平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

名探偵コナン ベイカー街の亡霊

2010年10月07日 | コミック・アニメ・特撮
 19世紀の英国・ロンドン、シャーロック・ホームズの世界に入り込むという着想が面白い。
 我々が小説を読むのは、読むことを通して作品世界に入り込みたいから。
 普段生きている日常とは別の<探偵>とか<怪人>とか<殺人鬼>のいる世界に行きたいから。
 推理小説は松本清張さんの社会派の登場で、怪奇・猟奇・ロマンの要素がなくなってしまったが、それ以前は江戸川乱歩作品などそういった要素がたくさんあった。
 シャーロック・ホームズも19世紀ロンドンということでロマンをかき立てられる。
 ホームズやモリアーティ教授や切り裂きジャックに遭遇してみたいと思う。
 脚本の野沢尚さんもそんな思いが動機になってこの作品を書かれたのだろう。
 そして、これはまさにコナンとホームズの夢の競演でもある。
 そう言えばテレビ用の特別編でルパンとコナンの夢の競演というのもありましたね。

 さて、ではコナンたちがどの様にして入り込むかというと、ゲームのヴァーチャルリアリティ。
 ゴーグルをしてハッチのついたイスに座っての体感ゲーム。
 コナンたちはその中で<切り裂きジャック>を探すというミッションをクリアしなければならない。
 途中、敵に捕まったり傷つけられたりしたらゲームオーバー。
 ヴァーチャルな19世紀ロンドンから消えてしまう。

 そしてここでは見事な物語論・ゲーム論が展開されている。
 このヴァーチャルリアリティの世界の中でコナンと金持ちの子供たちが協力し合って闘っていくのだ。
 現実の世界ではコナンや元太たちをバカにしていた金持ちの子供たち。
 だが次第に友情が芽生えていく。友情の大切さを知るようになる。
 これはたとえば、子供たちが「ドラゴンクエスト」のようなゲームをして、友情や仲間と共に闘うことの大切さを学ぶのと同じことである。
 そしてゲームの世界からこれら大切なことを学んで現実世界に帰ってくる。
 そんなゲームの特徴をこの作品でも描いている。

 最後にこのヴァーチャルリアリティのゲームを作った天才少年ヒロキくんは孤独で、きっと他の子供たちと遊びたかったんでしょうね。
 だから、このゲームを作った。
 少し哀しいラストでした。


コメント
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