かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

07 決戦その1

2010-08-15 22:18:35 | 麗夢小説『夢の匣』
「じゃあ、僕から行くよ!」
 一人一歩前に出た眞脇紫は、可愛らしいもみじのような両手をぐっと握り締め、空手の構えのように両脇に引きつけると、背中を丸めて踏ん張った。まだか細い全身が極度に緊張を孕み、額に脂汗が浮かびだすと、全身を瘧のように震わせる。
 その瞬間、鬼童のセンサーが、みるみる数値がアップするケタ違いのエネルギーを拾い上げ、円光も強烈な圧迫感を肌身に感じた。榊でさえ気圧されて思わず足を止めたほどの力の本流であった。
「うおおおぉおおおぉおおぅっ!」
 ボーイソプラノが金切り声のような唸りを上げる。とたんに、ブチブチブチッと布が無理やり引き裂かれ、紫の身体が、一瞬で2倍に、更に4倍に膨れ上がった。顕になった白い肌の下に強靭な筋肉が震え、それが、急激に生えそろう剛毛に包まれて行く。女の子と間違われる可憐な顔も剛毛が覆い始め、同時に唇が耳元まで裂けて鼻ごと大きく前にせり出してくる。可愛らしくさえ見えた頭の耳が更にピンと立って膨らみ、獰猛なマスクを飾り立てる。やがて、強靭な爪を備え、ヒトのそれとは似ても似つかない姿に変じた握りこぶし、いや、今やそれは前足と呼ぶ方がふさわしいだろう。その前足が、同じく二足歩行が困難な形に変形した後足とともに力強く地面を踏んだ。ぞろりと揃った牙の間から、ぺろり、と舌なめずりをしたかつての紫は、その姿にふさわしい大音声で、声高らかに吼え哮った。
「ワォーオゥウゥンッ!」
「犬? いや、狼か?」
 榊は妙に冷静な頭で、小学生の変化を見据えていた。今やその眼の前には、
つややかな銀色の体毛に覆われた一匹の巨大な狼が、眉間にシワを寄せながら、獰猛な視線で睨みつけてくるばかりだ。その迫力たるや、訓練された精強な警察犬ですら尻尾を巻きかねないほどに堂に入っている。
「殺すなよ、紫」
『判ってるよ』
 物騒な斑鳩星夜の注意に、口調だけは元の少年のまま、野太い声で紫が答えた。
「榊殿、ここは拙僧が!」
 錫杖を片手に狼の前に飛び出そうとした円光を、今まで無表情にほとんどしゃべらずにいた少女が制止した。
「……アナタの相手は私……」
 紫変じた狼の隣に寄り添うように、纏向琴音が前に出る。狼のサイズが大きすぎるからか、隣に立つ琴音の姿は、痛々しいほどに小さく、か弱く見える。だが、円光はその姿の内側に充満する、警戒するに値する力の漲りを感じ取った。
「……………」
 琴音の右手が、スカートのポケットから白い小さな紙切れの束を取り出した。手のひらよりも一回り小さなそれは、よく見ると大の字の形をしており、まるで頭を形作るかのように、上部の先端がやや大きめに丸く形作られていた。
 琴音は右手の紙束から左手で大雑把におよそ半分を抜き取ると、無造作に投げ捨てた。
「……来たれ……」
 琴音が、か細い声で小さく叫ぶ。すると、ただの人型の切り抜きに過ぎなかった白い紙の、ちょうど胸の部分に不思議な文様が浮かび上がった。一見梵字にも似た複雑な文様が一際強く輝いた瞬間。何十枚もの紙切れが、突然立体感を増し、まるで風船のようにぷくりと膨らんだかと思うと、一枚一枚が大きなヒキガエルに変じて狼の前に打ち広がった。ソフトボールの球ほどの大きさの、鈍い赤や黄色、黒などの色とりどりなカエルが、イボだらけの背中を並べて、時折河豚のように身体を膨らませる。一匹一匹でも人によっては恐怖を覚えるその姿が数十匹も並ぶ様は、その後ろで控える狼とはまた異なる独特の迫力をたぎらせて、榊達を威圧した。
『解剖したカエルが飛びついたときは悲鳴あげてたのに、イテッ!』
 狼姿の紫が低い声で笑い声をあげると、琴音は無表情のまま握りこぶしで狼の頭を殴りつけた。
「……ヒキガエルは、かわいい……」
 一言、ボソリ、とこぼした琴音は、右手に残った人型紙束を、円光めがけてヒョイ、と投げつけた。紙束は、不思議とばらけることもなく一直線に円光の胸めがけて飛び、円光の左手がそれをつかんだ。
「……拙僧にも、やってみせろ、と申すのか?」
 円光が当惑しながらも思ったことを口にすると、琴音は黙ってこくり、と頷いてみせた。
「遊ばれてますね、僕たち」
 鬼童がやや呆れたように言った。狼も、威嚇の唸り声こそあげるが一向に飛び掛ってくる気配がない。
「向こうの目的は時間稼ぎだからな。それより円光さんも、その紙で何か出したりできるのか」
 榊は、興味あり気に円光に言った。あのガマガエルがどれほどのものかは判らないが、ただのカエルと思うと痛い目を見そうなことくらいは榊にも予測できる。
「やってみましょう」
 対する円光は、気負いもせずに錫杖を目の前に突き立てると、紙束をトランプのカードのように扇状に広げてずいと目の前に掲げた。右手は顔の前で手のひらを垂直に立て、軽く目をつむって不動経の一説を口ずさみ、念を凝らす。
「顕現!」
 短く一言放つやいなや、円光はやにわに左手の紙束を前に投げた。人型の紙は綺麗にうち広がると、琴音が投げた時と同様に胸に一文字、こちらはれっきとした梵字が浮かび上がった。円光自身の額と同じ梵字が強い光を発した途端、突如として紙が立体感を増し、風船に息を吹き込むように膨らんで地面に散らばった。
 その一体一体がムクリと立ち上がってヒキガエルに対峙する。
 袈裟姿に錫杖を携え、剃髪の頭と額の梵字。だが体つきは3頭身ばかりにデフォルメされた、ミニチュア円光がずらりと勢ぞろいして並び立っていた。
「こいつはすごい!」
「円光さん、いつの間にそんな技を?」
 榊と鬼童の感嘆の声に、円光はややはにかみながら答えた。
「この錫杖を鍛えた蔵王権現の御力を借り、護法童子の召喚を試み申した。だが、どうやらこの紙自体に、何やら細工が施されていると見える」
 円光の答えに、鬼童も頷いた。確かに円光の力も凄まじく、そのまま紙に乗り移っているのも判る。だが、そもそも紙の方に、円光の力を受け止めて姿を変えられるように、何らかの霊的なフォーマットがなされているのは確かなようだ。
「相手の小道具というのが気に入らないが、何も無いよりはましか」
 鬼童は、カエルと対峙するミニチュア円光の背中を見て、ひとりごちた。後は互いの霊力、気力の比べ合いだ。
「で、僕の相手は君かい?」
 鬼童が斑鳩星夜に語りかけると、星夜はやれやれ、と両手を軽く左右に広げて、鬼童に答えた。
「しょうが無いな、残り物で我慢しよう。せいぜい退屈しないように頑張ってもらわないとな」
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もうン十年振りに、お盆のお墓参りを致しました。

