伊賀越えをこれだけ詳細に描いたのは初めてだろう。
「服部党参上!」
これに対して家康(松本潤)。
「服部党、末代までの誉れとせよ!」
しかし……。
いつもカッコ良くならないのが今作の服部半蔵(山田孝之)だ。
甲賀の里の多羅尾光俊(きたろう)の元を訪れた時は毒味のために赤飯を試食。
毒味のためなのに食べる! 食べる!
伊賀では頭領・百地丹波(嶋田久作)と対峙。
伊賀の名家・服部家の話をするが、百地丹波は服部家を知らない……!笑
オチはこれ。
半蔵は多羅尾光俊は敵の明智側と判断したが、実は味方だった!笑
多羅尾光俊の言うとおりにしていれば、伊賀で苦労しなかった!笑
半蔵はどうもキマらないんだよな……。
百地丹波を説得する時も、話したのは服部家の家柄のこと。
大鼠(松本まりか)の「この殿はおれたちを人並みに扱って下さったんじゃ」の方が、
余程説得力がある。
………………………………………………………
そして──
本多正信(松山ケンイチ)キターーー!
僕は正信の再登場をずっと期待していたが、今作はあのままフェイドアウトかな、と思っていた。
だが、ここで登場して見事な軍師ぶりを発揮。
「こんな所で伊賀者の手にかかって終わるとは。
最も情けない死に方をした大名として名を馳せるであろう! さ、百地殿、やれ!」
と振っておいて、一方で信長(岡田准一)が生きている可能性を示唆。
生きていれば伊賀は信長によって根絶やしにされる、と警告。
これに動揺した百地丹波は家康に意見を求め、家康は次のように返した。
「信長は死んでいると思う。だが、首が出ていないのは確か。
だから織田の家臣らは、信長が生き延びたという噂を盛んに振りまいておるんじゃろう。
そのせいで、しばらくは皆、様子を見るしかない。
即座に明智に味方をする者は現れん。
明智は、何としても信長の首を獲らねばならなかった。
だが奴はしくじったんじゃ。
奴に天下は獲れぬと思う。
わしに明智を討たせよ。わしに恩を売れ。
おそらくそれがお主にとって、最も利となることじゃ」
家康、お見事!
まず「信長は死んでいると思う」と前置きしたのが見事だった。
これで後の論理展開に説得力が出て来た。
現実を偽らずに語ったため、明智に天下は獲れないから自分に乗れ、と説得することができた。
この説得の背景には、
・大鼠の「この殿はおれたちを人並みに扱って下さったんじゃ」という言葉
・他の伊賀者が「おれが家康じゃ」と言ったこと
・家康が「わしが家康じゃ。わしの首をやる。他の者は見逃せ」と言ったことが関係している。
百地丹波は家康と家臣の伊賀者が強い絆で結ばれていることを理解したのだ。
つまり家康は信頼に足る人物、賭けるに足る人物だと認識した。
この一連のやりとり実に見事でした!
特に本多正信と家康の連係プレイ!
正信は、こんなかけひきができるようになった家康の成長を実感しただろう。
オチは、
先程の多羅尾光俊が味方であったこと。
服部党が念願の士分になったこと。
そして、穴山梅雪(田辺誠一)の死。
穴山梅雪は別行動を取り、家康の身代わりとなって死んだ。
確か『真田丸』でも同じような別行動の描写があって、
穴山梅雪は行方不明みたいなナレーションがあったが、今作ではひとつの解釈をおこなった。
家康の強さはたくさんの人に信頼され、支えられている所にある。
※追記
「わしが家康じゃ」と言った家康と対照的だったのが、光秀(酒向芳)。
「わしは明智ではない!」と偽って助かろうとした。
「服部党参上!」
これに対して家康(松本潤)。
「服部党、末代までの誉れとせよ!」
しかし……。
いつもカッコ良くならないのが今作の服部半蔵(山田孝之)だ。
甲賀の里の多羅尾光俊(きたろう)の元を訪れた時は毒味のために赤飯を試食。
毒味のためなのに食べる! 食べる!
伊賀では頭領・百地丹波(嶋田久作)と対峙。
伊賀の名家・服部家の話をするが、百地丹波は服部家を知らない……!笑
オチはこれ。
半蔵は多羅尾光俊は敵の明智側と判断したが、実は味方だった!笑
多羅尾光俊の言うとおりにしていれば、伊賀で苦労しなかった!笑
半蔵はどうもキマらないんだよな……。
百地丹波を説得する時も、話したのは服部家の家柄のこと。
大鼠(松本まりか)の「この殿はおれたちを人並みに扱って下さったんじゃ」の方が、
余程説得力がある。
………………………………………………………
そして──
本多正信(松山ケンイチ)キターーー!
