平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

黄金の豚~人物造型のお手本

2010年10月21日 | その他ドラマ
 堤芯子(篠原涼子)のキャラクターがいい。
 社会の不正と闘う女性。
 同様のコンセプトのドラマとして「パーフェクト・リポート」と「ナサケの女」が今期ありますが比較されるでしょうね。
 「ナサケ」は本日オンエアなので未見だが、「パーフェクト・リポート」の主人公と比べると芯子の方が断然いい。第1話だけですが、ドラマとしても「黄金の豚」の方が上。

 「パーフェクト・リポート」はどこかで見た感じがしますからね。
 天海祐希さんが以前やっていたニュースキャスターものとそっくり。
 ダメなスタッフが主人公の情熱とリーダーシップによって変わっていくというのも同じだし、相武沙希さんと同じ立ち位置の役柄は矢田亜希子さんがやっていた。
 これでは芸がない。
 
 「黄金の豚」も主人公によってまわりが変わっていく物語だが、組織からはみ出したアウトローなのがいい。
 再び比較になるが、「パーフェクト・リポート」の主人公・叶(松雪泰子)はあくまで組織の中の人間。記者魂を説き、「関わった事件は最後まで見届けたいでしょう」と正論を言うが、あくまで組織の中での言葉。
 ところが芯子は「弱い者いじめをするやつは許さない」「不正のツケは年寄りにまわってくる」と分かりやすくストレート。
 他にも芯子にしか言えない名セリフがいっぱい。
 「美しいものの裏には汚いものがある」
 「正義なんて生モノと同じ。すぐに腐る」
 「一番のワルは誰だと思う?知ってて知らんふりをする連中。あんたらのことだよ!」
 「やりとげれば出世できるんでしょう?」
 「人事部長だが、モンシロチョウだか知らねえが……」「学習しねえ男だな」
 「恋も仕事も泣き寝入りかよ」
 また捜査の方法も頼りにするのは<におい>。
 「パーフェクト・リポート」の叶がヘトヘトになって街を歩きまわるやり方よりはキャラとして立っている。
 <執行猶予中の犯罪者であることがバレるとまずい><軽犯罪でも警察に捕まると刑務所行き>という弱点も持っている。
 母親が町の八百屋で妹がキャバ嬢と市井にも通じている。
 角松一郎(大泉洋)との恋愛話もありそうだし、芯子はまさに人物造型は実に見事。
 これに比べると「パーフェクト・リポート」の叶は人物造型として物足りない。
 叶が見せた唯一の私生活はボーリングだが、ボーリングすることと叶のキャラにどの様な関係があるのだろう。

 芯子は人物造型のお手本である。

※追記
 それにしても今回の悪役は何と恥知らずな人間だろう。
 国の補助金でタダ同然で豪華な老人ホームを建てて、そこに住み、介護士さんはボランティアで働かせてその浮いたお金を自分の懐に。
 そんな不正がバレそうになると圧力をかけてうやむやに。
 ドラマではあるが、この国の上の人間は多かれ少なかれこんなふうだと思った方がいい。


コメント
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