ルイガノ旅日記

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「安野先生のふしぎな学校」を観てきました@北九州市立美術館

2024年08月23日 | 絵画や音楽
今年12月、開館50周年を迎える北九州市立美術館。二つの筒が宙に迫り出す独特の外観が印象的なこの建物は、2年前に逝去された世界的建築家、磯崎新氏の代表作のひとつで、「丘の上の双眼鏡」という愛称で北九州市民に親しまれています。


少し離れた位置から見上げると、あたかも四角い双眼鏡が北九州市街を覗き込んでいるように見えますね。


その双眼鏡から見えるのはこんな町並みです。


北九州市立美術館では現在、島根県津和野市にある「安野光雅美術館」のコレクションを集めた「安野先生のふしぎな学校」を開催中(今週末まで)。
安野光雅さんは1926年(大正15)、津和野市生まれです。幼いころから画家を夢見て24歳で上京。小学校の教員として子供たちと日々接する傍ら、本の装丁や挿絵などを手がけていました。


1968年(昭和43)安野先生は、『ふしぎなえ』で絵本作家としてデビューを飾ります。その後も、やわらかな淡い色彩を基調とした、子ども目線を忘れない優しい雰囲気が漂う作品を次々と発表。2020年(令和2年)94歳で亡くなるまで、画家、絵本作家、装丁家、執筆家として幅広い分野で活躍し、日本のみならず世界中で高い評価を受けました。(安野先生の絵がタペストリーにして飾られた通路。ここは写真撮影OKでした)


『7』~「かぞえてみよう」より(1975年)
絵の題材が、それぞれ七つ描かれています。


『ふしぎなのり』~「はじめてであうすうがくの絵本」より(1982年)


『オオカミとサギ』~「きつねがひろったイソップものがたり1」より(1987年)


「蚤の市」より(1983年)


通路から見る北九州市。


安野先生の創作活動の原点となった教員時代に思いを馳せる教室。先生の本を手に取って自由に読むことができるコーナーです。(写真撮影OKでした)


ほのぼのと気持ちが温かくなる安野光雅ワールドを体験できました。


こちらは、津和野の安野光雅美術館のパンフレット。作品とも共通する優しい笑顔が素敵です。


安野光雅さんが旅した世界の風景に惹かれ、ミュージアムショップで買った絵葉書。


1階ホールから2階への階段。


その右側に展示されているのは、オーギュスト・ロダン『ピエール・ド・ヴィッサン』。
イギリスとフランスの百年戦争で、イギリスに包囲された港町カレーを救うために人質となった市民たちの記念碑として制作された『カレーの市民』のなかの一体です。全体像は、上野の国立西洋美術館に展示されています。


階段の反対側には、32歳から15年間ロダンに師事したエミール=アントワーヌ・ブールデルの『ペネロープ』。ギリシャ神話を題材に、トロイ戦争に出征した夫オデュッセイヤの帰りを待ち続ける貞淑な妻ペネロープを描いたものです。ホノルル美術館のセントラル・コートヤードにも、この作品が展示されていました。


中2階に展示されている、京都出身の彫刻家三沢厚彦作『アニマル2016-01』


2階は北九州市立美術館のコレクション展示室。こちらの部屋も写真撮影が認められています。
エドガー・ドガ『マネとマネ夫人像』
ドガが友人マネに贈ったものですが、何が気に入らなかったのか、マネがその一部を切り裂いてしまったといういわくつきの絵です。


