「そろそろ花粉症の季節なので薬をもらいに来ました」という患者さんを散見するようになりました。
最近目にとまった花粉症関連のニュースを;
■ 増える子供の花粉症、5歳までの発症が4割超える ロート製薬調査 乳幼児期の湿疹治療がカギ
(2014.1.22:メディカルトリビューン)
「子供が花粉症で寝つきが悪く、鼻詰まりのせいで夜泣きをする」―保護者としては、小さな子供が花粉症に苦しむ前に手を打ちたい。ロート製薬は2014年1月8日、16歳以下の子供を持つ保護者を対象にアンケート調査を実施した結果、「子供が花粉症」が約3割、「5歳までに発症」が4割を超え、低年齢化傾向にあると報告した。また、1歳までに2カ月以上湿疹が続いた子供の花粉症発症率は1.5倍との結果から、大阪府済生会中津病院小児科の末廣豊医師は「乳児期の湿疹から子供のアレルギー疾患が始まり、湿疹をできるだけ早く治すことが"アレルギーマーチ"(成長とともにアレルギーが変化すること)の発展阻止につながることが証明されつつあります」との見解を示した。
この調査は昨年11月26日~12月2日、0~16歳の子供を持つ全国の父母2,082人(子供3,472人)を対象に、インターネットを介して行われた。その結果、「子供が花粉症だと思う」と回答した父母は28.8%、そのうち、子供が花粉症を発症した年齢について「5歳」と答えた人が12.5%で最も多かった。なお、5歳までに41.8%、10歳まで78.8%が発症していた。
これらの調査結果を受けて、末廣医師は、「子供の花粉症患者の増加や低年齢化が目立ち、両親がスギ花粉症の場合では理論的に子供もほぼ100%発症する」「いったん発症すると自然に治ることはなく、乳幼児期から花粉を避け、屋内に花粉が侵入するのを防ぐこと、発症してからは早めに予防治療することが大切」と話す。
近年では、皮膚から食物アレルゲンなどのアレルゲン感作が始まることを証明するデータは増え続けることから、「乳児期の湿疹から小児のアレルギー疾患(食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎/花粉症)が始まる、すなわちアレルギーマーチは皮膚から始まるということが証明されつつあり、乳児期の湿疹をできるだけ早く治しておくことがアレルギーマーチの発展を阻止につながります。湿疹やアトピー性皮膚炎の予防には、保湿剤などで皮膚をつるつるにしておくことが重要との報告があります」と述べた。
近年指摘されてきた「スギ花粉症の低年齢化」が数字として表れています。確かに、1歳でもスギ花粉症と云わざるを得ない患者さんもいらっしゃいます。
また、「”茶のしずく石鹸”事件」で有名になった「経皮感作」も話題です。口から入ると大丈夫だけど、炎症のある皮膚から入るとアレルギーの原因になりかねない、という学説。
次は私の花粉症診療に多用している漢方薬の記事;
■ 花粉症に効く、眠くならない漢方の種類
(JIJICO:2014年01月25日)
花粉シーズンが近づいてきました。花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となってアレルギー症状を起こす病気です。花粉の飛ぶ季節に症状が起きるため、「季節性アレルギー性鼻炎」と呼ばれています。日本では、スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、シラカバなど約60種類の植物により花粉症を引き起こすと報告されています。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりだけでなく、目のかゆみ、なみだ、充血などをともなうことが多く、喉や皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい、といった症状が現れることもあります。一年中、症状が出る場合は「通年性アレルギー性鼻炎」と呼ばれ、花粉以外に、ダニ、ハウスダスト、昆虫、ペットの毛・フケなどに対してアレルギーが起こり、喘息やアトピー性皮膚炎などを合併することもあります。
花粉症は、漢方では「 溢飲(いついん)の病」といって、体の余分な水分が外へあふれ出る病とされています。水毒体質で体に余分な水分を抱えた冷え性の人が多く、体質改善に使用する漢方薬と、くしゃみや鼻水といった寒証型の症状を改善する漢方薬で対応します。よく使用されているのは、小青龍湯(しょうせいりゅうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)。これらは、主に体が冷えやすく鼻水がサラサラの人に効果的で、体を温めて鼻汁を減らす生薬が用いられています。
