から定期接種化を開始することとなった。今回は、具体的な規定や接種の実施方法について審議した。
事務局が提示した論点は、表1の通り。
表1 ロタウイルスワクチン定期接種化に当たっての論点
(出典:同部会資料1「ロタウイルスワクチンについて」より)
定期接種の対象者や接種方法については、添付文書通りとなっている。標準的な接種期間について、案で「初回接種は生後2カ月から」となっていることについて、独立行政法人国立病院機構本部総合研究センター長の伊藤澄信氏は「保護者の仕事の都合などで、2カ月に数日満たない時期に接種しに来てしまった場合、定期接種として認めない自治体もあると聞いている。標準的な接種期間の開始時期も、添付文書の生後6週に合わせてはどうか」という意見があった。
これに対し、国立感染症研究所感染症疫学センター第三室長の多屋馨子氏は、「法的には生後6週からの接種が認められているので、問題にはならないことを伝えていきたい。ただし、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンや小児の肺炎球菌ワクチンなどの接種時期が生後2カ月からとなっているので、同時接種などで間違いが起こりやすくなったり、生ワクチンの接種間隔調整のため他のワクチン接種に当たって混乱が起こると考えている。標準的な接種期間は生後2カ月とし、生後6週で接種しても問題ないことも併せて伝えるのがいいのではないか」と話した。この点を踏まえて、標準的な接種期間は案通りで了承された。
継続審議となったのは、同一の製剤で接種を完了できなかったケースの対応についてだ。ロタウイルスワクチンはロタリックスとロタテックの2製剤があり、接種期間や接種回数が異なる。定期接種では、原則としてどちらか1種類の製剤で接種を完了することとしている。ただし、自治体によってはどちらか1種類の製剤だけを備蓄している可能性もあるため、初回接種後に、別製剤のみを備蓄している自治体に転居した場合など、同一製剤で接種を完了できなくなった場合は例外となる。ワクチンの互換性に関して安全性と有効性が確立されていない組み合わせもある。事務局は「基本的には自治体にご判断いただきたい」としつつも、どちらの製剤を接種したか不明だった場合などを含め、再度整理するとした。
また、ロタウイルスワクチンを接種後に吐き出した場合の対応について、案では「再投与の有効性などについて検討されていないことを含め、再接種は行わないこととしてはどうか」と提示されていた。これについて日本医師会常任理事の釜萢敏氏は「吐き出した場合はメーカーや医療機関の厚意によって再接種が行われることが多かった。定期接種では再接種は行わないという方針を打ち出すのであれば、これまでの現場での運用とは異なるため、しっかり周知しなければならない。現場としては、吐き出した場合に再接種できる仕組みが必要という印象ではある」とコメント。事務局が再度検討を行うこととなった。
乳幼児が罹ると嘔吐下痢の末に脱水になって入院することもあるウイルスです。
ただ、朝日新聞の記事の中に「2種類のうち、どちらか一つのワクチンを接種することを原則、転居など事情がある場合は、2種類を組み合わせて接種してもよい」という文章を見つけて驚きました。
現在使用できるロタウイルスワクチンは、ロタリックス®とロタテック®の2種類。
この二つは「互換性がない」として、同じワクチンで接種を完了することが求められています。
しかし、記事では混在してもよいという書き方。
■ ロタワクチン、0歳児に無料で定期接種 来年10月から
(2019年9月26日:朝日新聞)
乳幼児の重い胃腸炎の原因になるロタウイルスのワクチンについて、厚生労働省の部会は26日、来年10月から原則無料で受けられる定期接種とする方針を決めた。対象は2020年8月以降に生まれた0歳児で、計2~3回接種する。
定期接種の対象となるワクチンは、「ロタリックス」と「ロタテック」の2種類で、いずれも飲むタイプ。2種類のうち、どちらか一つのワクチンを接種することを原則とした。転居など事情がある場合は、2種類を組み合わせて接種してもよいとした。
それぞれの接種対象と方法は、ロタリックスは生後6~24週に4週間以上の間隔をあけて2回、ロタテックは生後6~32週に4週間以上の間隔をあけて3回接種する。ほかの予防接種の開始時期や副反応のリスクを踏まえ、初回の接種はいずれも生後2カ月~14週を推奨するとした。
ロタウイルスは感染力が強く、5歳までにほぼ全ての子が感染する。患者の便に触った手などから口に入り、下痢や嘔吐(おうと)、腹痛などを起こす。抗ウイルス薬はない。通常1~2週間で自然に治るが、免疫がない子どもは重症化しやすい。(土肥修一)
次に、医療関係者限定のHPから一部を抜粋します。
上記と同じく、ワクチン接種開始後、転居などにより他の自治体で接種継続することになった場合、その自治体が別の種類のワクチンしか用意していなかったら・・・という疑問に対する答えの部分。
「定期接種では、原則としてどちらか1種類の製剤で接種を完了することとしている。ただし、自治体によってはどちらか1種類の製剤だけを備蓄している可能性もあるため、初回接種後に、別製剤のみを備蓄している自治体に転居した場合など、同一製剤で接種を完了できなくなった場合は例外となる。ワクチンの互換性に関して安全性と有効性が確立されていない組み合わせもある。事務局は「基本的には自治体にご判断いただきたい」としつつも、どちらの製剤を接種したか不明だった場合などを含め、再度整理するとした。」
こちらも2種類のワクチンが混在することを否定していません。
そしてなんと、責任は現場に丸投げ!?
