平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

龍馬伝 第42回「いろは丸事件」

2010年10月18日 | 大河ドラマ・時代劇
★面白かったです。
 「清風亭」の時もそうだったけど、「龍馬伝」は交渉の時が面白い。
・紀州藩という大きなものに泣き寝入りしないで戦うこと。
・失敗すれば腹を斬らなければならない、まさに必死の交渉。
・この交渉が幕府対土佐藩という図式、倒幕の要素も内包していること。
 これらが絡まって見せる迫真の交渉!
 紀州藩が賠償金を払い、海援隊の名声がとどろき、山内容堂(近藤正臣)をも動かす結果にすっきり!
 おまけにラストは紀州藩の刺客との立ち合い。
 龍馬(福山雅治)は徳川御三家のひとつがこのような卑怯な行為をするのをなじり、「お前らにはわしは斬れんぜよ!」と見栄を切る。
 海をバックにした逆光で、風が吹き、チャンバラ映像としても美しい。

 この作品で脚本・福田靖さんがやりたかったことのひとつはこういう物語だったんでしょうね。
 事件が起こり解決するがチャンバラがある。
 「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」のようないわゆる時代劇の王道。
 それを大河ドラマふうにアレンジした感じ。

★紀州藩との交渉としては<事実確認><証拠ねつ造><万国公法>そして<世論>。
 何というか<尖閣漁船衝突事件>や<大阪特捜部検事証拠改ざん事件>を思わせる。
 特に長崎の<世論>を使ったことはまさに尖閣。
 尖閣問題では、国際世論の中で<中国批判>を引き出され、鎮静化の様相になりましたからね。
 いろは丸の事件でも長崎の世論が紀州藩を動かした。
 また龍馬が言った「万国公法を無視すれば紀州藩は世界中から野蛮人だと笑われる」という論理はそのまま「中国が強引な覇権主義を唱えれば世界から未成熟な国だと思われる」という論理と同じ。
 制作スケジュールがどうなっているかわからないが、今回の脚本が最近書かれたものだとすれば、あるいは現場で直されたものだとすれば、当然昨今の事件の影響が筆に現れたのだろう。
 そして外交とはこういうもの。
 龍馬は「いずれもう一度話し合いの機会が来る」と言ったように、一歩も二歩も先を読んでいた。
 こういう外交をして下さいよ、菅さん。

 それにしてもシーズン4になって龍馬はしたたかな策士になりましたね。
 次回は「船中八策」のようですが、大政奉還までのシナリオがしっかりと頭の中にある感じ。
 今回のいろは丸の件も結果、幕府の弱体化を世の中に宣伝することになった。
 まさに<災い転じて福となる>。
 実にしたたかです。


コメント (2)
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