鼻が詰まってくる場合は、葛根湯加辛夷川芎(かっこんとうかしんいせんきゅう)や辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)などを処方します。喉や鼻の粘膜が赤く腫れてくる慢性炎症であれば、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)なども使用します。漢方薬は眠くならないので、ビジネスマンや受験生に喜ばれています。
スギは、恐竜の生息した時代に登場した起源の古い植物群です。奈良・吉野地方には昔からたくさんのスギがありますが、花粉症患者が特に多い地方でもありません。となると、花粉症が増え、治りにくいのは「現代人の体質の変化」と考えられます。
スイーツ(洋菓子・和菓子・果物)の食べ過ぎは、水毒体質にもつながります。水毒体質を改善することが、アレルギーを改善する近道です。花粉症の人は、花粉が飛び始める前から極力、スイーツを控えてみてください。きっと、漢方薬の効きも良くなるでしょう。
西洋医学の薬はどうしても眠くなる傾向があるので、大人では車の運転が心配ですし、受験生にも使いづらい。
この点、漢方薬は眠くならないし、とくに”麻黄”という生薬入りのエキス剤は逆に目が冴えるのです。
一つの薬で効果不十分の時は、西洋薬+漢方薬の併用療法がお勧め。
”眠気を消して効果2倍”というおいしい治療法です。
ただし、安易な使用はトラブルの元です。
虚弱体質の方には”麻黄”は胃にくるし、循環器疾患をお持ちの方には症状増悪の危険があります。
また、「熱証」(炎症を起こして熱を持っている)と「寒証」(冷えている)の見立てを間違うと、全然効きません。
漢方薬は主治医と十分相談されてから処方してもらいましょう。
最近気になるのは、大人でも「粉薬はダメなんです」という方が少なからずいらっしゃること。
これでは子どもに薬を飲ませることも難しいだろうなあ・・・「(お母さんは飲めないけど)この粉薬を飲みなさい!」というのは説得力に欠けますよね。
最近目にとまった花粉症関連のニュースを;
■ 増える子供の花粉症、5歳までの発症が4割超える ロート製薬調査 乳幼児期の湿疹治療がカギ
(2014.1.22:メディカルトリビューン)
「子供が花粉症で寝つきが悪く、鼻詰まりのせいで夜泣きをする」―保護者としては、小さな子供が花粉症に苦しむ前に手を打ちたい。ロート製薬は2014年1月8日、16歳以下の子供を持つ保護者を対象にアンケート調査を実施した結果、「子供が花粉症」が約3割、「5歳までに発症」が4割を超え、低年齢化傾向にあると報告した。また、1歳までに2カ月以上湿疹が続いた子供の花粉症発症率は1.5倍との結果から、大阪府済生会中津病院小児科の末廣豊医師は「乳児期の湿疹から子供のアレルギー疾患が始まり、湿疹をできるだけ早く治すことが"アレルギーマーチ"(成長とともにアレルギーが変化すること)の発展阻止につながることが証明されつつあります」との見解を示した。
この調査は昨年11月26日~12月2日、0~16歳の子供を持つ全国の父母2,082人(子供3,472人)を対象に、インターネットを介して行われた。その結果、「子供が花粉症だと思う」と回答した父母は28.8%、そのうち、子供が花粉症を発症した年齢について「5歳」と答えた人が12.5%で最も多かった。なお、5歳までに41.8%、10歳まで78.8%が発症していた。
これらの調査結果を受けて、末廣医師は、「子供の花粉症患者の増加や低年齢化が目立ち、両親がスギ花粉症の場合では理論的に子供もほぼ100%発症する」「いったん発症すると自然に治ることはなく、乳幼児期から花粉を避け、屋内に花粉が侵入するのを防ぐこと、発症してからは早めに予防治療することが大切」と話す。
近年では、皮膚から食物アレルゲンなどのアレルゲン感作が始まることを証明するデータは増え続けることから、「乳児期の湿疹から小児のアレルギー疾患(食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎/花粉症)が始まる、すなわちアレルギーマーチは皮膚から始まるということが証明されつつあり、乳児期の湿疹をできるだけ早く治しておくことがアレルギーマーチの発展を阻止につながります。湿疹やアトピー性皮膚炎の予防には、保湿剤などで皮膚をつるつるにしておくことが重要との報告があります」と述べた。