1年後に開始するまでに、ぜひ現場が納得して接種できるよう整理していただきたいと思います。
■ ロタウイルスワクチンの定期接種化、来年10月に開始
第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
(2019/9/27:日経メディカル)
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ロタウイルスワクチンの定期接種化については、ワクチンの科学的な評価としては「定期接種化が妥当」とされていたが、費用対効果が「良好ではない」とされ、製造メーカー2社にワクチン価格の引き下げについて打診していた(関連記事:ロタウイルスワクチンの定期接種化は費用が課題)。これは9月13日に開催された第33回の同部会において、非公開で話合われた結果、一定の価格低減には応じるとの旨の回答があったため、2020年10月1日から定期接種化を開始することとなった。今回は、具体的な規定や接種の実施方法について審議した。
事務局が提示した論点は、表1の通り。
表1 ロタウイルスワクチン定期接種化に当たっての論点
(出典:同部会資料1「ロタウイルスワクチンについて」より)
定期接種の対象者や接種方法については、添付文書通りとなっている。標準的な接種期間について、案で「初回接種は生後2カ月から」となっていることについて、独立行政法人国立病院機構本部総合研究センター長の伊藤澄信氏は「保護者の仕事の都合などで、2カ月に数日満たない時期に接種しに来てしまった場合、定期接種として認めない自治体もあると聞いている。標準的な接種期間の開始時期も、添付文書の生後6週に合わせてはどうか」という意見があった。
これに対し、国立感染症研究所感染症疫学センター第三室長の多屋馨子氏は、「法的には生後6週からの接種が認められているので、問題にはならないことを伝えていきたい。ただし、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンや小児の肺炎球菌ワクチンなどの接種時期が生後2カ月からとなっているので、同時接種などで間違いが起こりやすくなったり、生ワクチンの接種間隔調整のため他のワクチン接種に当たって混乱が起こると考えている。標準的な接種期間は生後2カ月とし、生後6週で接種しても問題ないことも併せて伝えるのがいいのではないか」と話した。この点を踏まえて、標準的な接種期間は案通りで了承された。
継続審議となったのは、同一の製剤で接種を完了できなかったケースの対応についてだ。ロタウイルスワクチンはロタリックスとロタテックの2製剤があり、接種期間や接種回数が異なる。定期接種では、原則としてどちらか1種類の製剤で接種を完了することとしている。ただし、自治体によってはどちらか1種類の製剤だけを備蓄している可能性もあるため、初回接種後に、別製剤のみを備蓄している自治体に転居した場合など、同一製剤で接種を完了できなくなった場合は例外となる。ワクチンの互換性に関して安全性と有効性が確立されていない組み合わせもある。事務局は「基本的には自治体にご判断いただきたい」としつつも、どちらの製剤を接種したか不明だった場合などを含め、再度整理するとした。
また、ロタウイルスワクチンを接種後に吐き出した場合の対応について、案では「再投与の有効性などについて検討されていないことを含め、再接種は行わないこととしてはどうか」と提示されていた。これについて日本医師会常任理事の釜萢敏氏は「吐き出した場合はメーカーや医療機関の厚意によって再接種が行われることが多かった。定期接種では再接種は行わないという方針を打ち出すのであれば、これまでの現場での運用とは異なるため、しっかり周知しなければならない。現場としては、吐き出した場合に再接種できる仕組みが必要という印象ではある」とコメント。事務局が再度検討を行うこととなった。