2010-08-14 23:50:50 | Weblog
 今日は半分仕事、半分プライベートな用事で人と会うため、大阪にでかけました。二週間ほど前に日程調整して決めたため、結局夏コミ参加は断念することになりましたが、いずれ機会を見て上京はしておきたいと考えています。
 まあそれはともかくとして、その人との約束が夕方からだったため、昼間のうちに、幼い頃に亡くなった母方の祖母のお墓参りに出かけました。お墓は大阪のとあるお寺にあって、子供の頃は母親に連れられてお盆には毎年必ず行っていたのですが、いつの間にか行かなくなってしまい、もうン十年振りに訪れることになりました。おかげで、どこの駅で降りればよいか、から記憶になくて、母に駅とお寺の名前を問い合せました。すると、母も駅名とお寺までの道順は記憶しておりましたが、お寺の名前までは覚えていませんでした。母がお寺の名前まで覚えていないのは、そのお寺が駅から五分も歩けば着く場所で、お寺の名前を知らなくても迷わず辿りつけるからでしょう。そこで、googleMAPでその最寄駅を探し、空撮モードに変えて探してみましたところ、駅周辺に3つあったお寺のうち、墓場の敷地を持つのがひとつしかありませんでしたので、まず間違いなくここだろう、と見当を付け、出かけましたら、無事お参りすることができました。
 私自身は基本的に不信心で、ヒトは死ねばそれで全て終わり、と考えてはいるのですが、こうしてお墓を参って敷地の草を抜いたりお花を替えたりしていると、これもそれなりに意味のある行為なのかもしれない、という気分になります。母に尋ねると祖母は一種の霊能者で、イタコのように神降ろしなどして、霊験あらたかと結構信者のヒトも居たらしいのですが、私が四つの時に亡くなっているためか、ほとんど記憶に残っておりません。祖母の生前の写真を見て、なんとなく見覚えのあるおばあちゃんだな、と感じる位です。私自身、霊感などトンと無いありきたりな凡人で遺伝的に資質を継いでいるとは到底言えないのですが、それでも、子供の頃から手相や占星術やタロットに凝ったり、今は易占で日々卦を立てて暮らしているところを見ると、精神的な遺産はある程度引き継いでいるのかな、というふうにも感じられます。そんなことを考えているうちに、果たして私自身は、次世代、更にその次の世代に一体何を残してやれるだろうか、とふと思いました。そんなお盆の一日、お線香の香りに包まれつつお墓に手を合わせながら、心の中に住まう故人と語らい、自身の行く末といずれ必ず訪れる自分自身の最後について、しばし考えに耽りました。

 
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平安時代の落書きに触発されて、ちょっとだけやる気が出てきました。

2010-08-13 22:22:44 | Weblog
 今日、職場で新聞を開いてみましたら、平安時代初期の落書き、という見出しで何とも洒脱な絵を撮影した写真が載っていました。なんでも、奈良県葛城市にある二上山當麻寺が所蔵する国宝当麻曼荼羅を納めた、同じく国宝の当麻曼荼羅厨子の敷板に描かれていたとのことで、見事な簡素化された描線と適度なディフォルメが効いた正しく漫画そのものの男性の横顔が浮かび上がっていますこれが千二、三百年前の絵とはとても信じがたいほど、筆致がほとんど今の漫画と大差ない気がします。しかも墨絵ですから、恐らくは下描きとか描き直しとかは一切ない一発描きなわけで、ためらいのない描線がおおらかで自在な筆さばきぶりを伝えてくれるようです。新聞の見出しは落書き、となっていますし、描かれている状況から見ても、何らかの呪術的必要性とか宗教的必然性とかは全く無いとは思いますが、今や国宝となっている天下の宝物の関係物にこうも見事に落書きしてあると、まさしくいたずら心の無邪気さが伝わって来る感じがします。

 そう言えば久しく絵を描いていないですね。最後に描いたのは、冬のコミトレ新刊の表紙と挿絵ですから、もう半年以上一枚も描いていないことになります。
 もちろん私の場合はとても1300年前の絵師のようには行かず、ためらい線が山ほど出る下描きを基に、ベジェ曲線でなぞるというパソコンの能力に頼り切りのおよそお絵かきというのもおこがましいような作画ですが、やっぱりたまには描かないと描き方そのものを忘れてしまいそうです。この平安時代の落書きを見ているうちに、たまにはタブレットをPCにつないで、ボチボチと下手な絵でもまた描いてみようか、と言う気にちょっとなりました。

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世話になった方が逝かれて、またひとつ自分の順番が進んだことを自覚いたしました。

2010-08-12 21:51:33 | Weblog
 今日、知り合いのお年寄りが一人、亡くなっていたことを知りました。たまたま用事があってそのお年寄りのお友達に電話したところ、4日にお亡くなりになった、と教えてくれたのです。半年ほど前にかなり大掛かりな手術をして大分身体が弱っていたのは知っていたのですが、それでもなんとも急な話だったので、しばし言葉を失いました。ご本人の遺言により、葬儀は身内だけの密葬、香典等も受け取らない、という、故人らしい合理的かつ他人に迷惑を及ぼさないように、という心配りのある御最後だったそうです。仕事を通じた間柄でしかありませんでしたが、一通り最後の様子を伺った後は、粛然としてしばし瞑目いたしました。
 仕事柄、お年寄りの顧客や年上のパートナーとお付き合いしていますので、年齢の順から行けばこれからもこんなことは何度もあることでしょう。そしていずれは順番が回ってきて、私が死を迎えることになるはずです。普通に考えて余命からすればまだそれは何十年も先の話ではありますが、人生何があるとも限りませんし、こういう時くらいは少し自分の生死を見つめてその心づもりをしてみてもいいんじゃないか、と思ったりしました。

 その方は企業を定年で辞められた後、その時の人脈などを元手にコンサル事務所を立ち上げ、死の直前まで現役で文字通り東奔西走して仕事されていました。理想的な生涯現役を貫かれたのではないでしょうか。叶うことなら自分も見習いたいですが、ン十年後の定年退職時に、この方のように一人でやっていけるほどの力を保持できるかどうか。日々の生活と仕事に目一杯なところではありますが、今からでもそのための積み上げを図るようにしていかないと駄目なのでしょう。