ピエール・ボナール『パリの朝』


ピエール=オーギュスト・ルノワール『麦わら帽子を被った女』


🍀

「津和野町立安野光雅美術館コレクション~安野先生のふしぎな学校」、もっと早く観に行きたかったのですが、なかなかタイミングが合わず、期間終了間際になってしまいました(会期は7月6日~8月25日)。冒頭にも書いたとおり、北九州市立美術館は今年が開館50周年。9月7日からは、この50年を振り返る「あの時、この場所で。~コレクションの半世紀~」が行われます。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (桐花)
2024-08-23 20:24:32
Dukeさん、こんばんは。
「安野先生のふしぎな学校」すてきな美術展覧会ですね!
優しくて温かな安野さんの絵、わたしも大好きで、津和野の安野光雅美術館へいつか行ってみたいと思っているんです。
こちらでも先生のふしぎな学校、開かれたらいいのに~
穏やかでやわらかな表現に惹かれます。
ご紹介ありがとうございました。
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Unknown (Duke)
2024-08-23 21:57:46
桐花さん、こんばんは。
はい、安野光雅さんの作品はもちろん、学科の授業に見立てた構成も面白くて、素晴らしい展覧会でした。
隣の山口県で生まれ育った私にとって、県境の津和野はすごく身近に感じる町なんですよ。
子どもの頃から何度も訪れたことがあるのですが、ここ暫くは足が遠のいているので、安野光雅美術館は行ったことがありません。
私も安野先生の淡くやさしい絵に惹かれます。
この展覧会を観て、いつかぜひ訪ねてみたいと思いました (^^ゞ
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おはようございます (AZM)
2024-08-24 09:03:29
先生の表情がとても優しい人柄を写していますね。画とぴったり合います。
安野先生の展覧会が関西で開催されたら、是非足を運んでみたいと思います。
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Unknown (Duke)
2024-08-24 09:19:49
azmさん、おはようございます。
安野先生、穏やかで優しそうでいい表情ですよね。
人柄を写している……本当にそう思います。
教室で日々子どもたちと接することに、大きな意味を感じておられたような気がします。
azmさんにも通ずるものがありますね♪
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安野光雅さん (hirorin)
2024-08-25 10:29:32
いいですよね~
うちにも画集や絵本がありますが、確か数学の先生?研究者だった?かしら?
緻密な絵もいいのですが、のんびりした空間を感じさせるものも好きです。
北九州美術館、個性的な建築ですね。
ホールから2階への階段がステキ。

先日、智積院で見た絵に朝鮮通信使が描かれていたのがあって。江戸時代ですね。半島から対馬に行って、そこから北九州の港→瀬戸内海→大阪→江戸へのルートですって。
北九州って、Dukeさんとこやんと思いながら説明を聞いてました。
通信使の通った街道は、うちの近所なんですよ。
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re:安野光雅さん (Duke)
2024-08-25 15:19:52
hirorinさん、こんにちは。
上京後は小学校で図工を教えていたそうですが、美術のみならず文学や数学、科学に造詣の深い方で、絵や絵本のテーマも多岐にわたっています。
どの作品にも、優しさや温かみが感じられました。
美術館の建物、面白いでしょう?
磯崎新さんは北九州と縁があったのか、これだけではなくいろんな公共建築を手がけられています。
見て回るのも楽しいですよ♪

朝鮮通信使、社会の授業で習いました(笑)
対馬から北九州、瀬戸内海を通り、京都からは陸路で江戸に向かったのでしたね。
滋賀県には「朝鮮人街道」が今も残るのだとか。
関西には、日本史の主要な舞台となった場所が多いですね。
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はじめまして (momomama)
2024-08-28 21:00:24
ほのぼのとした「安野先生のふしぎな学校」Dukeさんのブログを拝見して
思い出の画集の記事を書きました。

無断で 記事をリンクさせて頂き 失礼いたしました。

私は芦屋町に住んでいます。  どこかでお会いしているかもしれません。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
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re:はじめまして (Duke)
2024-08-28 22:06:42
momomamaさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
私も、いつもブログを楽しく拝見しています。
記事をリンクしてくださってありがとうございました。
下関市立美術館で安野光雅さんとお会いになったのですね。
「安野先生のふしぎな学校」は、ほのぼのと心温まるような展覧会でした。
momomamaさんがお持ちの『きりがみ 江戸いろは』も出展されていましたよ。

縁あって、芦屋町には大変お世話になりました。
岡湊神社や遠賀川河口堰あたりは、今もよく行きますので、本当にどこかでお会いしているかもしれませんね。
こちらこそ、これからもよろしくお願い申し上げます。
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