「ゲゲゲの女房」名セリフ その2
★まずはエンタテインメント論。
「真実を見せられて誰が喜ぶんだ?」
「抵抗が大きければ大きいほど当たれば大きい」
「同じことをやっていても現状は打破できない」
「数が少なくても熱烈なファンがいればブレイクする」
大手出版社・豊川(眞島秀和)の言葉。
豊川はサラリーマン編集者ではなく、心に引っかかるものを大事にする編集者だった。
貸本出版社の社長・冨田(うじきつよし)のエピソードも見事なエンタテインメント論。
冨田にとって金儲けの道具でしかないと思っていた漫画。
だが、彼は後に戦後の闇市で買った漫画に救われたことを語る。
冨田は飢えていて漫画本など買っている余裕はないのに思わず買ってしまい、貪り読んだ。そして物語が心にしみ通って明るい気持ちになったと言う。
まさに人はパンのみに生きるものにあらずだ。
★脇キャラの名セリフもいっぱいだった。
茂の父・修平(風間杜夫)の最期の言葉。
「何だ、もう終わりか。面白かったなぁ」
修平の人生はロマンを求め、まさに<人生は活動写真のように>の人だった。
そんな修平がたどりついた人生の結論は「人生は屁のごとし」。
実にユニークだ。
茂の母・絹代(竹下景子)は強かった。
「千万人と言えども我、行かん」
千万人の人間が同じ方向を向いていても間違っていると思えば、その方向に行かない。あくまで自分を貫く。
国民のほとんどが同じ方向を向いていた戦争中でも、自分を貫く強さ。
皆が全員「正しい」と言ってることでも間違っていることは間違っていると言える強さ。
見習いたい。
それでもまわりが自分と同じようになることを強要してきたらこう返す。
「名字帯刀御免の家柄ですけん!」
また、この作品には先程の豊川を始めたくさんの漫画バカが登場した。
その筆頭は深沢(村上弘明)。
「大きくしてどうするんだ? 私はゼタを自由に漫画が描ける場所にしておきたい」
深沢は自分の雑誌「ゼタ」が商業主義に取り込まれることを嫌った。自分の理想の雑誌にこだわった。
その結果、郁子(桜田聖子)を失う結果になったが、それを仕方ないと考える。
アシスタント倉田(窪田正孝)も布美枝の妹との恋愛を捨てて漫画にこだわった。
戌井(梶原善)も漫画バカだった。
いい漫画のためだけに情熱を傾ける。その結果いつも貧乏。
だから茂が成功して水木プロを立ち上げたパーティでもこんなせりふ。
「バナナなんか持ってきて気が利かないですね」
でも茂はバナナを有り難く受け取る。
バナナは戌井と歩んだ貧乏時代を象徴するアイテムだったからだ。
バナナがふたりを繋ぐもの。
また、そんな漫画バカの戌井を「しょうがないわね」と言いながら支える戌井の奥さんの存在も味があった。
一方漫画を諦めて捨てていった者もいた。はるこ(南明奈)だ。
しかし小学校の教師になった彼女は言う。
「漫画家魂は残る」
漫画で表現することと教壇で表現すること。これらははるこにとって同じことなのだ。
★その他のせりふでは美智子(松坂慶子)と太一。
自分の子供を亡くした美智子は、太一を自分の子供のように思っている。
だから太一のために夕飯を作っている時のこのせりふ。
「肉団子とハンバーグとどっちがいい?」
だが「鬼太郎」を読みふける太一は「どっちでもいい」と無関心。
すると美智子。
「もう、張り合いがないわね」
人には<愛情を注がせてくれる他者><迷惑をかけ心配させてくれる他者><張り合いを持たせてくれる他者>が必要なのだ。
たくましいキャラクターという点ではやはり浦木(杉浦太陽)。
口八丁手八丁で世の中を渡り歩いていくたくましさ。
絹代や源兵衛のような強い者にはへりくだり逃げるしたたかさ。
都合の悪い人ことはしっかり忘れる調子良さ。(冨田書房の冨田をダマしたのに冨田に会っても「誰だったっけ」と思い出せない)
「浦木さんってC調なんですね」とはるこは言ったが、まさにそのとおり。
「龍馬伝」で言えば、岩崎弥太郎を思わせる。
そんな浦木も最後のパーティのシーンでは茂にこう言われてた。
「漫画と同じでお前のようなやつがいないと世の中つまらん」
確かに直接関わると面倒そうですが、浦木のような人を見ている分には楽しそう。
それにしてもアシスタント菅井の場合もそうだったが、茂の人物評価というのは大きく面白い。
★最後の名セリフはこれ。
「妖怪が住みにくい世界は人間も住みにくい世界」
次女・喜子が言ったせりふ。
<貧乏>なのは<貧乏神>のせい。
<忙しい>のは<妖怪いそがし>のせい。
そう思えると、現実の見方が広がって豊かになる。
<貧乏>なのは、政治が悪いから、努力が足りないから、デフレだからでは味気ない。
これは物事の見方でも同じ。
<南国のお面に精霊の魂が宿っていると思えれば宝物になるし、思えなければ単なるガラクタになる>
同じお面なら精霊が宿っていると思って宝物にした方が楽しい。
「ゲゲゲの女房」名せりふ その1はこちら