 一方で生死不明な100歳超のお年寄りが国中にいて、ようやくそれを確かめるために厚労省が動き出した、というような話を聞きますと、何ともやるせない気持ちがして参ります。行政の民生関連の仕事は、住民は嘘をつかない、不正を働かない、というのを前提に体系が組まれているので、こういう時は同仕様もなく無力になります。厚労省は一人ひとり当たって所在確認まで考えているそうですが、これとてなりすますとかその気になればいくらでも偽装は可能ですから、どこまで確かな情報が得られるのか甚だ疑問というものです。もう、子孫と一緒に遺伝子検査して血縁関係を明確化するなどしないと、到底明瞭にはならないのではないか、と思えてきます。
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淡路島の半分の大きさの氷山が漂流中、何だとか。

2010-08-11 22:05:54 | Weblog
 猛暑のこの夏、グリーンランドでは、山手線内の土地の4倍分に相当する260平方キロメートルもの巨大氷山が氷河から分離、漂流を始めたんだそうです。と、一口に言われても、どれくらいの大きさなのかさっぱり見当もつきません。で、関西方面で何か基準になりそうなものは、と探してみましたら、琵琶湖の面積が670平方キロ、淡路島の面積が595平方キロ、大阪市の面積が220平方キロくらいなので、琵琶湖の4割弱、淡路島の4割強、大阪市の一回り大きいくらいと理解できました。まあこれでも想像を絶する大きさであることには変わりないのですが、馴染みの薄い東京で例えられるよりも遥かにその大きさを感じられます。地図で見れば、あの琵琶湖や淡路島の半分弱の面積の氷の塊が海を漂っている、というのですから、これはもう大変、というよりない事態といえます。もちろん氷山なのですから、高さもあるのでしょうし、海に沈んでいる部分もまた相当にデカイのでしょう。まさに島一つが動いている感じなのでしょうね。あまりに巨大な氷ですので、溶けきるまで2年もかかり、その間に大西洋まで漂い出てくるかもしれないのだそうです。今の船は、かつてのタイタニック号よりも余程丈夫に沈みにくく出来ているのかもしれませんが、こんな塊のほんの一部にでもかすられでもしたらまず無事には済まないでしょう。いっそそのまま上手く引っ張っていってアフリカとか中東とか真水の不足しているところまで持っていければいいと思うのですが、こう大きいとさすがにそれもままならないのかもしれません。この間高さ40m程の瀑布に感嘆したばかりですが、世の中空恐ろしいほどの驚きのネタはいくらでもあるようです。

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十津川・玉置神社参詣の写真を整理しておきましょう。

2010-08-10 20:51:19 | Weblog
 台風絡みで今日は盛大な夕立が降り、涼しい夜を迎えております。7月の梅雨明け直後はただ暑いばかりの印象しか残っていませんが、このところは、昼間こそ暑いものの、夕方以降は比較的過ごしやすい感じがします。

 さて、今日は遅れていたこの間の十津川探訪の際に撮影した写真をアップしておきましょう。あんまり放置していると忘れてしまいそうですし、一度にアップするにはちょっと枚数が多いので、何回かに分けてアップする第1弾として、上げておこうと思います。

まずは、国道から見えた滝、です。
十津川に沿って走る168号線には、結構あちこちに滝がかかっています。中には大雨の時だけ現れる幻の滝もあるそうです。これは、以前十津川筋を訪れたときにも気になっていた滝で、水量はごく僅かなのですが、突然切り立った崖上の緑の中から吹き出して落ちているのが面白く、また、水量が少なく、距離があるためか全く滝の音が聞こえ無いところが神秘的にも感じられる、お気に入りの滝です。





 手前に十津川も入れて撮影するとちょっと小さくなってわかりにくいので、アップにしてみました。ざっと4,50m落ちているんでしょうか? 怖いもの見たさでこの滝の出口から下を覗いてみたいものですが、山伏とか特殊な技能や訓練を積んだ人でもないとたどり着けないのでしょうね。




 今回の目的は、この玉置神社を訪れることでした。どこかのサイトに、境内撮影禁止、と書いてある、とあったので、かなり念入りにその種の注意書きを探してみたのですが、どうも見当たらなかったので、必要最小限を旨に、撮影してきました。
 1.5車線の林道のような道を延々15キロ位上り詰めますと、駐車場に出られます。そこから山道を10分くらい降りて登ってしたところに、忽然と本殿が現れる寸法です。以前行った時もそうでしたが、いくら材料の木が周囲に充ち満ちているからと言って、よくこんな山の中に立派な社を建てられたものだ、とほとほと感心してしまいます。さすがに朱は色あせておりますが、残った塗の様子から観ても、往時の荘厳さはそれは素晴らしかったものと推察されます。
 この時は低く垂れこめた雲が標高1000mの山頂付近を覆って深い霧がかかっており、一段と幻想的な光景が堪能できました。



さすがに大峰修験道の基点のひとつだけあって、境内のところどころに人の背丈ほどのこんな錫杖が植えてありました。結界でもこさえているのでしょうか?



境内にある、日本一の高杉を観に行こうとして、案内看板を読み違え、迷い込んだ山道です。すぐ近くのはずなのに10分ほど歩いても全然そんな気配もなく、よくよく考えてみたら玉置神社のあちこちにあったのぼりや紙垂(しで)?付きのロープも無い事に気づき、これは単なる登山道だと判断して、引き返しました。霧が深くて、一歩間違うと遭難しかねない怖さを感じさせる道です。



 こちらが目的の杉。案内看板をよく見ておれば、迷わずにすぐ辿りつけたはずでした。樹の傍らにお年寄りの夫婦がいますが、樹肌に触りに行って見上げると、本当にとんでもなく高い樹です。この山には、こんな素晴らしい樹がまだたくさん山中に立っています。



 こちらは、本殿の脇にある神代杉。推定樹齢3000年と伝えられる古木です。キレイな垣に囲われて、まさに神様そのものです。

 今回は雨模様の中の探訪でしたが、天気の良い日はまた格別の眺望が楽しめますし、また季節を変えて行ってみたいですね。

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夏から秋にかけて、色々と動きがあるようですね。

2010-08-09 22:32:20 | ドリームハンター麗夢
 今年は台風が異様に少ない年なのだそうですが、ピンポイントで狙ったかのように一つ進んでくるのがいますね。直接にほんに上陸とかはなさそうですが、日本海に侵入してきて、太平洋から湿った空気を大量に呼び込んで列島に大雨を降らせるかもしれないというので、結構警戒されています。雨が降ると暑さも一段落するのでそれはそれでありがたいと思いますが、あんまり無茶苦茶降って土砂崩れやら河川氾濫やらなってもらっても困りものです。程々に、慈雨、と呼べる位降らしてくれれば助かるのですが、こればかりはお願いするわけにも行きませんし、ただ祈るばかりです。

 さて、ドリームハンター麗夢公式サイトに動きがあったとのことで、既に複数の麗夢ファンのブログで取り上げられております。遅ればせながら、当ブログでも紹介したいと思います。
 新情報掲載場所は、公式サイトの掲示板です。
 内容は、コミケでのクリアファイル再販、ガチャポンの麗夢フィギュア、キルタイムコミュニケーションでのコミック再開、という三大話になっています。いずれも興味深いですが、今度の漫画は作家さんのオリジナルストーリーとの情報もあり、個人的には一番興味深々なお話です。それにしても、媒体は何になるのでしょうか? 

