前項目で高齢者用のRSウイルス・ワクチンを紹介しました。
▶ 高齢者向けワクチン
使用するワクチン:アレックスビー筋注用®(グラクソ・スミスクライン社)
効果:RSウイルスによる感染症予防
用法:60歳以上に1回、0.5mLを筋肉内注射
国内製造販売承認:2023年9月25日(2024年1月販売開始)
上記ワクチンは乳児をRSウイルスから守る予防医療の一環でもあります。
現在構築されつつあるRSウイルス感染症の予防戦略を説明します。
2024年11月時点で、ハイリスク児に対するモノクローナル抗体製剤(ワクチンではありません)が2剤存在します。
接種方法、対象者が異なりますので要注意。
▶ 乳児に対する予防戦略(モノクローナル抗体)
①パリビズマブ(シナジス®)
対象:シナジスHP参照
用法:0.15mL/kg、流行期に「月1回」筋注(投与量は体重により異なる)
②ニルセビマブ(ベイフォータス®)
用法:流行期に「1回のみ」筋注
対象:ベイフォータスHP参照
さらに妊婦にワクチンを接種して抗体を作り、
その抗体が胎盤を通して胎児に移行することにより、
出生児の命を守るという製剤も登場しました。
▶ 妊婦を介しての予防戦略(妊婦向けワクチン)
ワクチン:組み換えRSウイルス・ワクチン(アブリスボ®)ファイザー社
効果:妊婦への能動免疫による新生児及び乳児のRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防
用法:妊娠24週(推奨は28週)〜36週の妊婦、1回、0.5mL筋肉内注射
国内製造販売承認: 2024年1月18日(販売開始は未定)
なお、アブリスボとハイリスク児に対するシナジス、ベイフォータスは併用可能です。
<参考>
(日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会)