平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ALLDAYS 二丁目の朝日

2008年08月20日 | 邦画
 ゲイの街、新宿二丁目が誕生するまでの物語。
 タイトルは「ALLDAYS 二丁目の朝日」。

 素材といい、タイトルといい面白いんだけど(「三丁目の夕日」と間違えてDVDを借りた人は絶対いるはず)、内容としてはイマイチ。
 主人公のマサオ(三浦涼介)の心情描写が描かれていないからだ。

 自分の性に違和感を感じているマサオ。
 戦災孤児でストリップ一座でコントをやっている。
 そこへやって来る家出娘の踊り子サトコ(谷桃子)。
 サトコはマサオのことが好きになるが……。
 ここが第一のドラマポイント。
 ここでサトコのことが好きだけど抱けない葛藤を描かなければ。
 ここは「仮面の告白」にしなければならない。
 
 物語はさらに続く。
 ゲイの迫害。
 八百屋のセイさんはゲイであることがバレてまわりから迫害される。
 マサオはそんなセイさんを応援するが……。
 ここが第二のドラマポイント。
 セイさんと仲良くしているのを一座の親方に見られてお前はゲイかと聞かれる。
 そこでマサオは「違う」と答える。
 その返事はいいのだが、ここでもっとマサオに葛藤させないとドラマにならない。
 保身のためにセイさんを裏切っていいのか?自分を偽っていいのか?
 そんな葛藤描写があっさりしているため、セイさんを裏切った罪の意識が伝わって来ない。

 ドラマは単にストーリーを描けばいいものではない。
 例えば「三丁目の夕日」では茶川先生は、淳之介を受け入れるか拒絶するかで常に葛藤している。

 物語はさらに進む。
 セイさんと恋人のヤクザとのダイナマイト心中を見て、愛に生きる凄まじさを知った(←これの描写も足りないが)マサオは子供の頃自分にキスをした兵隊・前田太郎探しをする。
 マサオは前田のことが忘れられなかったのだ。
 だが前田がいるという当時の新宿二丁目は公娼廃止運動で争いが起きている場所。
 それに巻き込まれるマサオだが、ここで前田太郎探しは頓挫してしまう。
 おまけに公娼廃止運動にサトコが加わっていて、サトコはストリップ一座で仲間だったヒロシに犯されて、彼の子を身ごもっていて……という展開。
 まあ、そこまでは許容範囲として、さらに一年後サトコの産んだ子をめぐって前田太郎がヒロシに刺されて、怒ったサトコにヒロシが刺されるという事件が起きてしまう。
 これはいただけない。
 ストーリーのご都合主義にも程がある。
 そこに至る心情描写がしっかり描かれていればまだいい。
 だが、それがカットされている。
 マサオがゲイだと知った時のサトコのリアクションとかを見たかったな。
 絶対ドラマになったのに。

 残念な作品でした。
 いっそのこと「三丁目の夕日」のパロディに徹すればよかったのに。

 
コメント
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