 それと、サークル“AK-Factory”さんが、来月9月5日のコミックトレジャー16に、3度目のイベント参加をされるそうです。ブースは4号館“R-32a”とのことです。
 東のコミケ、西のコミトレ、と称するのはまだ早い小さな地方イベントですが、ここ数年メキメキと育ってきており、いずれそう遠くないうちにこう並び称される日も来るのではないか、とやや妄想めきながらも思ってしまう関西中核イベントです。私のような田舎者には恐竜のように巨大になりすぎたコミケはただ疲れるばかりなので、これくらいの規模のイベントは、気持よく参加して心ゆくまで楽しめるサイズなので重宝します。まだ一ヶ月先ですけど、楽しみに時を待ちましょう。
 それにしてもコミトレについては、なんとなく夏は“AK-Factory”さん、冬は小生『かっこうの本棚』がサークル参加、という流れができているようです。この流れを切らないように、私も冬に向けて新刊上梓に努力いたしませんと。

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06リセットハンマー その5

2010-08-08 12:00:00 | 麗夢小説『夢の匣』
「動くな死夢羅!」
 榊は、一人勝手に戦いを始めようとするルシフェルを制止した。既に両手で愛用の拳銃を突き出し、その背中に狙いを定めている。この怪物にそんなモノが通用しそうにないことは榊自身も重々承知していることではあるが、これまでの自分のスタイルとして、そうそう簡単に止められるものでもない。要は気迫だ、とばかりに、榊は腹の底から声を上げた。
「たとえ事情がどうあれ、その子達に手を出すことは私が許さない!」
「許さない、だと?」
 ルシフェルの足が止まった。ルシフェルは、振り回していた大鎌を肩に担ぐと、左肩越しに榊を睨みつけた。白骨化した眼窩から漏れ出す妖しい魔眼の光が、洞窟内の気温を急降下させたかのように榊の背筋を冷たく撫でる。だが、それも一瞬の出来事に過ぎなかった。榊の背筋が震え上がる前に、輪環の打ち合う涼やかな音色がその冷気を打ち払ったからである。
「榊殿、助太刀いたす」
 愛用の錫杖を構え、円光が一歩前に出た。
「やれやれ、出来る限りのことはしてみましょうか」
 鬼童も、一見スキーゴーグルな装置を頭にセットし、点滅するLEDや液晶表示を見やりつつ、持参してきた巨大拡声器のような装置を手に榊に並んだ。
「貴様ら、あの餓鬼共に散々な目に遭わされておきながら、このわしの邪魔をしようというのか?」
 ルシフェルの発する不穏な気が急激に膨れ上がるのを、円光は肌で、鬼童は装置の測定値で知った。榊も、髭がピリピリと震えるような、一種異様な雰囲気に緊張を高めた。
「それとこれとは話が別だ。貴様を野放しにするわけにはいかない!」
「では死ね!」
 はっと気づいた瞬間、榊の目の前にルシフェルの大鎌が迫っていた。あまりの速度になすすべなく固まった榊は、ほんの鼻先で、突然鎌が異音を発し、天井高く跳ね上がるのを唖然として見送った。鋭い切っ先に刈り取られた髭がフワっと宙を舞い、かすった額から、つ、と鮮血がにじんで小さな流れを頬に刻む。こわばった目が鎌を追うと、鎖で連結された鎌がまっすぐルシフェルの手元に戻るのが見えた。
「ふふふ、よくしのいだな。貴様も腕を上げていると見える」
「死神、これ以上の狼藉はこの円光が許さん!」
 榊は、今の一瞬に、死夢羅が突然振り返って鎌の先端を飛ばして斬りかかり、危うく首を持って行かれるところだったこと、そしてその切っ先を円光が錫杖で跳ね上げて助けてくれたことを、ようやくにして理解した。榊自身、警視庁では相当腕を鳴らした武道の達人ではあるが、このまさに尋常ならざる超人達の身のこなしは、目で追うのがやっとである。
「あ、ありがとう、円光さん」
「なんのこれしき」
 額に脂汗を浮かべつつ榊がなんとか円光に軽く会釈すると、円光はじっとルシフェルを睨み据えたまま言葉を返した。
「ここは拙僧が引き受け申す。榊殿は鬼童殿とあの子たちを」
「わ、判った」
 榊の返事に、円光はぐいと錫杖を握り直すと、突如脱兎の如くルシフェルめがけて走り寄った。
「死神、参る!」
「危ないっ円光さん!」
 死神の懐めがけ円光が飛び込んだ瞬間。
 ケタ違いのエネルギーを探知した鬼童のセンサーが、ゴーグルの表示を真っ赤に染めた。鬼童の叫びにぎょっとした榊は、漆黒の衣装で固める死神の姿が、瞬間的に3倍ほどに膨らんだのを見た。
「な、なんだ?」
 榊が驚き眼を見張るうちにも、ルシフェルの身体が急激に膨らみ、漆黒の球体へと変化していく。脅威的な反射神経で急ブレーキをかけた円光は、トンボ返りに後退し、改めて錫杖を構え直した。
「ものすごいエネルギーの瘴気ですね。さすが死神だ」
 鬼童がほとほと感心したように、今や直径3m程に達した闇の球体に目を凝らした。
「感心している場合じゃないぞ鬼童君! 奴は、何をするつもりなんだ?」
 拳銃を構えつつも、思わぬ展開に戸惑う榊に、鬼童は言った。
「さて、単に防御のためとも思えませんが、あ? これはひょっとして……」
 肉眼ではさっぱり判らないが、特殊なセンサーが捉えたデータをゴーグルに表示している鬼童には、より詳しい状況が見えているようだ。榊は焦りを募らせながら、鬼童に尋ねた。
「ひょっとして? 何だ?」
「それはですね……」
 ルシフェルを包み込んだ球体は、鬼童の答えを待つこと無く、今度は急激に縮小して、野球ボールほどの大きさになったかと思うと、撃ち出された砲弾のように3人の少女達の頭上を走り去った。
「しまった、行っちゃったよう」
「親衛隊も不甲斐ない。あっさり取り逃すとは」
 眞脇紫と斑鳩星夜が困惑と怒りを顕にすると、真ん中に立つ纏向琴音が、ややうつむき加減になって、珍しく声を震わせた。
「……また皐月に怒られる……」
「はあぁぁあぁ……」
 琴音の言葉に、原日本人巫女の後継者3人はがっくり肩を落としてため息をついた。
 その様子に、円光はようやく構えを解いて言った。
「きゃつめ、最初からこれを狙っていたのだな」
「やはり、脱出のタイミングを図っていたんですね」
 鬼童は円光の元に駆け寄ると、互いに考えが一致したことに頷きあった。当面の危機は去ったと言って差し支えない。だがその安堵も一歩遅れて合流した榊の問いに、あっさりと吹き飛んだ。
「で、奴はどこに行ったんだ?」
 驚きに顔を見合わせた円光と鬼童は、すぐにその危険な状況を理解した。 
「多分あの娘の所に相違ない」
「そうだ! 麗夢さんも一緒だ!」
 こうしてはいられない、と出口に足を向けた円光と鬼童は、物静かな少女が一人、両手を広げて通せんぼしているのを見て、足を止めた。
「教頭先生は取り逃がしてしまったが、親衛隊の諸君はその場で待機していてもらおうか」
「君達まで逃がしたら、今度こそ皐月に殺されちゃうよ」
「…………」
「馬鹿な! そこをどきなさい! 君達の仲間が危ないんだぞ?」
 しかし、思わず怒声を上げた榊に、紫と星夜はニッコリと笑みを返して言った。
「皐月なら大丈夫だ。心配ない」
「それより自分達の心配をしたら? 逃げる気なら、ね」
 鬼童のゴーグルが、小さな警告音を鳴らして、チカチカと新たな表示を映しだした。円光も、3人から立ち上る不穏な気を感じたらしい。錫杖を握り直して、榊に言った。
「どうやら冗談ではなさそうですぞ、榊殿」
 鬼童も、ゴーグルに手をやって細かくセンサーの調整を付けると、その表示にひゅうと口笛を一つ吹いて2人に言った。
「油断大敵、ですね。外見に惑わされたら駄目みたいですよ」
「なんだって?」
 榊はまじまじと目の前の3人の小学生を見つめた。どう見ても可愛らしいとしか形容のしようのない子供たちだ。だが榊は、この子達が死神と相対していた時も、まるで恐れもしていなかった事を思い出した。
「さぁどうする? 無駄な抵抗って奴をみせてくれるのかな?」
「できたらそのままおとなしくしていて欲しいけど、やる気なら暇だし付き合ってあげてもいいよ」
 星夜と紫の挑発に、榊もなるほど、と納得せざるを得なかった。
「仕方ありませんな。円光さん、鬼童君」
「うむ」
「ええ。早く麗夢さんのところに行きませんとね」
 榊は拳銃をホルスターにしまうと、指を鳴らしながら足を踏み出した。円光、鬼童も、榊を挟むようにそれぞれの獲物を手に前に出た。
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もうちょっとで明晰夢? というような、気持ちの良い夢を見ました。

