「やめたくてもやめられない」ことを「中毒」と呼ぶことがあります。
糖質制限の啓蒙書を読んでいたら、「三大中毒」という言葉が目に留まりました。
「面白いほどよくわかる糖質の新常識」(前川智著、宝島社、2022年発行)
この本からポイントを抜粋してみます;
「三大中毒」とは、
一つ目は「アルコール中毒」、
二つ目は「ニコチン中毒」、
三つ目は・・・「麻薬中毒」ではなくて「糖質中毒」とのこと。
「我慢しようと思っているのに、どうしても食べたくなる」
という症状は、完全に糖質依存症状=糖質中毒。
あなたはどうでしょうか。
以下のテストを受けてみてください。
<糖質中毒診断テスト>
▢ 日中疲れることが多い。
▢ 食後2-3時間でお腹が空いてしまう。
▢ 食後にデザートを食べても、
もっと甘いものを食べたいと感じることがよくある。
▢ お菓子やパンを食べ始めると、
つい止められずバクバクと食べてしまう。
▢ デザート抜きのコース料理を食べるくらいなら、
デザートありのふつうの食事を食べたい。
▢ 肉と野菜だけの食事では満足できない。
▢ 疲れているときにチョコレートやクッキー、ケーキなどの
甘いものを食べると元気が出る。
▢ 食事の時に、ご飯やパン、パスタなどの主食だけ食べて、
おかずや野菜は残してしまうことが多い。
▢ デザートを食事代わりにする日がある。
▢ 食事をした後に、強い眠気に襲われることが多い。
▢ 夜、お腹が空いてしまい夜食を食べないと眠れないことがある。
▢ 自分が食事をしていないときに、
他の人が食事をしていると落ち着かず、うらやましく思う。
▢ 外食や会食、飲み会などの用事があり、ふだんより食事の時間が遅くなる日は、
いつもの時間に何か食べてから行くことが多い。
▢ アメやグミ、チョコレートなどいつも持ち歩いているお菓子がある。
★ 判定;
10個以上当てはまる → 糖質中毒
4-9個当てはまる → 糖質中毒の恐れあり
3個以下 → 糖質中毒なし
私は3つ当てはまりました。
ギリギリセーフ(^^;)。
なぜ、糖質中毒が起こるのでしょう。
それは、糖質を取ると脳が幸福を感じるから。
糖質を過剰に摂取すると血糖値が上昇し、
脳内に幸せホルモンであるドーパミンが放出され、
「幸福感」がもたらされます。
実はこれ、日常生活で経験していることですよね。
「やけ食い」で嫌なことを忘れる、とか。
それから、漢方薬にも応用されています。
甘麦大棗湯というエキス剤は、
漢方のイメージらしからぬ“甘い漢方薬”です。
その構成は、甘草、小麦、大棗(ナツメ)と甘い食材ばかり。
この方剤は、不安症やパニック障害に用いられます。
気持ちが落ち着くのですね。
さてドーパミンは別名「脳内麻薬」とも呼ばれ、
アルコールやニコチン、そしてコカインなどの、
麻薬中毒を起こす原因となる依存性の高い物質です。
皆さんは麻薬による「幸福感」を味わったことがありますか?
私は昨年、ある病気で手術を受けた際に、
耐えられない痛みに対して「モルヒネ」を投与されました。
すると、体の中がジワジワと温まり、
言いようのない幸福感で満たされました。
天国のような夢心地・・・
「ああ、これが麻薬中毒につながる多幸感なんだ」
と禁断の味を知る、貴重な体験でした。
話を元に戻すと、
脳は糖質を摂取することで一時的に幸福感に包まれますが、
数時間後には血糖値が急降下して、
血糖値を再度上げるために体が糖質を欲しがるようになります。
これが負のスパイラル(=中毒)の始まりです。
糖質はアルコールやニコチンよりも中毒性の認知度が低いため、
多くの人が中毒だと自覚のないまま過ごしています。
ではその対策は?
糖質中毒から脱出するためには、
一度周りに糖質がない環境に強制的に身を置くこと。
それを続けると、やがて糖質を摂らなくてもつらくなくなります。
・・・とシンプルに書いてあるのですが、実行し成功するのは難しそう。