前項目で新型コロナ罹患後症状の呼吸器症状について記しました。
この項目では循環器症状に対する医療側のアプローチについて、
診療ガイドライン「罹患後症状のマネジメント」
を参考にポイントを列挙します。
循環器合併症で注意すべきは心筋炎ですね。
ワクチン副反応でも有名になりましたが、
実際にCOVID-19に罹患した場合の方が、
頻度も重症度も高いのが事実です。
それを疑った場合は速やかに専門医あるいは高次病院へ紹介することが、
開業医の役割でしょう。
<循環器症状へのアプローチ>
■ 概要
・COVID-19罹患に伴い、急性冠症候群(急性心筋梗塞や不安定狭心症)、
心不全、不整脈、脳梗塞、血栓塞栓症などの循環器病が、
感染急性期に合併するだけでなく、急性期以降においても発症したとの報告があり、
急性期以降も循環器病が合併する可能性に常に留意する必要がある。
■ 科学的知見
・(海外からの報告)COVID-19罹患5〜7ヶ月後までに43〜89%
(胸痛5〜76%、動悸5〜68%、呼吸困難感18〜88%、湿疹10〜20%)に認められる。
・日本国内ではその頻度は少ないかもしれない。
・中等症以上のCOVID-19罹患者で、心筋傷害マーカーが陽性になった例においては、
心筋炎などによる心筋傷害の可能性も考慮して経過観察する。
■ 循環器症状の診療フローチャート
■ プライマリ・ケアにおけるマネジメント
・COVID-19罹患に伴う心筋傷害の報告もあり、とくに心筋炎については、
急激な心機能低下や致死性不整脈が生じる場合も少なくないため、
緊急対応が必要となる可能性も考慮する。
■ 専門医・拠点病院への紹介の目安・タイミング
・胸部X-ray、心電図で異常所見を認める場合
・BNP 100pg/mL以上、あるいはNT-proBNP 400pg/mL以上。