僕は正信の再登場をずっと期待していたが、今作はあのままフェイドアウトかな、と思っていた。
だが、ここで登場して見事な軍師ぶりを発揮。
「こんな所で伊賀者の手にかかって終わるとは。
最も情けない死に方をした大名として名を馳せるであろう! さ、百地殿、やれ!」
と振っておいて、一方で信長(岡田准一)が生きている可能性を示唆。
生きていれば伊賀は信長によって根絶やしにされる、と警告。
これに動揺した百地丹波は家康に意見を求め、家康は次のように返した。
「信長は死んでいると思う。だが、首が出ていないのは確か。
だから織田の家臣らは、信長が生き延びたという噂を盛んに振りまいておるんじゃろう。
そのせいで、しばらくは皆、様子を見るしかない。
即座に明智に味方をする者は現れん。
明智は、何としても信長の首を獲らねばならなかった。
だが奴はしくじったんじゃ。
奴に天下は獲れぬと思う。
わしに明智を討たせよ。わしに恩を売れ。
おそらくそれがお主にとって、最も利となることじゃ」
家康、お見事!
まず「信長は死んでいると思う」と前置きしたのが見事だった。
これで後の論理展開に説得力が出て来た。
現実を偽らずに語ったため、明智に天下は獲れないから自分に乗れ、と説得することができた。
この説得の背景には、
・大鼠の「この殿はおれたちを人並みに扱って下さったんじゃ」という言葉
・他の伊賀者が「おれが家康じゃ」と言ったこと
・家康が「わしが家康じゃ。わしの首をやる。他の者は見逃せ」と言ったことが関係している。
百地丹波は家康と家臣の伊賀者が強い絆で結ばれていることを理解したのだ。
つまり家康は信頼に足る人物、賭けるに足る人物だと認識した。
この一連のやりとり実に見事でした!
特に本多正信と家康の連係プレイ!
正信は、こんなかけひきができるようになった家康の成長を実感しただろう。
オチは、
先程の多羅尾光俊が味方であったこと。
服部党が念願の士分になったこと。
そして、穴山梅雪(田辺誠一)の死。
穴山梅雪は別行動を取り、家康の身代わりとなって死んだ。
確か『真田丸』でも同じような別行動の描写があって、
穴山梅雪は行方不明みたいなナレーションがあったが、今作ではひとつの解釈をおこなった。
家康の強さはたくさんの人に信頼され、支えられている所にある。
※追記
「わしが家康じゃ」と言った家康と対照的だったのが、光秀(酒向芳)。
「わしは明智ではない!」と偽って助かろうとした。
正信、家康、百地丹波、そして半蔵、大鼠以下家康に従っていた伊賀衆のやりとりはたしかに見事でした。
この展開についてのコウジさんによる詳細・緻密な分析もまた実にお見事。
>穴山梅雪は別行動を取り、家康の身代わりとなって死んだ。
最近の何作かの大河で、家康の伊賀越えと関連して梅雪の死が描かれてきました。
今回、梅雪に割かれたシーンは、堺での家康との挨拶、光秀のもとに首が届けられた最初の場面―ただしそれが梅雪の首とは明かされていない―、そして浜松に帰ってから受けた梅雪の死全貌についての報告。
これらすべて合わせても一分になるかならないかの短さです。
このほんの僅かの描写だけで、家康に対して暖かい―というより「熱い」と言うべきか―思いを抱いていた梅雪という本作独自の色づけがなされていました。
「伊賀越え」本体部分で皆が「自分は家康」―何と大鼠までが(笑)―と名乗ったこと、反対に光秀が明智を名乗ることを否認したことで、本作全体のテーマが「名乗ること」となった基調と上手くシンクロしていました。
そして、瀬名の大構想に共鳴して武田と徳川とを橋渡ししようとしていた時点以来の「誠実な梅雪」という人物像が見事に完結したように思います。
少し前の回で梅雪は家康に「主君を裏切って得た平安は虚しい」と述懐していました。
梅雪は「死に場所」を求めていたのかもしれません。
いつもありがとうございます。
梅雪、出番もぜりふもあまりなかったですが、描き切りましたね。
>ほんの僅かの描写だけで
心情を語らせることなく出来事だけを描いて、視聴者にその思いを想像させる。
>梅雪は「死に場所」を求めていたのかもしれません。
とまで、想像させてしまう所はすごいですよね。
それは半蔵と大鼠にも言えて、描かれていない部分で、ふたりはラブコメをやっているのでしょう。
もっとも内容は半蔵の一方的なもので大鼠は拒絶しまくりなのでしょうが。
>「自分は家康」―何と大鼠までが(笑)
これは気づきませんでした。
ここはギャグを入れていたんですね。
こういう小技を挟んで来るのも楽しいです!