2010-08-07 23:19:42 | 夢、易占
 今日は立秋。暦の上では、なんていう言葉はそれこそ一年中聞かされる常套句なわけですが、何も8月の初旬に秋の始まり、なんて宣言しなくても、と私などは思います。もともと旧暦で作られた節気なのですから、旧暦にあわせて9月14日頃に立秋、と言えばよさそうなものです。ただ、昨日からどういう訳かこちらでは日が落ちると急に涼しさが増し、夜になると窓を開けていたら風邪を引きかねないくらい冷たい空気が入ってきています。まあ気温が下がった、というよりは単に身体が暑さ慣れしてきて少しの気温低下でも涼しさを覚えるようになったのかもしれませんが、少なくともこの涼風を感じる限り、立秋、というのもなんとなく納得できそうな気もしてきます。

 さて、今日はブログの表紙を替えました。基本緑は好きなので今までのも気に入ったのですが、たまたま観た夢が海の夢だったので、海にちなんだものにしてみました。
 その夢を記録しておきましょう。
 誰もいない白い砂浜が続く海に私はいます。ちょうど、南国リゾートのプライベートビーチか無人島の海岸線のように、全く人気はありません。お日様輝く明るい海辺ですが、まぶしさは全くありませんし、暑くもありません。一種爽やかさを覚える暖かく気持ち良い海です。
 私は海に入り、沖に泳いでいきます。生簀か沈船を見かけて素潜りで潜り、ゆらゆらと日差しの揺れる明るく温かい海を堪能しました。潜っている途中、海水中で目を開けていて痛くも何とも無いのが気になりましたが、それよりも水中で呼吸できることに疑問を覚え、海に潜っているのだから息は出来ないはずだ、と別に苦しかったわけでもないのに、一旦水面に浮かび上がりました。

 とまあ夢としてはこれだけのものです。ただ、海の夢はこれまでにも何度か観ていますし、泳いだり潜ったりする夢もありますが、今回ほど心地良かったのは無かったんじゃないかと思います。あと惜しかったのは、呼吸ができる、と夢のなかで気づいた時、もう少し頭が働いていれば、夢であることに気づき、明晰夢に移行できたのではないか、という点です。まだこりもせず明晰夢を観ることをあきらめないでいるのですが、その成果がこんな形で現れつつあるのだとしたら、いずれ近いうちに明晰夢を観ることができるようになるかもしれません。そんな夜が来てくれないものか、今宵も期待を胸に秘めつつ、寝ようと思います。

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懐かしい光景が空漠とした廃墟となっているのを見るのは少し切ないですね。

2010-08-06 22:33:04 | Weblog
 昨日は寝るときまだ余力がある感じがしたのに、今朝起きたらグタグタでした。とは言え、疲労感は比較的心地良いだるさというもので、気分的には昨日に引き続きすこぶる良かったですし、別に体が動かないわけではなし、もちろん病気でもないので、明日は休み、を支えにして、1日を過ごしました。やっぱり1日車で走り回っていたら、それも平坦な広い道ではなく、狭くて危なっかしい山道の連続とあっては、疲れないわけが無かったですね。単に昨夜は心身亢進して疲れが感じにくかっただけなのでしょう。今夜の気持ちの良い眠りに期待したいです。

 さて、ネットニュースを見てあちこちリンクをさまよっていましたら、4年前、廃園になった遊園地、奈良ドリームランドの現況を伝えるブログを見つけて、しばし見入ってしまいました。http://karapaia.livedoor.biz/archives/51749133.html
 1961年にオープンした関西を代表する遊園地で、近所のあやめ池遊園よりもおしゃれな高級感のある遊園地として活況を呈していました。私も幼少のみぎりは両親に連れられて何度か遊びに行きましたし、確か小学校の遠足もここだったと記憶しています。また、長じてからも家人を連れて何度か足を運びました。ちょうど今時分はプールがなかなか充実していて一日結構楽しめましたし、ついに廃業と決まったときは、なんだか自分の重要な一時代が色褪せてしまったかのような虚無感を覚えたものです。
 今でも奈良県庁6階にある食堂からは模造の山とかジェットコースターの軌道とかが遠望されますが、こうして多分不法侵入して撮影されたと思われる写真を見てみますと、案外まだまだキレイな状態で残っているのが驚きでした。
 確かに遊園地は一時代を築いた末に今や廃れてしまいましたが、ディズニーランドのように脅威的な集客力を誇る施設はあるわけですし、関西でも、枚方パークや生駒山上遊園地のように、まだまだ頑張っている老舗もあり、やりようによってはまだ商売が成り立つのではないか、と思ったりもします。まあ遊園地に育てられた世代の余り理性的とは言えない意見なのであんまり説得力もなさそうではありますが、例えばブログのコメント欄にもあったように、いっそこの状態を売りに新たなテーマパークを創り上げてみるのも面白いのではないでしょうか?


