かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

いい加減無意味な断言はやめたらどうか?

2005-06-23 23:55:01 | Weblog
 健康情報番組で著名な大物司会者が、研究実績が明らかでしかもスポンサーの主力製品である家庭薬を自らの信念としか言えないいい加減で根拠に乏しい健康知識でもって番組内で批判し、スポンサーが降りるという事件がありました。その企業が、その製品の研究にどれほどのお金をかけ、人を投じて努力を積み重ねてきたか、それだけでも中島みゆきの歌をバックに流してあげていいと思う日本を代表する一大成果です。それを堂々番組内で批判したのですから、はっきり言って阿呆な司会者だと思うのですが、番組の公式サイトでみどころなる主旨を読んでみて、なるほどと思いました。かの司会者は、視聴者代表の立場で最新情報に切り込み、即スタジオの専門家に鋭く質問し、芸術的なトークで視聴者を元気にしてくれるんだそうです。ご本人のコメントも、国民の代表としてテレビの前でがんばりたいとのこと。この半可通な方が国民の代表即ち国民の知的レベルの象徴であるというのなら、やはり暗澹たる思いが拭えません。
 もっともこの方のみならず、マスコミ世界全般に渡って、科学とはかけ離れた煽り立てで番組を作って垂れ流しているように見えます。昨日の日記にも書きましたが、健康機能性が華々しく取り上げられている色々な成分の内、人間で確実な効果がある、と認められたものはごく少数、中でもテレビで紹介されているようなものには、ほぼ皆無と言っても過言ではない位です。せいぜい動物実験でもしていればいい方ですが、結局ヒトの健康に関する問題なのですから、ヒトで実験して効果のあるなしを判定しておかないと、余り意味がありません。そんな事も頭にあってか、番組ではいかにも科学しているかのごとく、数人の人間で実験らしきものをして説得力を持たそうとする例もありますが、そもそも数人の人間で意味のあるデータが出るわけでなし、実験の前提があまりに杜撰で、私などは見れば見るほど不信感が増すような代物であることが珍しくありません。しかも、断定的な口調で効果を喧伝するに至っては、何をかいわんやです。そりゃ番組観てからそのサプリメントや食品を摂取したヒトは、大抵元気になるでしょう。でもそれは健康成分の効果かどうかは判りません。何せ芸術的なトークで視聴者を元気にしてくれるといみじくも自ら語っているように、人間、信じればその様に効果が出てしまうもの。心理的効果で人間は効いたり効かなかったりするのですから。
 そんな程度のものをありがたがって、紹介された食品を買いに走ったりするヒトが結構多いことは、番組直後の売れ行きが急に何倍にも伸びたりする現象からも推測できます。かつて至高の地位に上り詰めた権力者達が不老不死を求めて、およそ寿命を縮める効果しかなさそうなことばかり大枚はたいてやってましたけど、マスコミに踊らされて効果のはっきりしないものをありがたがって接種するのは、そろそろ卒業しても良いんじゃないでしょうか? マスコミもいい加減もう少し大人になって、少なくともセンセーショナルに断言するクセだけでも改めてもらえないかと思った今日の事件でした。その反省を促すためにも、私は番組内でお茶を濁した程度に謝らせるだけでなく、いい加減な健康知識を振り回して国民の健康に多大な損害を与えかねない彼らに、訴訟を起こしてでも、局と司会者の責任をきっちり問うべきじゃないかと思います。まあ日本の企業はやらないのでしょうけど。
コメント
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