『銀河英雄伝説』(田中芳樹・著)は見事な<政治学>の教科書だ。
たとえば、独裁者。
銀河帝国をつくった独裁者ルドルフは、作品中、次のように登場する。
「閉塞した時代の状況に窒息するような思いを味わった銀河連邦の市民たちは、この若い鋭気に富んだ新しい英雄を、歓呼とともに迎えた。ルドルフは、いわば濃霧のたちこめる世界に登場した超新星(スーパー・ノバ)であったのだ」
「ルドルフの登場は、民衆が根本的に、自主的な思考とそれにともなう責任よりも、命令と従属とそれにともなう責任免除の方を好むという、歴史上の顕著な冷笑である」
以上は、本編の<序章 銀河系史概略>で描かれた文章だが、
民衆は、未来の見えない自分たちの現実を打開してくれる英雄・指導者を求める。
自分で考えたり、責任を取ることよりも、指導者に命令され、従属することを求める。
考えないことは楽だから、すすんで飼い慣らされ、奴隷になろうとする。
そんな中、独裁者ルドルフはこう演説する。
「強力な政府を。強力な指導者を。社会に秩序と活力を!」
これに民衆は熱狂する。
そして、権力を獲得したルドルフは、それをさらに強固なものにしようとする。
「彼の理想とする社会は、強力な指導者の下に整然と統制され管理された、統一性の高い社会であった。
自らを恃(たの)むこと厚く、自ら行使する正義を信じて疑わないルドルフにとって、批判者や反対者は社会の統制を乱す異分子以外の何者でもなかった。当然の帰結として、反対勢力に対する過酷な弾圧が開始された」
<強力な指導者の下に整然と統制され管理された、統一性の高い社会>
<批判者や反対者は社会の統制を乱す異分子以外の何者でもない>と見なす社会。
すなわち、独裁国家である。
そして、民主主義国家は常にこうした危うさの上に成り立っている。
強い指導者を求め、思考することや批判することを忘れているうちに、いつのまにか独裁国家になっているという危うさ。
このことを現在の日本に目を転じれば、安倍ちゃんは独裁者になれる器ではないと思うんだけど、<自らを恃(たの)むこと厚く、自ら行使する正義を信じて疑わない>という姿勢はまさに安倍ちゃんだし、<強力な政府を。強力な指導者を。社会に秩序と活力を!>というのもまさに安倍ちゃんの<強い国>に通じる。
近い将来、<安倍ちゃん>などと気軽に呼べなくなる日が来るかもしれない。
たとえば、独裁者。
銀河帝国をつくった独裁者ルドルフは、作品中、次のように登場する。
「閉塞した時代の状況に窒息するような思いを味わった銀河連邦の市民たちは、この若い鋭気に富んだ新しい英雄を、歓呼とともに迎えた。ルドルフは、いわば濃霧のたちこめる世界に登場した超新星(スーパー・ノバ)であったのだ」
「ルドルフの登場は、民衆が根本的に、自主的な思考とそれにともなう責任よりも、命令と従属とそれにともなう責任免除の方を好むという、歴史上の顕著な冷笑である」
以上は、本編の<序章 銀河系史概略>で描かれた文章だが、
民衆は、未来の見えない自分たちの現実を打開してくれる英雄・指導者を求める。
自分で考えたり、責任を取ることよりも、指導者に命令され、従属することを求める。
考えないことは楽だから、すすんで飼い慣らされ、奴隷になろうとする。
そんな中、独裁者ルドルフはこう演説する。
「強力な政府を。強力な指導者を。社会に秩序と活力を!」
これに民衆は熱狂する。
そして、権力を獲得したルドルフは、それをさらに強固なものにしようとする。
「彼の理想とする社会は、強力な指導者の下に整然と統制され管理された、統一性の高い社会であった。
自らを恃(たの)むこと厚く、自ら行使する正義を信じて疑わないルドルフにとって、批判者や反対者は社会の統制を乱す異分子以外の何者でもなかった。当然の帰結として、反対勢力に対する過酷な弾圧が開始された」
<強力な指導者の下に整然と統制され管理された、統一性の高い社会>
<批判者や反対者は社会の統制を乱す異分子以外の何者でもない>と見なす社会。
すなわち、独裁国家である。
そして、民主主義国家は常にこうした危うさの上に成り立っている。
強い指導者を求め、思考することや批判することを忘れているうちに、いつのまにか独裁国家になっているという危うさ。
このことを現在の日本に目を転じれば、安倍ちゃんは独裁者になれる器ではないと思うんだけど、<自らを恃(たの)むこと厚く、自ら行使する正義を信じて疑わない>という姿勢はまさに安倍ちゃんだし、<強力な政府を。強力な指導者を。社会に秩序と活力を!>というのもまさに安倍ちゃんの<強い国>に通じる。
近い将来、<安倍ちゃん>などと気軽に呼べなくなる日が来るかもしれない。