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今日は元気に十津川探訪!

2010-08-05 20:52:30 | Weblog
 昨夜は途中で布団をかぶるほど涼しい夜になりました。おかげで睡眠不足も一気に解消、今日は朝から快調に過ごすことが出来ました。
 そんな具合だったので、かねてから考えていた、玉置神社参詣を行うことにしました。前々から一応計画はして、有休も取っていたのですが、体調その他事情で無理と判断された場合は映画にでも行こうと思っていたのです。幸いにして体調は充分、車も昨日のうちに燃料を満載し、タイヤの空気圧もチェックして、遠出の準備は万端整えてありましたので、朝、念のための易占で卦を立てて問題ないことを確かめた後、十津川村へ向けて約3時間のドライブに出かけたのでした。
 玉置神社というのは、奈良県吉野郡十津川村にそびえる標高1076mの玉置山山頂近くにある古い神社で、総研は崇神天皇の御代、といいますから、単純に計算すると紀元前になります。何でも神武天皇東征の砌、この神社の敷地で休息し、十種の神宝を奉納した、とかいうよな神話もあります。神域には推定樹齢3000年と言われる神代杉を始めとする杉、檜が鬱蒼と茂り天に向かって伸び立っており、考古学的な調査によると、神代杉周辺に縄文時代の祭祀痕もあったとのことで、神武天皇、崇神天皇の伝説も、あながち夢幻と云いきれない背景がありそうな感じがします。
 この玉置神社は、神代の時代はともかくとして、平安時代以降修験道の重要な拠点として栄えたところで、山自体おいそれと登れるようなものではなかったと思われるのですが、今は山頂近くまで舗装路が出来ていて、車で上がることができるのです。
 今回、何故玉置神社参詣かというと、まだ就職したての頃、バイクで一度訪れたことがあって、クルマに乗り換えた機会にもう一度行ってみよう、と何気なく思い立ったのです。まあ道なんてほとんど忘れてましたけど、改めて結縁ができて良かったと思いました。



 この写真は本殿を仰ぎ奉ったものです。千年もの昔、動力も何もなかった時代に、1000mの頂きに壮麗な社殿を造営した技術とパワーには言い知れぬ畏怖を覚えます。ちょうど山が雲の中に入ったために神域一帯が霧に包まれ、実に神々しい浄域になったように感じました。

 帰りは十津川温泉の公衆浴場で硫黄たっぷりのお湯に使って元気を回復したあと、少し寄り道して日本の滝100選の一つ、笹ノ滝を観に行きました。



 落差40mの切り立った崖から膨大な水が落ちてくる大迫力の滝で、かなり近くまで寄ることができるので滝の飛沫もたっぷり浴びることが出来ます。ただ、ここまで到達するのがまた大変で、道の整備も出来てなかった往古は本当に山伏などの限られたヒトしかたどり着けなかったんではないでしょうか。一応整備されているとは言え、私でも駐車場から滝にたどり着くのは大変でしたから。

 というわけで今日は一日ひたすら十津川筋を車で走り続けました。流石に疲れたので、写真の整理はまた明日以降、続けようと思います。辿りつくのは大変なところですが、また機会を見て行きたいですね。本当は紅葉のシーズンなんか最高なんでしょうけれど、道に不案内で山道など普段走ったことがないような観光客が押し寄せるのは間違いないので、行きたくてもなかなか行けないのです。

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なぜか昨日は目が冴えてほとんど徹夜したというのに、今日もそれほど眠くなかったりします。

2010-08-04 21:57:20 | Weblog
 昨日は夕立後の涼しい中、ゆったりと熟睡する予定だったのに、なぜか目が冴えて全然眠ることが出来ず、ほとんど明け方まで布団の上でゴロゴロ、ゴロゴロとのたくっていました。まどろんだのは午前5時前。あんまり寝られないので、トイレに行くついでに、水分摂取のため普段なら水を飲むところを、牛乳に変えてぐいっと胃に収め、目覚まし時計をセットしなおして横になり、うつらうつらして起きたら朝の7時でした。睡眠時間実質2時間弱。それでも案外身体は動くもので、空調のよく効いた部屋で会議とか、かなり厳しいメニューもあった仕事でしたが、特に眠気も覚えず一日を乗り切りました。これは暑くて寝苦しいとかいうような肉体的な話ではなく、どうやら何かのスイッチが入って躁状態になって眠れなくなった、心理的な要因と見受けられます。もっと速くに気がついていたら、もう寝るのをやめて色々作業していたのですが、夕立に幻惑されてこれなら気持よく寝られる、と勘違いしたのが失敗でした。
 今もほとんど徹夜したとは思えないほど以外に眠気が無い状況なのですが、さすがに2日続けて眠らないでいるのは身体に差し障りがありそうなので、また牛乳飲んで寝ようと思います。気分が眠くないだけで、身体は相当参っている鴨しれませんし。
 それに昨日と違って今日は夕立が無かったのですが、思ったよりも涼しい風が窓から入ってきてますので、多分これなら今夜こそゆっくり寝られるでしょう。それで駄目ならとっとと起きて動きまわる覚悟で、とにかくとっとと寝ることにします。

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いくら田舎だからってもう少し勉強しようよ、と言ってあげたい。

2010-08-03 21:35:33 | Weblog
 帰宅したときは、集めの雲が夜空を覆ってちょうど蓋をしたみたいになって、蒸し暑いばかりでしたが、しばらくすると、ほんの10分ほどだけでしたが、大粒の雨がさぁっと降り注ぎ、みるみる涼しい風が吹いてくるようになりました。どうやら東から移動してきた夕立ちで、時間雨量何十ミリ、なんていう土砂降りの芯こそ外しましたが、そこそこかすってくれたみたいです。昨日は寝苦しくてたまりませんでしたけど、今夜はぐっすり寝られそうです。