★まずはエンタテインメント論。
「真実を見せられて誰が喜ぶんだ?」
「抵抗が大きければ大きいほど当たれば大きい」
「同じことをやっていても現状は打破できない」
「数が少なくても熱烈なファンがいればブレイクする」
大手出版社・豊川(眞島秀和)の言葉。
豊川はサラリーマン編集者ではなく、心に引っかかるものを大事にする編集者だった。
貸本出版社の社長・冨田(うじきつよし)のエピソードも見事なエンタテインメント論。
冨田にとって金儲けの道具でしかないと思っていた漫画。
だが、彼は後に戦後の闇市で買った漫画に救われたことを語る。
冨田は飢えていて漫画本など買っている余裕はないのに思わず買ってしまい、貪り読んだ。そして物語が心にしみ通って明るい気持ちになったと言う。
まさに人はパンのみに生きるものにあらずだ。
★脇キャラの名セリフもいっぱいだった。
茂の父・修平(風間杜夫)の最期の言葉。
「何だ、もう終わりか。面白かったなぁ」
修平の人生はロマンを求め、まさに<人生は活動写真のように>の人だった。
そんな修平がたどりついた人生の結論は「人生は屁のごとし」。
実にユニークだ。
茂の母・絹代(竹下景子)は強かった。
「千万人と言えども我、行かん」
千万人の人間が同じ方向を向いていても間違っていると思えば、その方向に行かない。あくまで自分を貫く。
国民のほとんどが同じ方向を向いていた戦争中でも、自分を貫く強さ。
皆が全員「正しい」と言ってることでも間違っていることは間違っていると言える強さ。
見習いたい。
それでもまわりが自分と同じようになることを強要してきたらこう返す。
「名字帯刀御免の家柄ですけん!」
また、この作品には先程の豊川を始めたくさんの漫画バカが登場した。
その筆頭は深沢(村上弘明)。
「大きくしてどうするんだ? 私はゼタを自由に漫画が描ける場所にしておきたい」
深沢は自分の雑誌「ゼタ」が商業主義に取り込まれることを嫌った。自分の理想の雑誌にこだわった。
その結果、郁子(桜田聖子)を失う結果になったが、それを仕方ないと考える。
アシスタント倉田(窪田正孝)も布美枝の妹との恋愛を捨てて漫画にこだわった。
戌井(梶原善)も漫画バカだった。
いい漫画のためだけに情熱を傾ける。その結果いつも貧乏。
だから茂が成功して水木プロを立ち上げたパーティでもこんなせりふ。
「バナナなんか持ってきて気が利かないですね」
でも茂はバナナを有り難く受け取る。
バナナは戌井と歩んだ貧乏時代を象徴するアイテムだったからだ。
バナナがふたりを繋ぐもの。
また、そんな漫画バカの戌井を「しょうがないわね」と言いながら支える戌井の奥さんの存在も味があった。
一方漫画を諦めて捨てていった者もいた。はるこ(南明奈)だ。
しかし小学校の教師になった彼女は言う。
「漫画家魂は残る」
漫画で表現することと教壇で表現すること。これらははるこにとって同じことなのだ。
★その他のせりふでは美智子(松坂慶子)と太一。
自分の子供を亡くした美智子は、太一を自分の子供のように思っている。
だから太一のために夕飯を作っている時のこのせりふ。
「肉団子とハンバーグとどっちがいい?」
だが「鬼太郎」を読みふける太一は「どっちでもいい」と無関心。
すると美智子。
「もう、張り合いがないわね」
人には<愛情を注がせてくれる他者><迷惑をかけ心配させてくれる他者><張り合いを持たせてくれる他者>が必要なのだ。
たくましいキャラクターという点ではやはり浦木(杉浦太陽)。
口八丁手八丁で世の中を渡り歩いていくたくましさ。
絹代や源兵衛のような強い者にはへりくだり逃げるしたたかさ。
都合の悪い人ことはしっかり忘れる調子良さ。(冨田書房の冨田をダマしたのに冨田に会っても「誰だったっけ」と思い出せない)
「浦木さんってC調なんですね」とはるこは言ったが、まさにそのとおり。
「龍馬伝」で言えば、岩崎弥太郎を思わせる。
そんな浦木も最後のパーティのシーンでは茂にこう言われてた。
「漫画と同じでお前のようなやつがいないと世の中つまらん」
確かに直接関わると面倒そうですが、浦木のような人を見ている分には楽しそう。
それにしてもアシスタント菅井の場合もそうだったが、茂の人物評価というのは大きく面白い。
★最後の名セリフはこれ。
「妖怪が住みにくい世界は人間も住みにくい世界」
次女・喜子が言ったせりふ。
<貧乏>なのは<貧乏神>のせい。
<忙しい>のは<妖怪いそがし>のせい。
そう思えると、現実の見方が広がって豊かになる。
<貧乏>なのは、政治が悪いから、努力が足りないから、デフレだからでは味気ない。
これは物事の見方でも同じ。
<南国のお面に精霊の魂が宿っていると思えれば宝物になるし、思えなければ単なるガラクタになる>
同じお面なら精霊が宿っていると思って宝物にした方が楽しい。
「ゲゲゲの女房」名せりふ その1はこちら