近年指摘されてきた「スギ花粉症の低年齢化」が数字として表れています。確かに、1歳でもスギ花粉症と云わざるを得ない患者さんもいらっしゃいます。
また、「”茶のしずく石鹸”事件」で有名になった「経皮感作」も話題です。口から入ると大丈夫だけど、炎症のある皮膚から入るとアレルギーの原因になりかねない、という学説。
次は私の花粉症診療に多用している漢方薬の記事;
■ 花粉症に効く、眠くならない漢方の種類
(JIJICO:2014年01月25日)
花粉シーズンが近づいてきました。花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となってアレルギー症状を起こす病気です。花粉の飛ぶ季節に症状が起きるため、「季節性アレルギー性鼻炎」と呼ばれています。日本では、スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、シラカバなど約60種類の植物により花粉症を引き起こすと報告されています。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりだけでなく、目のかゆみ、なみだ、充血などをともなうことが多く、喉や皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい、といった症状が現れることもあります。一年中、症状が出る場合は「通年性アレルギー性鼻炎」と呼ばれ、花粉以外に、ダニ、ハウスダスト、昆虫、ペットの毛・フケなどに対してアレルギーが起こり、喘息やアトピー性皮膚炎などを合併することもあります。
花粉症は、漢方では「 溢飲(いついん)の病」といって、体の余分な水分が外へあふれ出る病とされています。水毒体質で体に余分な水分を抱えた冷え性の人が多く、体質改善に使用する漢方薬と、くしゃみや鼻水といった寒証型の症状を改善する漢方薬で対応します。よく使用されているのは、小青龍湯(しょうせいりゅうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)。これらは、主に体が冷えやすく鼻水がサラサラの人に効果的で、体を温めて鼻汁を減らす生薬が用いられています。
鼻が詰まってくる場合は、葛根湯加辛夷川芎(かっこんとうかしんいせんきゅう)や辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)などを処方します。喉や鼻の粘膜が赤く腫れてくる慢性炎症であれば、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)なども使用します。漢方薬は眠くならないので、ビジネスマンや受験生に喜ばれています。
スギは、恐竜の生息した時代に登場した起源の古い植物群です。奈良・吉野地方には昔からたくさんのスギがありますが、花粉症患者が特に多い地方でもありません。となると、花粉症が増え、治りにくいのは「現代人の体質の変化」と考えられます。
スイーツ(洋菓子・和菓子・果物)の食べ過ぎは、水毒体質にもつながります。水毒体質を改善することが、アレルギーを改善する近道です。花粉症の人は、花粉が飛び始める前から極力、スイーツを控えてみてください。きっと、漢方薬の効きも良くなるでしょう。
西洋医学の薬はどうしても眠くなる傾向があるので、大人では車の運転が心配ですし、受験生にも使いづらい。
この点、漢方薬は眠くならないし、とくに”麻黄”という生薬入りのエキス剤は逆に目が冴えるのです。
一つの薬で効果不十分の時は、西洋薬+漢方薬の併用療法がお勧め。
”眠気を消して効果2倍”というおいしい治療法です。
ただし、安易な使用はトラブルの元です。
虚弱体質の方には”麻黄”は胃にくるし、循環器疾患をお持ちの方には症状増悪の危険があります。
また、「熱証」(炎症を起こして熱を持っている)と「寒証」(冷えている)の見立てを間違うと、全然効きません。
漢方薬は主治医と十分相談されてから処方してもらいましょう。
最近気になるのは、大人でも「粉薬はダメなんです」という方が少なからずいらっしゃること。
これでは子どもに薬を飲ませることも難しいだろうなあ・・・「(お母さんは飲めないけど)この粉薬を飲みなさい!」というのは説得力に欠けますよね。