 さて、とあるお付き合いのある方を通じて、こんなニュースがあることを教えてもらいました。
「中国寄贈「梁思成」像の設置中止を奈良県に求めよう!」http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1247.htmlです。
 『台湾は日本の生命線!』というブログの記事ですが、読んでみますと、我が県は何を考えているのやら、と言わずにはいられない呆れた話が出ています。何でも、先の大戦において米軍が奈良京都に原爆を投下しなかったり、空襲しなかったりしたのは、中国の建築家、梁思成氏なる人物が進言したからで、そう主張する中国が、奈良県にこの人の銅像を送りつけてきて、奈良県の恩人として立てなさい、と、申し入れてきたのだそうです。それに対し、何を思ったのか奈良県は、現在県をあげて取り組んでいる平城遷都千三百年祭の一環として、10月30日に県庁も程近い奈良県文化会館の敷地内に立てて除幕式を行うことにしたのだとか。ところが、中国がなんと言おうがこの人が米軍に空襲を止めさせたとは考えられないと言うのが多くの専門家の見方で、このことを事実とする確証はないというではありませんか。
 それに対して、奈良市議や県内の有志らが銅像受け入れを中止するよう求め、また、全国からも反対の声が上がっているのだそうです。それら反対の声に押されたのか、8月3日の知事の定例会見で、「設置場所については再考も含め慎重に検討して行きたい」と再検討が表明されました。
 不覚にも奈良県民でありながらこのような事態が起こっていようとは露とも知らなかったのですが、とりあえず恥ずかしいことが再検討まで後退してくれて良かったです。我が国において、奈良県ほど歴史の価値を知り、これを大事にしなければならない自治体は無かろうと思うのですが、よく調べもせず中国の言うことを鵜呑みにして除幕式の準備までしようとは、県知事も県職員ももう一度歴史を一から勉強しなおすべきです。平城遷都1300年祭にちなんだのか「奈良まほろば検定」なるものも賑々しく催されておりますが、これを受けて点の取れる職員が一体何人いるのか、大いに反省してしかるべきではないかと思います。
 でも、知事は「銅像は日中友好の証しとして贈られるため、受け入れたいが、取り扱いについては慎重にしたい」とも述べているそうで、銅像受け入れ撤回までは考えていないみたいです。中国への配慮もあるのだろう、というブログの意見ですが、国同士の配慮など政府が考えるべき外交問題であって、奈良県のような田舎の地方自治体がなんで中国に率先して配慮せねばならないのか、そんなことに県民税が使われているなんて信じがたいことです。大体、このヒトが平城京遷都に何の関係があるんでしょう? せっかくのお祭りに汚点を残す事の無いよう、奈良県には猛省と再考を求めたいです。

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阿久根市長が何故ずっと市長でいられるのか不思議に思っていましたが、今日ようやくその疑問が解けました。

2010-08-02 20:58:55 | Weblog
 今日は暑い中ではありましたが、人間ドックに行ってきました。まあドックと言ってもCTやらNMRやらお金のかかるオプションは一切抜きの、定期健康診断とそう変わらない内容でしたが、胃のレントゲン一つとっても、胃の動きを止める筋肉注射を打って、時間をかけて枚数撮っていたように、総じて丁寧に手間をかけていたのが印象的でした。待ち時間もありませんし、終了後は消化の良いそこそこ美味しい昼食が提供されましたし、たまにはこういうのもアリではなかろうか、と思いました。結果は3週間後、郵送されてきますが、精密検査、なんて出ないように願いたいものです。

 さて、議会無視の専決処分を連発して話題になっている鹿児島県阿久根市の市長サンですが、懲戒免職にした職員の復職が決まったそうですね。裁判沙汰にまでなって物議を醸した話でしたが、専決処分で決めた副市長が話をして、市長にも復職について了承を得たのだそうです。となると、あの大騒ぎはなんだったのか? とも思えるわけですが、新しい副市長の手腕なのか、はたまた新副市長の門出を飾るための演出だったのか、などと、いらぬ腹の探りもしたくなるようなタイミングだったんじゃないかと思います。
 一方で「阿久根市長リコール準備委員会」なる住民団体が、市長の解職請求をするための準備に入ったという報道もありました。有権者2万人のうち三分の1の署名を集めれば会食の是非を問う住民投票が行われるのだそうで、これはこれで見ものではあります。もっとも、住民団体、なるものも実態はどうなのか、よく判らないです。
 それはともかく、これほど阿久根市を有名にしたこの騒ぎ、明らかに自治法違反と言われながら、県も国も何故に手をこまねいているのか、不思議でしょうがなかったのですが、地方自治法違反は違反でも、罰則が何も無いというのを今日初めて知りました。マスコミの騒ぎぶりを真に受けたとしたら、市長はまさに民主主義の敵、卑劣な独裁者、といった姿になってしまうのですが、地方自治法はそれを抑制する術をほとんどもたないというのが驚きです。事実上、これを掣肘できるのは住民のリコールのみ、というのは、それが民主主義だと言われればそれまでなのかもしれませんが、もし天才的な煽動者、あのヒトラーのようなヒトが首長になって、住民の圧倒的支持の元にそれこそ無茶苦茶やりだしたとしたらどうなるのか、なんて考えると、何とも不気味さを覚えずにはいられません。とは言え、地方分権が叫ばれる今日において、中央政府が地方首長を罷免できるような仕組みができてしまうのはこれはこれで恐ろし過ぎて厄介な話です。第一、マスコミに対する信頼度からしたら、それが伝える市長像なんて話三分の一くらいに見ておかないと、そうでもないヒトがとんでもない悪党に仕立てあげられかねませんから、これはこれで注意する必要もあります。
 いずれにしても、阿久根市の市民がこの市長をどう思っていて支持しているのかマスコミが伝える通りあきれ返っているのか、このリコール請求の行方を見守っていれば、いずれわかりそうですね。
 それにしても、私のような遠く離れた無関係の人間でも、市長は市の代表として一つだけ確実に凄いことをしたと思います。阿久根市なんて実家の本家が鹿児島にある私でも知らなかった小さな市が、全国に知れ渡る程に名前を売ったのですから。悪名も名なり。うらやましがっている市町村も結構あったりするんじゃないでしょうか?

