平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

篤姫 第34回「公家と武家」

2008年08月25日 | 大河ドラマ・時代劇
★じわじわと見せる対立図式
 今回は「公家と武家」、その対立図式を見事に見せていますね。
 まずは扇で顔を隠す和宮(堀北真希)。
 次に江戸城に入った和宮が見る葵の紋が入った調度品。
 将軍・家茂(松田翔太)との対面前では「上様が位負けしないか」と不安の描写を入れる。
 そして家茂の対面が無事に終わり、天璋院(宮崎あおい)との対面。

 小道具などを使ってじわじわと対立図式を見せていき、天璋院との対面がどうなるかとヤキモキさせる。
 うまい盛り上げ方。

★天璋院の立ち位置
 そして天璋院との対面で表面化し爆発する対立。
 上座、下座の問題。敷物なしの問題。
 武家のしきたりか?御所ふうか?
 そして『天璋院へ』と呼び捨ての証文。
 滝山(稲森いずみ)などは「それ以前の礼節の根本の問題」と怒る。

 公家と武家。
 ここで問題なのは天璋院の立ち位置だ。
 「何という無礼な」と天璋院が怒ってしまっては主人公でなくなってしまう。
 天璋院は悪口を言う武家方の侍女たちに言う。
 「悪口を言って気が済んだか?いがみ合っていては何も生まれない」
 優等生的発言だが、こう言わなくてはならないのが大河ドラマの主人公。
 侍女といっしょに悪口を言っていてはダメ。
 滝山と同じレベルでもダメ。
 大河ドラマの主人公は公明正大で大きな人間でなければならないのだ。

★対決・第2ラウンド
 このドラマのパターンとして天璋院は対立する人物のもとに行って対決する。
 和宮との対決・第1ラウンドは上座・下座問題で大混乱。
 さて第2ラウンドで天璋院がどう解決するかは今回最大の見せ場。

 まず天璋院は先日の上座・下座、敷物の件を謝る。
 これは単なる謝罪で終わらない。
 武家が公家に頭を下げたこと。幕府が朝廷に頭を下げたこと。
 つまり幕府の権威の失墜に繋がる。
 そんな背景のある謝罪。

 篤姫らしいとも言えるこの謝罪だが、彼女も大きく成長した。
 謝罪した後で「しかしながら……」とつけ加える。
 以前の篤姫なら出来なかった対応。
 「しかしながら……」の後に言ったことは「徳川家に嫁いだのなら武家も公家もなく徳川家のことを第一に考えるべき」という主張。
 それはかつての自分がたどり着いた結論。
 うまいですね。
 かつての自分がたどり着いた結論だけに説得力がある。
 視聴者も知っている。
 それは同じ境遇にある和宮の心にも届いた様だ。

 また天璋院は下の者に対して威を示すことも忘れない。
 和宮に嫁としての心得を説いた天璋院に文句を言おうとする庭田嗣子(中村メイコ)を一喝!
 「控えよ!」
 そして議論をするのではなく論点をはずして
 「何とも素敵な御髪でございますね?」と言う。
 これでは論争にならない。

 天璋院は於一から比べると大きく成長しましたね。
 したたかにもなった。
 大河ドラマの人物は偉くなってしまうと<嫌な人間>として描かれることが多いが、天璋院の場合はそれを感じさせない。
 凛とした格好良さだけが際立つ。
 見事な人物造型です。


コメント
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