平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

軍師官兵衛 第47回「如水謀る」~わしはわしの好きなようにやらせてもらう

2014年11月24日 | 大河ドラマ・時代劇
「人には仕えず、自分だけの考えで生きるのは初めてじゃ」
 官兵衛(岡田准一)はあらゆるしがらみから解放されたようだ。

 まずは豊臣家。
 おね(黒木瞳)には、
「遠慮はいりませぬ。思うがままになさるがよろしい」とお墨付き。

 黒田家からも、長政(松坂桃李)に任せることで解放された。
 家康(寺尾聰)につくことで、生き残ることと栄達を考える長政に対し、
「わしはわしの好きなようにやらせてもらう」

 解き放たれた官兵衛。
 賭けに出た官兵衛。
 このあまりにも物が見えすぎる男は、家康と三成(田中圭)の戦いの間に見える隙間にチャンスを見出したのであろう。
 あれれ、官兵衛ってこんなに野心家だったっけ? と思わなくもないが、これはこれで楽しみたい。

 糸(高畑充希)が退場し、栄(吉本実憂)が登場したことは、秀吉→家康を象徴しているかのよう。
 糸はもともと秀吉が仕切った縁談。
 蜂須賀の娘だったが、秀吉の養女となって黒田家に嫁いだ。
 そして、栄は家康が仕掛けた縁談。
 官兵衛は、糸のことに関して「朝鮮のいくさがなければ」と言ったが、朝鮮のいくさがなければ、糸も熊之助のことで苦悩することはなかった。
 あるいは、糸のことから離れるが、朝鮮の戦争がなければ、長政や清正の三成に対する憎しみもこれほど大きくなかったかもしれない。
 いくさはすべてを狂わせる。
 別れのシーンで、糸が娘の菊を抱きしめて「母を許しておくれ」と語る姿はなかなか泣けた。

 最後は官兵衛と三成。
「策を立てるのとまことのいくさとは別のもの。
 これは、わしからお主への最後の忠告じゃ」
 三成の弱点とは、いくさと人望。
 平時の能吏で、秀吉のようなカリスマをバックにしている時は優秀だが、乱世に弱い。
 かつては実に憎々しい人物だったが、最近はこういう欠落しているところが愛おしい。


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2 コメント

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関ヶ原に向けて (TEPO)
2014-11-24 14:27:33
>官兵衛はあらゆるしがらみから解放されたようだ。
>あれれ、官兵衛ってこんなに野心家だったっけ? と思わなくもないが、これはこれで楽しみたい。

これまで苦虫を噛み潰したような顔ばかりだった官兵衛が今回は終始不敵な笑みを浮かべっぱなし。
光ではないが、このような官兵衛を見るのは久しぶり、否、はじめてではないかと思います。
官兵衛がずっとこんな感じだったら「痛快ドラマ」だったのですが。
あとは最後、天下取りは家康の勝利だとしても何らかの意味で官兵衛の勝利だった、という意味づけがされれば一応満足です。

高畑充希さんが可愛いので糸というキャラも好きだったのですが、可哀想でした。
本作では「熊之助事件→鬱→本人も実家帰りを希望」という筋書きになっていますが、他ブログによれば長政が一方的に離縁して以後黒田、蜂須賀両家は長年断交するにいたったとのこと。
史実のほどは別として、糸付きの侍女による「そのお優しさが糸様にはかえって辛かったのでございます」という台詞は、日本的な人間関係において生じがちな悲劇的な心理の機微を示唆していて、本作の解釈にリアリティを与えていたと思います。

>別れのシーンで、糸が娘の菊を抱きしめて「母を許しておくれ」と語る姿はなかなか泣けた。

おそらくこの年齢での菊姫は今回だけの登場と思われますが、大河の子役さんは本当に可愛いので「ははうえ-」と叫んで廊下を駆けてくるだけで充分に泣かせてくれます。

あと、前回初登場した栄姫を、終始これまで見せたことのなかった笑顔で見ていた家康、今回家臣の肩に支えられて退出したが、長政の視界から出たとたん「シャキッと」して「酔った、酔った」と声に出す家康が印象的でした。

>かつては実に憎々しい人物だったが、最近はこういう欠落しているところが愛おしい。

コウジさんは優しいですね。
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覇権主義者の官兵衛 (コウジ)
2014-11-24 19:43:48
TEPOさん

いつもありがとうございます。

>官兵衛がずっとこんな感じだったら「痛快ドラマ」だったのですが。

これ、見てみたいです!
大河ドラマに求められていることからは外れてしまうかもしれませんが、天下を狙って虎視眈々としている覇権主義者の官兵衛ってワクワクして来ますよね。
大河ドラマも主人公にそろそろ性格の悪いヤツが出てきてもいい気がします。

糸に関しては、熊之助のことと世継ぎを産めなかったことで、気力が失せてしまったのでしょうが、当初の明るさや自由奔放さがなくなって残念でしたね。
黒田家の反応も、光とかはもっとひと言あってもいいような気がしました。

家康は本当に狸ですね。
長政を始めとして若い武将たちは皆、家康の掌の上で転がされている。
僕が三成に肩入れしてしまうのも、老獪な家康にしてやられているからかもしれません。
三成が自分を過信せず、もっと官兵衛を始めとする他人の意見に耳を傾けていたら、運命は変わっていたかもしれませんね。
三成はツッ込んでいくと、なかなか興味深い人物ではないかと思いました。

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