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06リセットハンマー その4

2010-08-01 22:10:59 | 麗夢小説『夢の匣』
ふっと目が開いた、と同時に、榊は口の中に混じるジャリジャリとした土の味に、思わず顔をしかめた。上体を起こし、まだ薄ぼんやりとする頭に右手を当てる。
 無理な姿勢をとっていたのか、体中の節々がこわばって痛い。特に腰が張っているように感じられるのは、やはり年だからだろうか?
 榊は、奇妙な夢の記憶の残滓に心を惑わせながら、ゆっくりと辺りを見回した。
 灯りらしい灯りが感じられない薄闇の中、巨大な鍾乳洞のような壁が見える。ここまで解剖中逃げ出したカエルを追って……、いやあれは夢だ。そうではなくて……。
 榊の視界に、同じく上体を起こした墨染衣の、心配げな表情が映った。
「榊警部殿、大事ないか?」
「円光、さん?」
 見慣れた頼りがいのある顔に、榊の記憶が蘇った。そうだ、この若者について、南麻布女学園地下の大洞窟にやってきたのだった……。榊は、ようやく夢の残滓を振り落とし、円光に答えた。
「ああ。大丈夫だ円光さん」
「警部。僕たちは、まんまと罠にはまったようですね」
 円光の反対側で、瀟洒なスーツをシワだらけにした端正なマスクが起き上がっていた。榊は小さく安堵の溜息をついて、そのしかめ面に声をかけた。
「鬼童君も、どうやら無事だったようだな」
「さて、無事と言っていいか少々疑問もありますがね」
「やっと目が覚めたか。榊」
 鬼童の言葉にかぶさるように、榊の背後から禍々しい声が届いた。ぎょっとして振り返った榊は、その漆黒の闇を練り上げたような長身の背中に、思わずうめき声を上げた。
「死夢羅……貴様一体……」
 無意識に右手が左懐に伸び、愛用の拳銃の銃把を握る。
「おのれ死神!」
 円光も錫杖を手に立ち上がる。だが、背中越しに振り返って、ふん、と嘲笑ったルシフェルは、大して興味もないとばかりに榊に言った。
「やはり貴様らの夢だったか。全く、つくづく馬鹿馬鹿しいものに巻き込まれたものよ」 
「我々の夢だと?」
「正しくは、私たち3人の心をベースに、夢が編まれたんですよ」
「3人?」
「そう。拙僧、鬼童殿、そして警部殿の3人だ」
 3人? 何のことだ? 円光、鬼童に助け起こされながら、榊の頭は疑問で一杯になった。
「一体どういう事だ?」
 榊の質問に、ルシフェルは顎をしゃくって榊に言った。
「気になるなら、あやつらに聞いてみるんだな」
「あやつら?」
 榊はルシフェルのマント越しに、3人の少女が並んでいるのを見た。2人は緑を基調とした半袖セーラー服に身を包み、向かって左の1人だけ、その上から大き過ぎる白衣をまとっている。こちらが起きるのを待っていたかのように、その右端の、セーラー服を着た少女がニコニコしながら言った。
「あーあ、やっぱり起きちゃった」
「しょうが無いな。もう一度やり直しか」
 一人置いて、白衣の少女が腕組みして言った。
 起きる? やり直し? 相変わらず榊の頭には疑問符ばかりが並んでいる。そもそもこの子供達は何だ? 死神を前にしているというのに全く動じている様子もなく、かえって自信あり気に小さな胸をはっているこの子供達は?
「君達は何者だ?」
 すると少女らは、あからさまに眉をしかめた。
「あれぇ? 覚えてないの?」
「あまり夢を記憶しないタイプと見えるな」
 ただ一人、中央の少女だけが、黙ってじっとこちらを見つめている。その視線に榊は思わず気圧されそうになった。何だこの子達は? 改めて問いかけようとした榊の肩が、ポン、と叩かれた。振り返ってみると鬼童と円光が横に並んでいる。
「ここは僕達にまかせてください。警部」
「何か知っているのかね?」
「ええ。多分」
 榊はなおも疑問を覚えたが、こうも判らないことだらけでは致し方ない。榊が半歩下がると、この場を二人に任せた。鬼童は3人に油断なく目配りながら、一人ひとり指さすように呼びかけた。
「君たちは眞脇紫君、纏向琴音さん、斑鳩星夜さん、原日本人4人の巫女の後継者、だったね」
「そして拙僧等は、原日本人親衛隊、と申した」
 その隣で円光も言った。
「さすがに二人は記憶もしっかりしているようだな」
 白衣の少女、斑鳩星夜が、軽く腕を組んでつぶやいた。
「うむ。夢は全て覚えている。なのに、ほとんど時間は経っていないようだ」
「そうだね。胡蝶の夢という奴かな? それとも、やっぱり僕達は竜宮城に誘われたのかも?」
「竜宮城だと?」
 榊は思わず口を挟むと、斑鳩星夜が答えた。
「うむ。まさに竜宮城と言ってもよいだろうな」
「だって、楽しかったでしょ?」
 眞脇紫が相変わらずにこやかに同意を求める。榊は、朧気ながら夢の記憶の残滓が心の奥底にたゆたっているのを意識した。それは、確かに胸騒ぐ楽しさに満ちているようだ。
「確かに、楽しくなかった、というと嘘になりますね」
「拙僧も、それは否定しない」
 鬼童、円光も、想い人を担任に小学生を送った夢を思い起こし、榊の胸の内に同意を示した。しかし、この男だけは別である。
「ふん、楽しかっただと?」
 ルシフェルは呆れ果てたといわぬばかりに、一人毒づいた。
「あのように虚仮にされて楽しいわけがなかろうこの馬鹿者めが。だが、まあいい。おい貴様ら、あの小賢しいもう一人はどうした?」
「もう一人って、皐月のこと?」
「綾小路先生のところだよ教頭先生。もう一度夢をやり直すためにね」
「そうか……」
 星夜の半ば挑発めいた呼びかけを無視して、ルシフェルは少し考え込んだ。このまま待てば、あの箱を持って勝手にやって来ることだろう。だが、万一また麗夢が取り込まれでもしたら、少々厄介でもある。ここはやはり、迎えに行くべきであろう……。
「では、ここにいてもしょうがないな」
 ルシフェルは、もう要件は済んだ、と一人3人の少女にむけて歩き出した。すると、ずっと黙っていた3人組の真ん中の少女、纏向琴音が、すい、と音もなく一歩前に出ると、その両手を大きく左右に広げて、ルシフェルの前に立ちはだかった。ルシフェルも一旦足を止めて訝しげにその姿を凝視した。
「何の真似だ?」
 黙りこくってじっと見つめるばかりの琴音に替り、紫と星夜が口々に答えた。
「皐月から、足止めしとくように言われてるんだ」
「そのまま動かないでいてもらおうか」
 するとルシフェルは、ふん、と鼻で哂って見せた。
「貴様らごときがこのわしを足止めだと?」
「僕たちを甘く見ないでもらいたいな、教頭先生」
「紫の言うとおりだ。我々にかなわないのは既にご存知のはずだろう」
 紫と星夜も、琴音の横に並び立った。対するルシフェルは、楽しげにその様子をあざ笑った。
「ふふふ、身の程知らずな餓鬼共めが。もうあの様なまやかしは通用せんぞ」
「通用しないかどうか、やってみようよ?」
「そしてすぐに思い知るがいいね。私たちにはかなわないことを」
「そうか。あくまで逆らうつもりか」
 ルシフェルは、マントから右手をにゅうと横に突き出すと、軽く手首をひねった。その途端、突然宙から一本の長い棒が現れ、ルシフェルの右手に収まった。
「言うことを聞かぬ餓鬼には、やはりお仕置きが必要と見えるな」
 ルシフェルの言葉を合図にしたかのように、棒の上端から横に、すらり、と白銀に輝く刃が伸びた。すべての命を刈り取る死神の鎌。ルシフェルは、右手一本でバトンのごとく軽々と大鎌を振り回しながら、再び歩き始めた。
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